Ann | 言葉は天から降りてくる

言葉は天から降りてくる

日々舞い降りてくる言葉をひろってみました

今から30年くらい前

我が家に、子供の手のひらでも握れるくらいの、小さなクマのぬいぐるみがやってきた

ぬいぐるみというより、マスコットと言った方がいいかもしれん


一つは1号のAnn

もう一つは2号ので、名前は何だったろう❓


当時小さかった1号2号がどこに行くにも連れていける大きさのベアは

彼女達の父親が

「そげんおんなじぬいぐるみとか邪魔になる

2人で一つにしとけ」って言うのを受けて、大きいのじゃなくて、小さいのを二つ買い求めた


小さな子供やもん

自分が抱っこしてたいんやもん

2人でとかムリやろうなって思って


小さな2人はそれぞれに喜んで、自分のクマを可愛がった


そんなある日、1号が自分のクマを放り投げて

「こんなのいらない‼️麻衣ちゃんのがいい‼️」


理由を聞くと、Annの片目が取れて、お目々のないのはいらないって言う

取れたビーズのお目々を捜したけれど、どこにも見当たらない

自分のクマを取り上げられた2号はギャン泣き💦💦💦


1号に

「きっとお目々の病気だよ😓

お目々に包帯してあげるから、可愛がってあげて☺️

麻衣ちゃんのは返してあげて」って言ってみたけど

「愛ちゃんは、お目々のないクマはいらない😡」って癇癪をおこした


子供を育てる中でありがちな小さな事件


子供には深い意図はないけど、私個人がこういうのがイヤだった

で、言った

「愛ちゃん、もし愛ちゃんがお目々の病気になったら、お母さんは愛ちゃんを捨てていいと❓

Annは愛ちゃんをお母さんって思ってるよ

お目々の病気だからいらないって言われたら悲しくない❓」


「かわいそう😭😭😭

Annがかわいそう😭😭😭

ごめんね

Ann、ごめんね😭😭😭」

1号がブワァッと泣いてAnnを抱っこした


それから、小さな端切で眼帯を作ってAnnにつけてあげた


それから後、1号はどこに行くにもAnnと一緒


ある日、バスで検診に行った帰りに

どこかに(多分バスの中に)Annを忘れてきた


家で気づいて大泣きして、私もバス会社に電話したけど、Annは見つからなかった

「Annはどうなるの❓

泣いてない❓

愛ちゃん、お母さんなんに😭」

「愛ちゃん、こんなに捜してもおらんのやもん

きっと、どこかの人がAnnのお母さんになろうと思って大事にしてくれるよ

大丈夫だよ」


1号はそれから

2号のクマを取り上げることもなく

「Annそっくりなクマさん捜してこよう」って言っても

「Annじゃないから」って断った


そのうちAnnの事は話題に上らなくなった

残ったクマも見向きもされなくなった


だけど、なんだかあれからずっと

小さなベアを捨てきれずにいて、そのクマは今も窓辺のイスで日向ぼっこをしている