大宮さんのBL物語です。
苦手な方はご注意を。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
結局その後。
部長から引き継いだ案件を無事に契約更新してもらい。
さらには・・・なんとあの契約を打ち切られたA社の口利きで。
小口だけど2件の契約をとることができ。
久しぶりにアクティブに働いていた俺。
しばらく手帳に予定を書きこむことが増え。
忙しい毎日を充実して過ごしていた。
A社の部長からは・・・個人的にも1件の案件を紹介してもらうこともできて。
こういう繋がり方もあるんだな・・・と。
肩の力を抜いたとたん降ってきた幸運に。
ちょっとした運命を感じていた。
そして・・・その幸運を引き寄せてくれたのは。
間違いなく。
和君だった。
いつものように・・・和君のお店に来ている俺。
初めてここで和君と会ってから・・・どれだけの時間が流れたのか。
季節が変わり。
日を追うごとに和君は店に馴染み。
和君がおしゃべりするお客さんも増えてきたように見える。
時々・・・女性グループの席で・・・おしゃべりしている和君がいて。
きゃっきゃっと・・・そこだけまるで花が咲いたようににぎやかになる。
ランチも・・・目に見えて混雑し始めて。
並んで待つ時もあったから・・・だから。
ここへは最近は少し早めに来ることにしていた。
女性客が大半を占めているけど。
中には・・・俺みたいに。
男性の一人客もいる。
まあ純粋に・・・おいしい料理を楽しんでいる人がほとんどなんだろうけど。
中には・・・数人。
確実に和君お目当ての男性もいた。
和君への思いを自覚してから・・・俺は。
かなりそういうの・・・注意深く見ているつもりだし。
多分・・・俺が知っているだけでも・・・和君目当ては五人くらいいる。
そのうちの一人が。
今日は・・・なぜかずっと和君を独り占めしていた。
俺が来ているのを・・・知っているはずの和君なのに。
手がすくと和君は。
その人のテーブルへ行き・・・おしゃべりをしている。
俺からは和君の背中しか見えないから。
どんな顔しているのわからないんだけど。
男性客の目尻の下がったあの嬉しそうな顔を見れば。
和君がどんな顔しているのか・・・は検討がついた。
年齢は・・・多分40代。
見た感じは自由業。
スーツは着ていない。
年相応の・・・優しそうなイケメン。
時々・・・子どもみたいに笑う笑顔がかなり魅力的だ。
いつもラフな格好だけど。
着ている服がいいモノなのは。
俺でもわかる。
たいてい俺が店に来た時は・・・食事が終わっていることが多くて。
今日ももうすでに・・・コーヒーを飲んでいる。
時々・・・二人で何かを一緒に見ているようで。
スマホを覗き込む距離が近くて。
イラ・・・とする。
楽しそうにしている和君を見るのが辛い。
いつも一人で来ている店だけど。
今日は・・・いつも感じない孤独を感じる。
ふと・・・自分の時計が目に入った。
和君と交換しなおして・・・元に戻った時計。
あのまま・・・交換していてもよかったのに・・・と。
乙女みたいな思考の自分を・・・今日は笑うことができなかった。
.
つづく
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
毎日20時に更新です。
楽しんでいただけたら・・・。
ではでは。
来てくださってありがとうございました。