こちらは第四話です///。
第一話はこちら→「バレンタインのお話(仮)♡1」です。
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同級生でもないし・・・親同士が知り合いってわけでもなかったから。
引越先なんてわかるはずもなく。
二宮君のクラスメートに聞いても・・・詳しい住所ははっきりしなくて。
あとから聞いたけど・・・夜逃げ同然だったらしく。
だから・・・消息を追うことはできなかった。
甘くて苦い思い出。
大人になった今ならわかる。
あれは・・・間違いなく俺の淡い初恋。
男の子だったけど子供だったけど俺は。
二宮君に恋をしていたんだ。
俺は。
この消えない思い出を。
あの日のまま・・・包み込んでいる。
そして・・・そんな二宮君にとても似ているここの店員さん。
もしかして俺はホントに彼に。
恋・・・し始めているのかもしれない。
・・・なんて///ね。
タバコの灰を落とす。
店内をのぞき込むと・・・客がいないように見える。
俺は・・・素早く煙草をもみ消すと・・・一度大きく深呼吸をして・・・店の入口へと向かった。
店内に入る。
喫煙場所の窓から見た通り・・・客はいなかったけど。
彼もレジにいない。
あれ?・・・と思いつつ・・・店の奥の方に行くと。
突き当りのショーケースのところで。
デザートの補充をしている彼と目があった。
「ぇ・・・あれ?どうしたんですか?」
「あ・・・ああ///ぅん。」
突然目があってしまった彼に。
心の準備ができてなくて。
あせる。
・・・でも。
不思議そうに俺を見る彼に。
話を続けなくてはいけないから。
だから・・・俺は。
彼に近づきながら・・・鞄をあけ。
小さな紙袋を取り出した。
ちょっとあわてちゃったから。
チャックに紙袋がひっかかり。
少し破れてしまったけど・・・///しかたない。
俺は。
彼に・・・その紙袋を渡した。
「・・・ぇ///?」
「これ。チョコレート。」
「・・・。」
「バレンタインの・・・チョコレート。」
「・・・。」
「妹が・・・」
「覚えていてくれたんですね///?」
ん?
彼と声が重なる。
覚えていてくれた・・・?
え?
「え?」
「・・・ぇ///ぁ・・・いえ///え。妹・・・?」
「ぁ・・・いや・・・俺の妹が・・・。」
「・・・妹さん・・・。」
彼が。
紙袋を受け取りながら・・・ちょっと赤い顔をして首をかしげているから。
俺は・・・スマホを出して。
妹の写真を探った。
っていうか今。
なんて言った・・・?
覚えていてくれたんですね・・・って。
・・・言った・・・よな・・・?
ドキドキが止まらなくて。
指先が震える。
それって・・・。
「この子。なんだけど・・・。」
「・・・ぁ・・・あ~わかりました。高校生の子ですよね///。」
「そう。これ俺の妹で。作ったんだけど。君にチョコレートを。いや・・・ブラウニーを。」
「・・・。」
あ。
言っちゃった。
ブラウニーって。
言ってよかったんだっけ・・・///?
って言うかなんかもう。
ちょっと・・・違う話をしたいんだけど///。
覚えていてくれたんですね・・・の方の話をしたい。
でもまずこの話を終わらせなくちゃ。
「風邪ひいちゃって。妹。それで届けて欲しいって。言われて俺。」
「・・・そう・・・だったんですね。」
下を向く彼。
なんか・・・居心地悪い空気。
っていうかさ。
言ったよね・・・今。
覚えていてくれたんですね・・・って。
それって。
その話。
もっと詳しくしようよ。
っていうか・・・したい。
その話。
「ねぇ。」
「・・・はい。」
「今さ・・・覚えていてくれたんですね・・・って。」
「・・・。」
「言った・・・よね・・・?」
「・・・はぃ・・・。」
「それって・・・。」
「なんか・・・恥ずかしい///僕ばかり覚えていて・・・///。違うのに。これ。妹さんからなのに///。」
「・・・ぇ///。」
顔を上げた彼は・・・真っ赤で。
耳まで真っ赤で。
冷やそうとしているのか・・・両手を振って自分の顔に風を送っている。
「もう・・・ちょっと///。忘れてください///。」
「・・・え。」
「今の話。忘れてください///。」
「・・・忘れてって・・・」
「もぉ・・・恥ずかしいですから///見ないでください///。」
「・・・。」
え。
なんか。
めちゃくちゃかわいいんだけど。
すっげぇかわいい。
真っ赤で・・・顔の前で手をパタパタさせて。
恥ずかしい・・・と言う彼が。
かわいくてかわいくてたまらない。
「ねぇ。覚えていてくれたんですね・・・って。・・・なんのこと・・・///?」
「・・・///。」
ドキドキする。
もしかして。
まさか・・・と。
俺が覚えていたあの小学生の時の約束。
まさかそのことか・・・?・・・と。
そう思うとドキドキする。
でも。
名前が・・・違う。
いや・・・似てるってずっと思ってたけど。
だって・・・そう。
名前以外は・・・全部記憶と合致してるんだよ。
つづく
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