カイトⅦ | ナツコのブログ

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にのちゃんが大好きです。
かわいい大宮さんを愛でております。
大宮さんのお話(腐です///)なども書いております///♪

ヘッダーアイコンはあみんさんよりお借りしております♡

 

 

大宮さんのBL物語です。

 

苦手な方はご注意を。

 

 

~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

「俺たちあっちにいるから。二人で話して。」

 

 

翔ちゃんが・・・向こうを指さして言う。

 

 

「手短にね。あんま俺たちを待たせないでよ?」

 

 

まーくんが・・・笑いながら言う。

 

 

「男だろ智。しっかりしろって。」

 

 

パン・・・と智の背中を叩き潤君が言い。

 

そして三人が・・・向こうへと行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立ったままの智。

 

バツが悪そうに。

 

居心地が悪そうに。

 

顎ばかり触っている。

 

驚きのあまり・・・すっかり涙が止まってしまった僕の頭の中は。

 

どうして?とか。

 

なんで?とか。

 

いろんなことの整理がつかないんだけど・・・。

 

でも。

 

 

 

「・・・和。」

 

 

優しく見つめられ。

 

甘いその声を聴いた瞬間。

 

ふら・・・っと。

 

まるで引き寄せられるかのように・・・自然と立ちあがり。

 

そして・・・ゆっくりと。

 

ゆっくりと・・・その智の体に。

 

自分の体を寄せた。

 

するり・・・と背に腕を回し引き寄せると。

 

同じくらいの力で引き寄せてくれる智。

 

背に回った智の大きな手が。

 

ただそこにあって。

 

それだけで。

 

落ち着いていく心。

 

もうずっと。

 

こうしていたみたいに。

 

しっくりくる。

 

穏やかになる心。

 

何を・・・伝えよう。

 

何が言いたい?

 

智に伝えたい言葉。

 

・・・。

 

・・・。

 

それは。

 

 

 

 

「智・・・。」

 

「・・・。」

 

「お帰りなさい。」

 

「・・・ん。」

 

「会いたかった。」

 

「・・・。」

 

「すごく会いたかった。」

 

「・・・。」

 

「智・・・。」

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

 

 

長い長い沈黙。

 

智の手は・・・軽く僕の背に触れているだけ。

 

・・・。

 

・・・。

 

どう・・・したの?

 

そのまま。

 

少しだけ離れ。

 

智を・・・智の顔を見ると。

 

・・・。

 

・・・。

 

え。

 

 

 

「・・・見ん・・・なよ・・・。」

 

「・・・。」

 

「・・・ふ・・・っく・・・。」

 

「・・・。」

 

「っ・・・ぅ・・・っ・・・。」

 

「・・・。」

 

 

智が。

 

号泣していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今まで泣いていたはずの僕が。

 

もらい泣きするくらいの・・・号泣。

 

初めて見る・・・智の涙。

 

口はゆがんで。

 

ポロポロと頬を伝う涙。

 

すっと・・・顎から。

 

智のシャツへと・・・きれいな雫が落ちる。

 

それを目で追う。

 

 

「お帰り・・・なんて・・・。」

 

「・・・。」

 

「言って・・・もらえると・・・思わなかった・・・。」

 

「・・・言うに決まってるでしょ・・・だって・・・。」

 

「・・・。」

 

「こうして・・・帰ってきてくれたんだから。」

 

 

 

和・・・と。

 

もうかすれ過ぎて聞こえないほどの小さな声で呼ばれ。

 

そしてぎゅっと。

 

ぎゅっと・・・抱きしめられる。

 

 

 

「待たせて・・・ごめん。」

 

「・・・ぅぅん・・・もういい。」

 

「・・・マジごめん。」

 

「もう・・・いいの。」

 

「・・・ただいま。」

 

「おかえり。」

 

 

 

ごめん・・なんてもういい。

 

だって。

 

糸・・・は。

 

つながっていたから。

 

5年前・・・切れたと思っていた糸。

 

でも。

 

そうじゃなくて。

 

5年前とかじゃなくて。

 

あの幼い日からずっと。

 

ずっとずっと。

 

智と僕の糸は。

 

つながっていたんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すすっと・・・智の背に手を滑らせ。

 

泣いている智を落ち着かせる。

 

ふと・・・向こうを見ると。

 

三人が・・・こっちを見ているのが見えて。

 

なんとなく。

 

ただなんとなく・・・泣いている智を見られたくなくて。

 

ぐぐっと・・・智の体ごと向きを変えた。

 

はぁ・・・と大きく息を吐いて。

 

ずずっと・・・鼻をすすると。

 

僕を見て・・・照れくさそうに智が笑う。

 

久しぶりに見る・・・智の笑顔が。

 

まぶしくて・・・目を細める。

 

互いに体に触れたまま。

 

顔を見て話す。

 

智の・・・涙にぬれた顔。

 

きっと僕の頬も。

 

さっきの涙で濡れているんだろうな・・・と思うと。

 

ちょっとだけ笑える。

 

もう・・・ね。

 

言いたいこと・・・聞きたいこと。

 

いっぱいあるんだけど・・・。

 

 

 

「智・・・ありがとう。」

 

「・・・。」

 

