こんにちは♪
お立ち寄りいただき、ありがとうございます(*´˘`*)

昨日は、小雨から本降りに・・・
今日は、風が強いけれど雲間から陽射し、
そんな天気です。


互いの都合や仕事などで、
なかなか時間が取れず・・・
何となくヤキモキしていたのですがσ(^_^;)

「うん、今度こそ行こうね」
そう約束していた映画 『ムーミン』
先日、やっと娘と楽しむことができました。


「ムーミン」の不思議な世界観。
背景のイラストが凄くキレイで、
淡い感じにも、深みのある感じにも
優しい感じにも観ることができ、
とっても、ふんわりまったり とした気分♪
笑顔に包まれて過ごせました。


「ムーミン谷」が一番落ち着く場所。
娘と「そうだよね~♪」で、納得。v(^-^)v


「さまぁ~ず」のお二人の声優ぶりも面白かったな。
お二人の個性が、それぞれ
いい感じに発揮されていたように思いました。
思わず笑ってしまうのが・・・三村さん♪
いつもの感じで、ますます好感が持てました。


電車とバスを乗り継ぎ到着。
映画が始まるまでの間
ウィンドーショッピングをしたり、
勉強を兼ねて雑貨店を見たり、
ランチセットを食べたり・・・♪

ランチのパスタもとても美味しかったのですが、
セットのケーキもめっちゃ美味しくてヾ(´︶`♡)ノ
一口ずつ、交換して味わいました。


仕事や日常から少し離れて
それが久々だから、楽しめたんだと・・・♪
つかの間の解放感と
母子で水入らずの時間。

それぞれに悩みもあり、
娘の悩みにゆったりと耳を傾け
頷くこともできました。
即解決・・・とはいかないまでも、
それぞれの立場を考えるには良い機会でした。


曇りがちでしたが、ぎりぎり天気にも恵まれて
お土産に選んだドーナツも家族に好評でした。


今度はいつ一緒に外出できるかな・・・♪
楽しみは、もう少し先に置いて(*゚ー゚)ゞ


という訳で・・・
元気と笑顔を補給できました。

さて、それでは、
今日も頑張りま~す








夕陽を追いかけていたら、住宅地の外れに出た。
雑木林の裏側に続く細い道の途中。
決して新しいとは言えない建物の前に、
古びた木製の看板が立っている。

看板には、『 喫茶 夕影  』とある。
文字は薄れているが、そう読める。

こんな所に喫茶店があったなんて・・・
恐る恐る、私はそのドアを開けた。
店内は整っている。
気分が不思議と落ち着いてくる。

窓から夕陽が差し込み、アップルティーの甘い香りが漂う。
さほど広くはない店内から、穏やかな笑い声が聞こえる。

だけど・・・
マスターが一人、食器を拭いているだけで、客の姿はない。

私に気づくとマスターは、
笑みを浮かべてテーブル席を手のひらで示した。
そこは、夕陽がテーブルを斜めに半分だけ照らす席だった。
私は頷いて示されたテーブルに着いた。
そして、アップルティーを注文した。

「かしこまりました。
貴女がそろそろ来られるかと・・・
そう思ってお待ちしていました」

「え・・・⁈ どういうことですか、それは」

「驚かせてしまいましたね。失礼しました。
貴女がここを訪れることを信じておりました」

「信じていた、私を待っていた・・・
それって・・・、どういうことでしょう⁈」

「今、アップルティーをお持ちします。少々お待ちを」

カウンターの向こう側で、
マスターは穏やかな声でそう言うと、
グリーンの絵柄のついたティーカップに注いだ。

私を信じて待っていた・・・
それに、確かに笑い声が聞こえた・・・
どういうことなの・・・⁈

窓から見えるのは、夕陽を浴び絵画のような住宅地の端。
私は窓の外の沈みかけた夕陽を見つめた。

「お待たせしました。
こちらも、ぜひお召し上がりください。」

アップルパイーーー。
ティーカップソーサーの隣にそっと置かれたのは、
つやつやしたパイ皮の
甘酸っぱさと香ばしさを放つアップルパイだった。

「私にですか・・・⁈
ありがとうございます。でも・・・」

「何もおっしゃらずに召し上がって頂けませんか」

マスターは落ち着いた声で、優しく、そう言った。

「あ・・・、はい。それでは遠慮なく」

私はフォークで切り取り口に運んだ。

サクッとした香ばしい食感の中に、
甘酸っぱいリンゴが柔らかに広がる。
シナモンの風味も嫌味がない。

・・・これは・・・。

「あの・・・私・・・
このアップルパイ、以前にも食べたことがあります」

「思い出してくれたのですね。
そうです。あの時のアップルパイですよ」

あの時の・・・
そう、私はまだ小学生で幼かった。
これは、あの時のアップルパイ?

