レジ店員の視線
他人の目は極力気にしないようにしている。陰口も、陰にある内は当人の耳に入らないものだと、気にしないようにしている。
だがこの時ばかりはそうもいかない。
納豆を買う時だ。
野菜は八百屋で買うことが多いのだが、スーパーではその他の食材、肉や牛乳などと一緒に納豆をカゴに入れる場合もある。これは普通だ。仮にオーソドックス・ショッピングと名付けよう。
で、問題はオーソドックスを逸脱した場合だ。これをオリジナル・ショッピング(仮)とする。
新しい納豆、まだ食べたことのない納豆を求めて、そのためだけに旅に出たり新しい店に入ることがある。その時、もの珍しい納豆に惹かれて買い漁る。カゴは納豆で占領される。それはもう、連合国軍も真っ青なほど、納豆の領土がカゴに広がっている。
その買い物カゴをレジに持って行く。店員がバーコードをピ、ピ、と読み取る。読み取るが、次もその次も納豆だ。納豆しかない。
新潟の時は八個。神戸の時は十二個だった。
ドギマギの時間である。
もちろん店員は何も言わないし、表情にも出さない。だが、何も思っていないかというと、そうではないだろう。
「うわ、この人納豆ばっかり買ってるよ。こんなに食べるの?」
とか、シンプルに、
「多っ」
とか。
とにかく妙なものを見た、といった感覚に包まれているだろう。
自意識過剰だろうか。
そう言われれば、そうかもしれない。