大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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エレベーターを待てずに。
1階の非常階段入り口の扉をあける。
とたんに聞こえる上からのざわつき。
俺は・・・2段抜かしで階段を駆け上がった。
騒ぎに気づいたのか。
患者らしい人たち何人もが遠巻きに見ている。
その人垣をよけ。
たどりついたそこには。
血の海の中に横たわる和。
閉じられた瞳。
蒼白の顔。
生気が感じられず。
一瞬・・・気が遠くなる。
地面がゆがみ・・・倒れ込みそうになり。
俺は手すりにすがりついた。
「ニノちゃん!しっかりして!」
直ぐ傍らに・・・多分一番に駆け付けたであろう相葉先生が。
血だらけの白衣で。
和の細い腕に点滴の針を刺しながら大声を出している。
ガラガラ・・・と音がして。
廊下から計器が運ばれてきて。
それで我に返り・・・器具を手に取る。
「和!」
「大野先生!意識レベル300だから!呼び掛けて!」
「和!和!!!」
「呼び掛け続けて!それこっち貸して!」
「和!・・・和!」
「誰か!ストレッチャーを!」
手の中の器具を相葉先生に奪われる。
から手になったその手で・・・和の手を握る。
握り返してくれないから。
重くて落ちそうになる。
それを抱えるように・・・両手で握る。
なんで。
どうして。
現実が上手く理解できない。
ついさっきまで・・・元気だったのに。
だから今だって・・・元気なはずなのに。
和。
目を開けて。
俺を見てよ。
嘘だろ。
握りこんだ手が冷たくて。
愕然となり。
違う・・・これは現実じゃない。
大丈夫。
きっとすぐ目をあけて。
智・・・って。
あの俺の大好きな声で。
言ってくれるんだろ?
大丈夫なんだろ?
「雅紀!代わる!」
「翔ちゃん!遅いよ!」
「悪りぃ。ニノ!すぐ助けてやるからな!智君!」
「・・・。」
「智君!」
「・・・。」
「ちょ・・・智君!!!」
「・・・ぁ・・・。」
和を見つめていただけで。
何もできない俺。
和。
だって・・・和が。
俺の和が。
「呼び掛け続けて!智君にしかできないでしょ!」
「・・・。」
「早く!」
「・・・。」
「智君!」
翔君に胸ぐらをつかまれる。
ぐいっと・・・顔を近づけられ。
凄みのある声で・・・小さく言われる。
「ニノを失くしてもいいの?やでしょ。」
「・・・。」
「ニノをこっちに呼び戻して。智くんにしかできないことだから。」
「・・・。」
「早くっ!」
バン・・・と身体を激しく手離される。
反動で床に手をつき。
和を見つめる。
和。
和。
「出血多量で・・・」
「骨折は・・・」
「CTを・・・」
翔君と相葉先生と松本先生の声が。
どこか遠くに聞こえる。
ピピ・・・ピピ・・・という計器の音も。
かすかにしか聞こえなくなった。
眼の前には・・・動かない和。
自分の鼓動・・・ドクドクいう音がやけに耳に響く。
息が震える。
・・・。
・・・。
和。
そっと。
その頬をなでる。
すっと・・・血の跡ができる。
いつの間に・・・ついたのか。
俺の指が血だらけだった。
突然襲う恐怖。
和を失う恐怖。
これは・・・現実だ。
現実なんだ。
背筋を・・・悪寒が走り。
床についた手が震える。
・・・和。
待って。
ダメだ。
ダメだよ和。
逝かないで。
俺を。
一人にしないで。
「和・・・。」
「・・・。」
「逝・・・くな・・・。」
「・・・。」
「・・・和・・・。」
「・・・。」
「俺を・・・置いて・・・逝かないで。」
「・・・。」
「和・・・。」
震える声。
溢れる涙で和の顔がにじむ。
ぐいっと。
腕で顔を拭く。
.
つづく