もう十年以上前のこと。
両親と私がこのテーブルを囲み、
父はブレンドコーヒーを、母はアップルティーを、
私はアップルパイを、それぞれ笑顔で味わったのだ。

私はマスターの横顔をそっと見た。
どことなく見覚えがあるような・・・
シワと白髪をなくしたら・・・
もしかしたら、父の大学時代の後輩の山城さん⁈

だけど、山城さんはあの日、父と一緒に・・・

「そのとおりです。
私は貴女のお父様と同じ大学の後輩。山城です」

心を読み取った。
私の考えていることを。

「や、やましろさん・・・」

「怖がらないでください。友里奈さん。
ご存知のとおり、私はお父様と同じスキー事故で死亡しました。
私たちは学生のときにスキーで親しくなったんです。
8度目の雪山。あの日、雪崩に巻き込まれ・・・」

「山城さん、もうそれ以上は・・・
おっしゃらなくても知っています」

「そうですね。悲しい話をしてしまいました」

マスターは頭を下げた。
私は黙って首を横に振る。

「どうしてここにいらっしゃるのですか⁈」

マスターは微笑みながら、ゆっくりとカウンターに戻った。

「喫茶店のマスターになることが私の夢でした。
夢が叶ったばかりでしたが・・・」

マスターは遠くを見るような表情で話を続けた。

「先輩に喫茶店の開店を知らせると、
貴女方ご家族がお祝いを兼ねていらして下さって。
あの時は嬉しかったですよ、本当に。
ええ、本当に嬉しかったんです」

私はマスターの表情を追う。
笑っているようにも、悲しそうにも見える。

「貴女方は、私が作ったアップルパイや、
コーヒーと紅茶を、嬉しそうに、美味しそうに
楽しそうに笑って味わってくれた。
とてもとても幸せな時間でした」

私を真っ直ぐに見て、

「もう一度、もう一度だけ
味わって欲しかったんです」

マスターは呟くように、そう言葉を続けた。

父母の笑顔が蘇る。
若かりしマスターの幸せそうな笑顔も。

「とても美味しいです。
アップルパイもアップルティーも。
私も懐かしさで幸せな気持ちです」

「それは良かった。
こちらこそ ありがとうございます」

「いいえ、お礼を言うのは私の方です、マスター。
亡き父の笑顔を思い出せました。
アップルパイの味も、穏やかなひと時も」

そう・・・、父は笑うと口元にシワができる。
母は、嬉しそうにフフフ、と微笑んでいた。
蘇るあの頃。優しい時間が流れていた。

「良かった・・・
それは何よりです」

「辛いことが重なって・・・
夕陽を追いかけて歩いていました。
気づいたら町外れの雑木林に・・・
そして、看板を見て」

「はい、存じておりますよ。
恋人とのことも、お母様の病気のことも、
今の仕事での悩みも・・・
ここは今回限りですが、今を楽しんでください」

「今回限りなんですか?
それでは、もう二度と・・・」

「はい、残念ですが、今回限りです。
お会いできて本当に良かった・・・」

マスターは優しく微笑みそう言った。

「ゆっくり一歩ずつ、また歩めますね、友里奈さん。
辛いことがあったら、思い出して下さいね。ここでのことを・・・
それから、当時の店名は『夕映え』でした」

・・・そうだった。

「確かに・・・そうでしたね。
マスター、そうします。
また一歩ずつ、歩を進めたいと思っています」

マスターは二度大きく頷くと、
すーっと、その姿を消した。

あ・・・、と思っているうちに、
ティーカップも食べかけのアップルパイも
テーブルも喫茶店の建物も、消えていた。

消えちゃった・・・
父に、私は元気だと伝言を頼みたかったのに。
アップルパイのおかげで笑顔を取り戻せたよ、と
伝えてほしかったのに。

私は雑木林の前に立っていた。
