納豆巻きと納豆おにぎり
納豆巻きは巻きずしの定番で、どこの寿司屋でも家庭でも見られるのに、納豆おにぎりとなると一向見当たらない。
両者の違いは何だろう。
巻きずしの方は、酢飯で作る。酢飯は、炊いたおまんまを蒸らしながら酢と混ぜて作る。だから、巻く時にご飯は粗熱が取れている。生ものである納豆に優しい温度環境だ。
一方、おにぎりは炊き立ての熱いご飯で握られる。これは納豆にとっては過酷な環境だ。その後数日間お店に並べられることを踏まえると、なおさらだ。
次に、納豆巻きの方は納豆が顔を出しているのに対し、おにぎりにすると完全にご飯に包まれてしまう。これでは納豆の呼吸が妨げられ、劣化が早いのだろう。それと単に、納豆がかわいそう、という理由もあるに違いない。
成型の差もある。巻きずしなら、海苔の上に平らにならしたご飯を乗せ、納豆を乗せ、とすればあとは手を納豆に触れることなく巻くことができる。これがおにぎりだと、ご飯を手に取って、納豆を取って、またご飯を取って、丸めて、としている内に表面のご飯に納豆の糸や粒が付着してしまい、これまた見た目によろしくない。
こうした理由から、納豆おにぎりは実現可能性が低く、また、できたとしてもすでに納豆巻きという大先輩がいる上、性能的に先輩の方が上なので、これまで誕生しなかったのではないか。
逆に言えば、これから世に出せばヒットする可能性はある。ただしそのためには特筆すべき何か、納豆巻きにはない付加価値が必要となっている。