こちらは大宮さんBL物語です。
苦手な方はご注意を///。
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そして今。
先輩の家から帰った次の日の店。
俺は悩んでいた。
て言うか昨日の朝からずっと。
俺は・・・悩んでいて。
どうやって鍵を返そうか・・・と。
バカみたいにずっとずっと悩んでいた。
でも・・・今日はうーさんの予約が入っている。
きっと先輩も一緒に来てくれるはず。
だから今日。
先輩に鍵を返せると思っている。
さすがにうーさんの前で・・・はまずいから。
内緒で返すつもり。
って言うか・・・うん。
うーさんにもそろそろ返事しないといけない。
俺なりに向き合ったつもりだけど。
やっぱりうーさんとはそういう関係にはなれない。
いい人だと思うし好きは好きだけどね。
店のお客として・・・来なくなっちゃうのは寂しいけどしかたない。
俺はもらった指輪をロッカーから出して・・・右手の薬指にはめた。
って言うかさ。
こういうことになるから。
向き合うんじゃなくて・・・茶化してふざけてすませたかったのに。
いつかは二人も星屑になるの・・・って。
そう言っておけば・・・うーさんとの決定的な別れもなかったはずなのに。
ほら。
やっぱ俺正しいじゃん。
向き合ってはっきりと答えるよりも茶化して冗談めかして曖昧なままの方がいいんだよ。
今日は先輩にそう言おうって・・・そう思った。
時間になり席に行くと。
先輩はいなくて・・・うーさん一人だった。
・・・。
・・・。
なんで・・・?
「うーさん。今日一人?」
「そうだよカズ。ダメか?」
「・・・ううん・・・別に・・・。」
「今日は最初から濃い目に作ってくれ。」
「・・・わかった。」
今までなら。
さらっと聞けたのに。
大野さんどうしたの?って。
なんで連れて来てくれないの?って聞けたのに。
なのに。
今日は聞けずに。
でもなんで一人なのか気になって気になって。
全然話に集中できなかった。
もしかして。
先輩がもう・・・来たくない・・・とか言った?
振り回し過ぎたから・・・俺。
嫌がられても仕方ないかも。
ベッド占領しちゃってさ。
訳わかんないこと言って。
迷惑・・・だったのかな。
だから今日来ない・・・とか。
ずん・・・と。
心に重しがかかったようになる。
痛くて苦しい。
嫌われたかも。
避けられてる?
そんな事思ったら。
なんかもう・・・上手く笑えなかった。
「カズ・・・どうした?」
「・・・え。」
「元気ないな。ん?」
「・・・。」
「大野がいないから・・・寂しいか?」
「え・・・それ・・・どういう・・・」
「故郷の話でも・・・何かしたいんじゃないのか?」
「・・・ぁ・・・ああ・・・ううん・・別に・・・。」
大野がいないから。
そう言われて一瞬どきっとした・・・けど。
そういう意味ね。
・・・。
・・・。
うん。
寂しい・・・んだと思う。
先輩がいなくて。
寂しい。
・・・寂しい?
うん・・・寂しい。
そんなガキみたいなこと思う自分が・・・笑える。
「風邪ひいたんだよ大野は。」
「・・・ぇ。」
「・・・昨日くらいから調子悪かったみたいなんだけどな。」
「・・・。」
「今日とうとう・・・具合悪すぎて・・・途中で早退したよ。」
「・・・。」
「高熱が出たらしくてな・・・咳も酷いから病院に・・・」
何か。
何か・・・うーさんがまだしゃべってたけど。
全然頭に入ってこなくて。
もう。
落ち着かない。
あの日の。
ずぶ濡れの先輩を思い出す。
びちょびちょの・・・ぐしゃぐしゃだった先輩。
なのに・・・先にシャワーに行ったのは俺。
出てきた時。
まだ・・・先輩は濡れたままだったんじゃない?
思い出す。
意味もなくパンなんて食べて夜更かしさせて。
出張から猛ダッシュで帰ってきてくれた先輩に・・・。
俺先輩のベッドを奪って寝て。
俺。
・・・。
・・・。
何やってんの?
俺のせいじゃん・・・先輩が風邪ひいたの。
苦しそうに咳をする先輩を。
見てもいないのに思い浮かべる。
背を丸め。
ケホケホって・・・咳をする先輩。
夏風邪ってったちが悪いって聞いたことがある。
高熱って・・・今うーさんが言ってた。
うなされているきっと。
先輩。
苦しい?
辛い?
・・・。
・・・。
先輩。
・・・。
・・・。
先輩。
・・・。
・・・。
大野先輩。
・・・。
・・・。
俺・・・。
俺。
.
つづく
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少しずつですが毎日8時16時0時の更新です。
楽しんでいただけたら嬉しいです♪