古ぼけた看板が雑木林の手前にあった。
薄くなった文字を見ると、
『 喫茶 夕映え 』

すごい魔法を使うのね、マスター。
ちゃんと店名も変えて現れるなんて・・・

ありがとうございます、マスター。
全部食べたかったけど、
懐かしいアップルパイもアップルティーも、
喫茶店の雰囲気もそのままに、再び出会えた。

たとえ、ひと時の、
わずかな時間の短い憩いだとしても。

最初に聞こえた、あの笑い声は私たち親子の・・・。
きっとそうなのね、マスター。

私はそっと手を合わせた。
看板の中にマスターの魂が眠っている。
そんな気がした。

雑木林を夕陽が照らす。
鮮やかな夕映えが西空を彩り、
穏やかな風が木立を吹き抜けた。




ーー 読んでいただき有難うございました。 by なつこ ーー














あれは夏の終り頃のこと

バスを降り歩いていると
久しぶりに夕焼け空を見た

ちょっと公園に寄っていこう
ここまで来たら家は近い

私は、夕空を写そうと公園に入った
そこで、私の目に飛び込んできたのは

とても美しく可愛らしい・・・

金色の巻き毛の少女が草むらに立っていた
水色のワンピースが夕風に揺らぎ
花束を両手で胸に抱えている
金色の髪をなびかせ微笑んでいる

妖精・・・まさか・・・⁈
私は、自分の目を疑った
うっとりするほど、キレイ・・・
少女も花束も緑色の草花の背景も

小さな女の子が少女に走り寄る
ピンク色のリボンをつけて金色の髪を揺らし
片手でリンゴをかじっている

妖精が増えた
今、私に何が見えているんだろう・・・⁈


そろりそろり、辺りを見回すと・・・
公園の入り口に長身の女性が立っていた
超スレンダー
ライトグレーのロング丈のワンピースが良く似合う
ブロンドのセミロング
鼻筋の通った端整な横顔
くるくるした毛先が風に遊ぶ


金髪の妖精たちはブランコで遊び始めた
長身の女性は「花束」と「かじりかけのリンゴ」を預かる

時々トーンを変えながら
笑ったり首を傾げたりしながら静かに話している
まるで歌うように


何語だろう・・・。

英会話のようだけど
私の耳には、まるで ちんぷんかんぷん

花束は、公園内に咲いている野花だった
「ヒメジョオン」と「タンポポ」
素朴な野花が華麗なブーケに見えた

しばし、その光景に見惚れていたが怪しまれたくはない
私は公園内の花の写真を撮りに
少女たちが居る位置から反対の方向に歩いた

その時はなぜか・・・
夕焼け空のことを、すっかり忘れてしまっていた

茂みの影に白いタチアオイが咲いていた
私はレンズを向ける
レンズを向ける、と言っても
写真もカメラもまったくの素人
奥の花壇には「キバナコスモス」
溢れそうにそよいでいる

後で少女たちに知らせてあげよう

オレンジ色・黄色
かわいいコスモスが
しなるように風に揺らぐ

何枚か写すと私は振り返った

姿がない
少女達がいない
妖精は姿を消してしまった

やっぱり、幻を見たんだ
私はゆっくり公園内を見回した。

うふふ・・・♪
まぼろし
そうよね、妖精がいるなんてあり得ない

私は公園の出入り口に向かって歩いた

ふふふ・・・♪
そうよ、アレはまぼろし

ブランコのそばに近づいたとき
真っ赤なリンゴに気づいた

かじりかけのリンゴがブランコの上にある
少し前まで遊んでいたのか
ブランコは前へ後ろへ
小さく揺れていた

妖精がかじったリンゴ
小さな歯型のついた
真っ赤なリンゴ

ちょっと見入って、リンゴから視線をそらすと
視界の端に柔らかな茜色が見えた

あ、そうだった
夕焼け・・・
私は慌ててシャッターを押す

妖精
いたのかもしれない
家族には内緒だけれど
私には少女達が妖精に見えたのだ
本当に・・・♪