愛情注ぐ理由はいらない~番外編17 | ナツコのブログ

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大宮さんBL前提のお話です。

 

苦手な方はご注意を///。

 

 

 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜*~

 

Side.N

 

 

 

すぐに。

 

智から電話がかかってくる。

 

でも。

 

・・・。

 

・・・。

 

うん。

 

約束だったから。

 

父さんと約束したから・・・だから。

 

電話には出なかった。

 

本当は出たかったけど・・・でも。

 

でも。

 

智は僕に今日嘘をついた。

 

智の事・・・愛してるけど・・・でも。

 

どうしてもそこがひっかかってしまって。

 

部屋に鍵もかかっていたし。

 

不安で。

 

どうしようもなくて。

 

どうしたらいいか・・・わからなくて。

 

だって智が嘘ついたから・・・だから。

 

電話には出なかった。

 

本当は疑いたくなんかない。

 

でも・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして・・・LINEが来る。

 

ディスプレイに浮かび上がる文字。

 

 

 

   大丈夫か?

 

 

 

   無事か?

 

 

 

僕を心配する言葉が・・たくさん並ぶ。

 

それを・・・既読にもしないで僕は。

 

じっと見ている。

 

返事をしたい。

 

僕は大丈夫って。

 

でも・・・父さんとの約束だから。

 

これ以上・・父さんを怒らせない方がいいから。

 

それに・・・智は僕に嘘を・・・。

 

だから。

 

僕は・・・スマホをそのままにして。

 

部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく・・・何もできずにただ座ったままでいたけど。

 

食事が途中のままのテーブル。

 

急に僕は・・・片づけを始めた。

 

何かしていた方が。

 

気がまぎれる。

 

残った食べ物をラップして冷蔵庫にしまい。

 

汚れたお皿を重ねグラスと一緒に運び・・・シンクに置き。

 

洗い始める。

 

・・・。

 

・・・。

 

今頃・・・父さんはもう着いたかも。

 

何を・・・話してる?

 

智・・・責められてるかも。

 

父さんに。

 

殴られるとか・・・そういうのは・・・ないよね?

 

でも。

 

もしかしたら。

 

もう。

 

・・・。

 

・・・。

 

ちょうどいいって思ってるかもしれない。

 

もし智が・・・僕と別れたいと思っていたとしたら。

 

今のこの父さんのタイミングは。

 

智にとっては・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        痛・・・っつぅ・・・

 

 

 

突然・・・指に痛みが走り。

 

持っていたグラスを手放した。

 

ゴトン・・・とシンクに落ちるグラス。

 

指ににじむ赤。

 

グラスを見ると・・・ふちが欠けていて。

 

そこで・・・指を傷つけたみたいだった。

 

水で流してから・・・傷ついた指を見る。

 

 

 

左手。

 

 

 

薬指。

 

 

 

の・・・付け根。

 

じんわりと広がる赤いすじが。

 

まるで。

 

・・・。

 

・・・。

 

指輪みたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを見て。

 

突然。

 

思い出す。

 

あの・・・幻想的な大正池の風景。

 

昇り始めた太陽。

 

湖面からもやのように浮かび上がる煙。

 

そんな中。

 

智が・・・僕にくれた指輪。

 

太陽のパワーをいっぱいあびた指輪。

 

本物の指輪ではなかったけど・・・でも。

 

そっと。

 

僕の指にはめてくれた指輪。

 

実在する指輪ではなかったけど・・・でも。

 

確かにそれは・・・僕の左手の薬指に。

 

ずっとあった。

 

あの時から・・・ずっと。

 

ずっとずっと・・・あったんだ。

 

クリスマスの時だって。

 

確かに・・・見た。

 

この薬指が・・・きらっと光るのを。

 

僕は確かに見たんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   智

 

 

 

ぶわっと・・・涙が溢れる。

 

一瞬で零れ落ちる涙。

 

愛されている。


そう・・・僕は。

 

ずっとずっと・・・愛されている。

 

知ってたのに。

 

知ってたはずなのに。

 

どうして。

 

どうして・・・智の愛を疑ったりしたんだろう。

 

ぐいっと・・・服の袖で涙をぬぐうと僕は。

 

近くにあったティッシュで指の付け根をくるむと。

 

そのまま・・・部屋に戻りスマホと財布を持った。

 

ちらっと見えた・・・ディスプレイ。

 

何度も送られてきているLINE。

 

その・・・最後の言葉。

 

 

 

   心配ないからな

 

 

 

それを見てまた涙が溢れる。


ほら・・・ね。

 

僕は。

 

こんなに・・・愛されているんだ。

 

・・・。

 

・・・。

 

父さんに言われたのは。

 

電話に出るなってこと。

 

連絡とるなって・・・そう言われただけ。

 

まだ・・・電車は動いている時間。

 

だから。

 

・・・。

 

・・・。

 

うん。

 

これは・・・禁止されていないはず。

 

怒られない・・・よね・・・。

 

そう考えて僕は。

 

家を走り出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

つづく

 

 

 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜*~

 

 

 

 

作者のナツコです。

 

読んでくださって、ありがとうございました。

 

お話はまだまだ続きます。

 

毎日0時8時16時に更新の予定でございます。

 

最後までお付き合いいただけたら嬉しいです♪