愛のかたまりⅡ~あなただけの為に~ | ナツコのブログ

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本番が始まる。

 

いつも生放送はバタバタで。

 

もう・・・それにもすっかり慣れてはいるんだけど。

 

それでもバタバタで。

 

だからやっぱり翔君はすごいな・・・と。

 

そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初の嵐五人での歌唱が終わり。

 

翔君とは舞台袖で別れて。

 

バタバタしたバックヤードを・・・楽屋へと足早に向かう俺たち四人。

 

先頭を走る和。

 

そのすぐ後ろを・・・相葉ちゃんにも松潤にも譲らず・・・ひた走る俺。

 

まるで俺を誘うかのようにフワフワ揺れる黒髪の和。

 

やっと。

 

やっと・・・手の届く距離にきた和。

 

もういいよな?

 

俺は。

 

いろいろと我慢できなくなって。

 

楽屋へ入ったと同時に。

 

後ろから和を引き寄せ抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も言わずに。

 

おとなしく抱きしめられる和。

 

相葉ちゃんも松潤も・・・何も言わずに俺たちの横をすり抜けていく。

 

和の首筋に顔をうずめると・・・甘い香りが鼻の奥をくすぐる・・・から。

 

そのスベスベの肌に唇を寄せた。

 

 

「んふ///くすぐったい・・・。」

 

「・・・。」

 

 

言いながら身もだえる和を。

 

ぐっと力を入れて腕の中に抱えなおし。

 

まだ・・・くすくす笑っている和の。

 

その唇を奪った。

 

滑り込んだ俺の舌に。

 

なだめるようにして一瞬だけ・・・絡められた和の舌。

 

すぐに離れたけど・・・かぁっと火がつき火照る体。

 

咎めるような瞳をするくせに。

 

でも・・・口元は誘うように緩やかなカーブの唇で微笑みかける和。

 

もう一度キスを・・・と思い近づいたけど。

 

ダメ・・・と唇の動きだけでたしなめられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソファに座るから。

 

俺も隣に座る。

 

目の前には・・・相葉ちゃん。

 

すぐ横の一人掛けのソファには松潤が座っていたけど。

 

気を使ってくれたのか・・・二人ともほぼ同時にそこから立ちあがり。

 

松潤は奥の鏡の前のパイプ椅子へと移動。

 

相葉ちゃんは・・・入り口近くのコーヒーのある場所に。

 

パイプ椅子を引き寄せそこに座ってくれる。

 

悪いな・・・と思いつつもありがたく思う。

 

二人だけの・・・小さな空間が出来上がる。

 

寄りかかるようにして・・・ぴったりくっついてくる和。

 

甘えたいのは俺の方なのに。

 

まるで・・・和の方が甘えたいみたいにすり寄ってくる。

 

 

「あなたさ・・・探してたんだって?俺のこと。」

 

「・・・ん・・・。」

 

「言わなかったっけ?取材だって。映画の。」

 

「・・・。」

 

「どうしたのよ。」

 

「・・・。」

 

 

すっと。

 

俺の手を取ると。

 

くいっと持ち上げ・・・指を絡める和。

 

ぐぐっと深くいれたり・・・浅く絡めたり。

 

俺の指の間に二本の指をいれたりして。

 

和の一人遊びが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「坂本先輩・・・。」

 

「・・・ぅん。」

 

「かっこいいよな。」

 

「・・・そうね。」

 

「すげぇかっこいい。」

 

「・・・ぅん。」

 

「歌うまいし。」

 

「・・・。」

 

「ダンスだってうまいし。」

 

「・・・。」

 

「スタイルも顔もよくて・・・。」

 

「優しいし・・・大人だしね。」

 

「・・・。」

 

「ホントすごいよあの人は。」

 

 

坂本先輩を全肯定する和。

 

そう・・・だって事実だから。

 

だから・・・しかたない。

 

うん。

 

しかたないけど・・・でも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でもね。」

 

 

ちら・・・と。

 

和が俺を見て言う。

 

 

「俺にはあなたが一番よ。」

 

「・・・。」

 

「顔も声もダンスもスタイルも。」

 

「・・・。」

 

「ここ・・・心も。」

 

「・・・。」

 

「全部好き。」

 

「・・・。」

 

 

触れられた心が・・・ふるりと揺れる。

 

好き・・・なんて。

 

普段あまり言わない和が・・・さらりと言ってくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って言うかそんなこと気にしてたの?」

 

「・・・。」

 

「そう言えば元気なかったもんね。さっきのリハの時も。」

 

「・・・。」

 

「・・・しょぼくれちゃってさ・・・」

 

「なんで・・・。」

 