「僕のこと・・・ずっと。」

 

「・・・。」

 

「ずっと守ってくれてたんだね。」

 

「大事だったから・・・和のこと。すごく。」

 

「ありがとう・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ならば・・・僕も。

 

僕だって。

 

智のことが大事なんだから・・・だから。

 

 

「ねぇ。」

 

「・・・ん?」

 

「もしも・・・。」

 

「・・・。」

 

「もしもね・・・もしも絵のことで・・・またどっか行きたいなら。」

 

「・・・。」

 

「行ってもいいから。」

 

「・・・。」

 

「自分の夢は・・・あきらめないで欲しい。」

 

「・・・。」

 

「僕のせいでそういうの・・・」

 

「・・・。」

 

「・・・あ・・・そうだ。」

 

「・・・。」

 

「次は僕も行ってもいい?一緒に。」

 

 

それは・・・本音。

 

今突然思ったけど・・・でも本音。

 

もう。

 

1秒たりとも離れてなんていられない。

 

智が行くなら。

 

僕もついていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっと伸びてきた智のキレイな指が。

 

すいっと・・・僕の前髪をはらう。

 

そんな指先にすら。

 

愛情が宿っているようで。

 

ふわんと・・・温かい気持ちになる。

 

智の・・・満足げな笑み。

 

僕を優しく見つめる。

 

 

 

「もう・・・。」

 

「・・・。」

 

「俺は・・・どこへも行かない。」

 

「・・・。」

 

「一人でしかできないことは・・・この5年で全部済ませてきたから。」

 

「・・・。」

 

「だからもう。」

 

「・・・。」

 

「俺はどこへも行かない。和といる。」

 

「・・・。」

 

 

ハッキリとしっかりと。

 

まるで・・・誓いみたいな言い方をする智。

 

断言する様子に・・・思わず笑みがこぼれ。

 

すっと。

 

ホントにすっと自然に・・・近づくと。

 

くいっと・・・智が軽く顔を傾けるから。

 

そのまま・・・キスをした。

 

あまりにも自然で・・・自然すぎて。

 

今までもずっとこんなことしていたように感じる。

 

智の触れた唇が柔らかくて。

 

気持ちよくて。

 

だから・・・。

 

 

「ん・・・智・・・もう一度・・・。」

 

「・・・和・・・。」

 

「・・・ん?」

 

「ホントに・・・俺でいいの?」

 

「・・・。」

 

「ホントに俺で・・・。」

 

「もう。」

 

「・・・。」

 

「智じゃなきゃイヤだし。」

 

「・・・。」

 

「そんな確認しないでよ///。」

 

「・・・ん///。」

 

 

その首に・・・腕を絡ませ引き寄せた。

 

僕の背に・・・触れるだけの智の手。

 

僕のことになると意気地なしになる智。

 

こんな人だったんだ・・・と。

 

心の奥がくすぐったくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・と。

 

 

「はいストップ~!」

 

「・・・ぇ///。」

 

 

 

向こうの方から・・・まーくんが。

 

若干の早足で近づいてきた。

 

え・・・なに///。

 

 

「はい離れて~。」

 

「・・・ちょ・・・な///に・・・。」

 

「こういうのは・・・五人でいる時は禁止ですぅ~。」

 

「禁止って///。」

 

「行こ。飲みに。」

 

「ぁ・・・ぅん///。」

 

「発表もあるしね。翔ちゃん♪」

 

「お前さぁ・・・サプライズだって言ってんのに・・・。」

 

「ぁ///言っちゃった///。」

 

「翔君しょうがないよ。だって雅紀すげぇ楽しみにしてたんだしさ。」

 

「そうそう♪潤ちゃん大好き♪」

 

「ちょ//やめ///行くぞホラ。」

 

 

 

なんだか。

 

にぎやかに・・・向こうへと歩いていく三人。

 

って言うか・・・サプライズ?

 

また何か・・僕の知らないこと?

 

 

 

「智・・・なんか知ってるの?」

 

「イヤ・・・俺も知らない、」

 

「なんだろ・・・。」

 

「な。」

 

 

すっと。

 

背を押される。

 

行こう・・・と言う合図。

 

今までだって・・・こんな風にされたことあるのに。

 

気持ちが通じた後は。

 

同じことをされても気持ちが全然違って。

 

ホント・・・不思議だなって・・・思った///。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ智。」

 

「・・・ん?」

 

「お絵かき帳・・・いつか見せてね。」

 

「・・・。」

 

「僕とまーくんの・・・自主練。待ってくれてた時に書いてた絵。」

 

「・・・。」

 

「いつか見せてね。」

 

「もう・・・どっか行っちゃったよ。」

 

「嘘つき。」

 

「///。」

 

「見せたくないの?」

 

「いや///多分ひくよ。見たら。」

 

「・・・ひかないよ///。」

 

「ひくって。」

 

「そんな・・・なの///?」

 

「そんな・・・だよ。」

 

 

ふっと。

 

横目で・・・僕を見て笑う智。

 

ちょっとだけ・・・男くさくて。

 

ドキッとした。

 

 

 

つづく

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毎日20時に更新です。

 

楽しんでいただけたら・・・。

 

ではでは。

 

来てくださってありがとうございました。

 

 

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