~いわき湯本温泉から世界へと広がる“ワクワク感”~
福島県いわき市の中央に位置する「いわき湯本温泉」は奈良時代から続く歴史ある温泉地。近代に入り炭鉱のまちとしての栄枯盛衰や温泉の枯渇を経験し、歓楽型温泉観光地として復活を果たした。そしてまた大きな困難である東日本大震災に直面。その影響で減少した観光客数が思うように回復しない。
「このままでは、わが子、孫の代にはいわき湯本温泉がなくなってしまうのではないか」。
「私たちが愛してやまないこのまちを後世まで残したい」。
そこで立ち上がったのが、いわき湯本温泉「湯の華会」の女将たち。
トコナツ歩兵団の協力のもと、着物でフラダンスを踊る「着物deフラ」に着目。そこからいわき市に根付くフラの文化といわき湯本温泉の持つ「和」の文化を融合させた、「フラのまち宣言」を行い、「フラ女将」を誕生させた。
ただ、これまでの歩みは決して平坦なものではなかった。また、これからの課題も山積みである。では、フラ女将はどのようにして実現し、これからどうなっていくのか。女将で結成される「湯の華会」会長の大場ますみさんと、いわき市常磐支所市民課の野田泰弘さんに話を伺った。
・いわき市を復興させるために立ち上がった女将たち
大場:2011年の震災後、いわき市は、原発の煽りと風評被害により大きな打撃を受けました。しかし、かつては炭鉱で栄えたまちです。大変な労働環境ということもあり、炭鉱に関わるすべての人々は、運命をともにする「一山一家」との認識があったのです。そのため、住民たちは強い連帯意識で結ばれていました。
野田:私にとって女将という存在は、ベールに包まれていて、普段はお会いする機会のない方々です。そのような方々がまちのPRにどこまで協力してくれるのか。また、我々はどのように関わることができるのか。最初は、不安だらけでした。
大場:たしかに不安はありました。でも、私たちには「湯本という小さなまちに詰まったたくさんの魅力を伝えたい」という強い気持ちがあったのです。そこで私たちは、一山一家の精神で、街の復興に取り組むことを決意しました。
・「フラのまち宣言」へ
大場:渡部さんからのアドバイスもあり,先人から受け継いだ温泉の“和”の文化と、スパリゾートハワイアンズが新たに確立した“フラ”の文化を融合させて、まちづくりをすることに決まりました。「フラのまち宣言」の発表です。
野田:女将たちが結束して「やる!」と決めた後のパワーは凄まじいものでした。まちの地区代表が集まる会議で突如、「いわき湯本温泉はフラのまち宣言をしたい!」と報告したのです。さすがにそのときばかりは、私も顔面蒼白になってしまい……。まち中から「勝手なことをするな!」と怒られるのではないかと冷や冷やしていました。
大場:フラのまち宣言に至るまでも、また宣言した後も、歴史に根付く問題やリスクはありました。それでも、私たちはやろうと決めたのです。
野田:不安をよそに、女将さんたちの力強い「フラのまち宣言」は、まちの期待を集めました。地区の様々な団体や企業など、資金面でバックアップをしてくれる人々が増加。それまで積極的に参加することのなかった街の人々も、憧れの女将さんが奮起する姿に、いつの間にか強い関心を抱いてくれるようになったのです。
(2)に続く
★トコナツ歩兵団公式HP http://www.tokonatsu.net/
★団長のインタビューが掲出されました!
(前半)http://www.oricon.co.jp/news/2043715/full/
(後半)http://www.oricon.co.jp/news/2043924/full/
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