「・・・ん?」

 

「あれ・・・あの時・・・なんで覗きに来たの?」

 

「・・・。」

 

 

覗いてなんてないよ・・・と。

 

言われるかと思った。

 

天邪鬼な和のことだから。

 

あの時だって覗いたこと否定していたし。

 

なのに・・・。

 

 

 

「写真撮ってたの。あなたの。」

 

「・・・。」

 

「別にめずらしくないよ。けっこう撮ってるから。いつも俺。あなたのリハの写真。」

 

「・・・そう・・・なの・・・?」

 

「そうよ。恋人の写真撮って何が悪いの?」

 

「いや・・・悪くないけど///。」

 

 

まさかの・・・開き直り。

 

恋人・・・という言葉が少しくすぐったくて。

 

でも・・・素直じゃない感じが。

 

和らしくて・・・少し笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あとね・・・声。」

 

「声?」

 

「そう。あなたの生声録音しようと思ったの。」

 

「・・・。」

 

「言ったでしょ?俺『愛のかたまり』好きだって。」

 

「あぁ・・・ぅん。」

 

 

それは・・・聞いていた。

 

このコラボが決まってすぐに和がそう言っていたし。

 

さらには・・・この『愛のかたまり』って曲は。

 

リリースされたタイミングで。

 

剛君と仲良かった和からすでに当時何度も聞かされていたから。

 

だから・・・今更覚えなくても空で歌えるほどよく知っている曲だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でもね・・・結局録音する前にシゲに見つかちゃって。」

 

「・・・。」

 

「だってストレッチばっかやってるんだもん二人とも・・・。」

 

「・・・。」

 

「終わったと思ったら先輩は発声練習始めちゃうし・・・。」

 

「・・・。」

 

「いつ歌うのよって・・・心でツッコんでたし俺。」

 

「和。」

 

「・・・ん?」

 

「俺の・・・声・・・。」

 

「・・・ぅん。」

 

「録音しようとしたの?」

 

「そう。」

 

「・・・。」

 

「・・・なによ。」

 

「和・・・どんだけ俺を好きなの?」

 

「だから言ってるじゃん。さっきから好きだって。」

 

「・・・。」

 

 

素直じゃない和の。

 

素直な胸の内。

 

俺は和に好かれている。

 

フツフツと沸いてくる自信。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐいっと・・・和に手を引っ張られ。

 

傾く体。

 

すん・・・と耳元で和が鼻をすすると。

 

和が言った。

 

 

「あなたの香水も・・・。」

 

「・・・ん・・・。」

 

「俺好きよ。」

 

「・・・。」

 

「あなたのさ・・・。」

 

「・・・。」

 

「汗と混ざった香りは・・・もっと好き。」

 

 

言いながら・・・体をぐぐっと押し付けると。

 

俺の耳を・・・耳たぶを。

 

ちゅぷっと・・・口に含んだ。

 

二人だけの時のような空気を出す和に。

 

ぞくっと・・・体が震え。

 

そんな俺に気づき・・・くすくす・・・と耳元で笑う和の声が。

 

俺の耳の奥をくすぐる。

 

俺も。

 

フフ・・・と笑うと。

 

そのスベスベの和の頬に口づけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

番組が進み。

 

たくさんの曲が披露され。

 

シャッフルメドレーのために舞台裏に待機する。

 

集まったみんなでワイワイ言いながら・・・一列にお行儀よく並ぶ。

 

ゴミ箱へ・・・ティッシュをいれる提供バックで。

 

俺の後ろについた和が。

 

こそっと・・・耳元で言った。

 

 

 

「さっきの続き。」

 

「・・・ん?」

 

「『愛のかたまり』の歌詞じゃないけどさ。」

 

「・・・。」

 

「あなたも俺もさ。」

 

「・・・ん?」

 

「今までいろいろあったけど・・・。」

 

「・・・。」

 

「俺にとって間違いなくあなたは最後の人なのよ。もはや。」

 

「・・・。」

 

「それを。」

 

「・・・。」

 

「忘れないで。」

 

「俺だって・・・」

 

「ぁ・・・ほら始まった。」

 

「ぁ・・・。」

 

 

提供バックがスタートする。

 

ゴミ箱へのティッシュ投下。

 

こういうの・・・俺は苦手なんだけど。

 

今日はさ。

 

できる気がするよ。

 

案の定・・・成功した俺。

 

和も後に続き・・・めっちゃ笑顔でハイタッチした俺たち。

 

すいっと・・・ハイタッチの輪の中に入ってきた坂本先輩。

 

俺も和も。

 

笑顔で・・・先輩とハイタッチをしたんた。

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

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