カイトⅥ | ナツコのブログ

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にのちゃんが大好きです。
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大宮さんのお話(腐です///)なども書いております///♪

ヘッダーアイコンはあみんさんよりお借りしております♡

 

 

大宮さんのBL物語です。

 

苦手な方はご注意を。

 

 

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「和。」

 

「・・・。」

 

 

まーくんが。

 

優しい目で僕を見つめる。

 

 

「リトルリーグの時さ・・・二人で居残りして自主練してたでしょ?」

 

「・・・ぅん。」

 

「あん時さ・・・ほら・・・お絵かき教室帰りの大ちゃんとさ・・・一緒に三人でよく帰ってたじゃん。」

 

「ぅん。」

 

「あれも・・・本当は違うんだよね。」

 

「・・・?」

 

「お絵かき教室ってね・・・もっと終わるの早いの。時間。」

 

「・・・。」

 

「俺たちが終わるの・・・そっと隠れて待ってたんだよ大ちゃん。」

 

「・・・。」

 

「ただ和と一緒に帰りたいから・・・それだけの理由で。」

 

「・・・。」

 

「絵をね・・・描きながら待ってるんだって言っててさ。」

 

「・・・。」

 

「でもあのお絵かき帳。」

 

「・・・。」

 

「絶対に見せてくれなかったんだよなぁ。」

 

「・・・。」

 

「何が書いてあったんだろうね。」

 

「・・・っ・・・。」

 

 

思う間もなく涙がこぼれる。

 

わかんないけど。

 

その・・・お絵かき帳に何が書かれていたのかは・・・わかんないけど・・・でも。

 

こんなにも。

 

こんなにもずっと・・・愛されていたなんて。

 

僕が思う前よりもっともっと前から。

 

智は・・・僕を思ってくれていた。

 

いつだって近くにいた智。

 

僕に言えなかったのも。

 

全部全部・・・僕のため・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらず泣き虫だな。」

 

「・・・翔ちゃん・・・。」

 

「あのな。」

 

「・・・。」

 

「子どもの頃によくさ・・・カイトあげてたじゃん。」

 

「・・・ぅ・・・ん・・・。」

 

「あん時さ・・・ほら・・・和だけ智君にカイトあげてもらってたじゃん?」

 

「・・・ぅん。」

 

「糸渡されてさ・・・あげてたでしょ?」

 

「・・・ん。」

 

「それ・・・その糸さ。智君・・・和の後ろで持ってたんだよずっと。」

 

「・・・ぇ・・・。」

 

「突風とかでさ・・・カイトが煽られて・・・和が引っ張られて転んじゃいけないからって・・・。」

 

「・・・。」

 

「和にばれないように・・・ずっと。」

 

「・・・。」

 

「糸持って・・・和の後ろに立ってたんだよ。智君。」

 

「・・・。」

 

 

 

糸が。

 

繋がっていた。

 

・・・。

 

・・・。

 

どれほどの思いなんだろう。

 

僕への・・・智の思いは。

 

どれほど愛されてきたの?

 

智は。

 

どんな思いで。

 

ニューヨークへ行ったの?

 

愛してる・・・の言葉。

 

どうして僕は。

 

その言葉をそのまま信じられなかったんだろう。

 

なんで・・・あの時。

 

僕もだよって。

 

待ってるからねって。

 

どうして・・・言えなかったの・・・?

 

置いていかれる悲しみにばかり支配されてしまって。

 

旅立って行く智の心に全然寄り添えなかった。

 

・・・。

 

・・・。

 

智。

 

・・・智。

 

ごめんね智。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう・・・嗚咽・・・が止まらなくて。

 

声が・・・抑えられない。

 

とめどなく流れる涙。

 

うっうっ・・・と。

 

体をかがめ・・・うずくまるようにして泣く僕に。

 

翔ちゃんが言う。

 

 

「和。」

 

「・・・っぅ・・・っ・・・。」

 

「和はさ・・・智君のこと好き?」

 

「・・・ひっく・・・ぅ・・・っ・・・。」

 

「そもそもさ・・・そこなんだよ。」

 

「・・・っ・・・ぅ・・・。」

 

「智君が一番不安に思ってるとこ。」

 

「・・・。」

 

「まあ・・・俺たちからしたら答えは見えてるんだけどさ。」

 

「・・・。」

 

「でも・・・もしかしたらそれは。」

 

「・・・。」

 

「幼馴染としての愛情なのかもしれない。」

 

「・・・。」

 

「友情みたいなヤツ。」

 

「・・・。」

 

「どうなの?和。」

 

「・・・。」

 

 

どうなのもこうなのもない。

 

僕は。

 

僕はもう・・・ずっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・好き。」

 

「・・・。」

 

「智が・・・好き・・・。」

 

「・・・。」

 

「もうずっと・・・ずっとずっとずぅっと・・・。」

 

「・・・。」

 

「智の・・・ことが・・・っ・・・。」

 

「・・・。」

 

「・・・ぅ・・・っ・・・智・・・。」

 

「・・・。」

 

「・・・ひ・・・っく・・・さ・・・とし・・・。」

 

「・・・あ~あ・・・もう。」

 

「・・・っ・・・っう・・・っぅ・・・。」

 

「吐くぞ。あんまり泣くと。」

 

「・・・吐・・・かない・・・っ・・・もん・・・。」

 

「しょうがないなぁ・・・もう。」

 

「・・・っ・・・っく・・・ひっく・・・。」

 

「ちょ・・・場所代わるから。」

 

「・・・っく・・・っぅ・・・っ・・・。」

 

「智君。こっち座って。」

 

「・・・ひっく・・・・・・・・・・・・・・・ぇ。」

 

 

 

ドクン・・・と大きく心臓が脈打ち。

 

一瞬・・・僕のすべてが止まる。

 

思考すら止まって。

 

・・・。

 

・・・。

 

え。

 

・・・。

 

・・・。

 

・・・智・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

顔を上げ。

 

振り返ると・・・そこには。

 

会いたくて会いたくてたまらなかった・・・智が。

 

智が・・・そこに立っていた。

 

いつ・・・からそこに・・・?

 

 

 

「智君あなたさ・・・俺に頼り過ぎだからマジで。」

 

「・・・ごめん。翔君。」

 

「和のことになるとさ・・・とたんに意気地なしになるよね。昔から。」

 

「・・・。」

 

「和の気持ちわからないと会えないとか言っちゃってさぁ。」

 

「・・・。」

 

「先に気持ち聞いておいて・・・だって。ガキじゃないんだからさぁもう。」

 

「・・・。」

 

 

言いながら・・・すっと。

 

智の腕に触れ・・・僕の方へと智を引っ張る翔ちゃん。

 

智と僕の・・・目が・・・合う。

 

1秒が永遠に感じる感覚。

 

まるで・・・ホントにまるで一瞬。

 

世界が止まってしまって。

 

僕と智の時間だけが・・・巻き戻っていくような感覚。

 

もうすっかり大人の智のはずなのに。

 

今目の前にいるのは。

 

カイトの糸を僕に手渡してくれた・・・あの幼い日の智で。

 

まるで糸の握られた手が・・・すっと差し出されたような。

 

そんな錯覚に陥り。

 

思わず手を。

 

伸ばしそうになる。

 

 

 

 

 

つづく

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毎日20時に更新です。

 

楽しんでいただけたら・・・。

 

ではでは。

 

来てくださってありがとうございました。

 

 

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