副将編はこちら!
東2局でこの700-1300をアガりきる。この局面は本長がマンズのチンイツ仕掛け、シングル選抜鷲尾のオヤリーチ、同順林も白をアンコにしたソーズのホンイツイーシャンテンと3者の高い手が煮詰まりつつある状況であり、かつ自身はこれ以上押していくのが厳しい状況。
麻雀甲子園2017決勝戦も、ついに最終半荘である大将戦を迎えた。
改めて4チームのポイント状況をおさらいしよう。
下位2チームとは更に差があり、3位のシングル選抜とは60700点差、4位のYDTに至っては98100点差となっている。とはいえ時間打ち切りもトビもないこのルール、大物手が出ればシングル選抜でも一気に優勝戦線に浮上できるのは間違いない。
ただ4位のYDTは少し厳しく、その点差に加えて、大将戦の席順が開始時点でポイントのないものから東家、南家、西家、北家の順番で決まることもあり、早々とオヤ番がなくなってしまうと完全な目無しになる可能性が高いだろう(麻雀甲子園は役満の複合を認めていない)。
そうするとやはり勝負は、畢竟南場の後半になってくる。
果たしてどんなドラマが待っているのだろうか。
開始前のインタビューで、林は「ここまでチームメイト3人の麻雀を見て、とても強い、最高の仲間だと確信した」「別日の予選で孤軍奮闘した門脇君(私のことである)の為にも勝ちたい」と語った。
林は今、多くの仲間たちの思いを背負って麻雀を打とうとしている。
先日行われた麻雀駅伝で初日が終わった後、アマチュア連合の萩原聖人(以下敬称略)が「(2日目に出番のある)瀬戸熊さんは必要以上に責任感が強いから大丈夫かな」と心配していたという話を耳にしたことがある。
そしてその懸念は的中し、先に出た選手のマイナスに力んだ瀬戸熊は大敗を喫してしまった。
全く同じ話が、今回の林についても当てはまるのではないか?
そんな私の老婆心を捻り潰すほどの衝撃的打牌が、開局早々披露された。
確かに事実上目無しのYTD本長がオヤ番で、發をポンしてのドラ赤で3900といった手をアガる意味がさほどない、というのはその通りだ。
しかしこの手は3mや68sが入ったり、どこかでアンコが出来れば何の無理もなくリーヅモドラ赤のマンガンが見える形であり、3s受けを嫌ってまでチートイに固定する必要性は感じられない。
首位との点差はあくまで28000点であり、マンガンを3回ツモれば文句なしの逆転である。
にも関わらず、浮き牌が明らかに優れているわけでもない場況でチートイツに固定した理由は何か。
そう、それは確実に引いてきた牌が1sだったからである(序章を参照)。
あろうことか開局からこの男は大将戦を私物化したのだ。
これで5000点差前後で決勝戦に敗北したら林は明らかに戦犯であるが、兎にも角にも余計な力みがないことは伝わった。
結局、この東1局は林のチートイツ(笑)が形にならず、オヤの本長からピンフリーチが入る。首位のイッツーが好き白水には役なしのテンパイが入っていたものの、ここからのリーチと勝負する意味はないとあっさり降りた所で本長の1300オールが決まった。
次局では一変して林が辛い選択を見せる。
確かに逆転の条件である「マンツモ3回」を満たす手ではあるが、オヤがもうどんな手でも押すしかない本長であること、加えてソーズの上が殆ど河に見えていないことを考えれば、ここはヤミテンが正解であろう。
林はこの大将戦を通して、3、4位のオヤ番では徹底して高い手を作り、それが難しいようであれば今局のように手にフタをせず進めていく、という方針を守っていたように思う。
結果としてこのヤミテンは首位の白水が7sを切り、2600は2900ながらデバサイのアガリとなった。
しかし白水も指を咥えて見ているだけではない。
東2局でこの700-1300をアガりきる。この局面は本長がマンズのチンイツ仕掛け、シングル選抜鷲尾のオヤリーチ、同順林も白をアンコにしたソーズのホンイツイーシャンテンと3者の高い手が煮詰まりつつある状況であり、かつ自身はこれ以上押していくのが厳しい状況。
3者の手を蹴り局を消化したという点で、打点は安いながらこれは値千金のアガリだった。
東3局の林のオヤ番では、逆転優勝を諦めない3者の手が、首位の白水への挑戦権を争うかのようにぶつかり合う。
まずは林のオヤリーチ。
本長も勝負手を作って追いかけていく。
打点はオヤであることを加味しても林が1番安い。
メンタンピンに赤もある本長、ドラを2枚も使った鷲尾の手に比べれば、林の手はまさにがらくただ。
しかし林の憧れの打ち手である前原雄大は、こういった2pを常にツモアガって来た打ち手であるはず。
前原に憧れ続けてきた林への審判が下る時が来たのかもしれない。
決着の鐘は、この牌によって鳴らされた。
続く1本場では今度こそ鬼手、いや本手のリーチを打ったものの、本長のドラポンに捨て牌が捕まってしまい、8000は8300の放銃。
苦しい展開になったが、林はいつもの「鬼手だぞ」を出すことも、集中力を切らすこともなかった。
東4局の白水のオヤ番では、普段は鳴かないであろうこの發をしっかりとポン。
するとこのポンから本長にとんでもない手が入る。
この裏には林のいぶし銀なプレーがあり、先程ポンした發の4枚目を引いた際にきっちりと加カンしているのだ。
その時点で既に本長の中アンカンと元ドラの9p切りがあり、大物手の気配を敏感に察した上で「白水のオヤ被りを大きくすることで点差を詰めよう」という思考の下のカンである。
カンドラもカン裏も無関係だった為結果は同じであったが、下位2チームの諦めない姿勢、そして林の決して手を抜かない麻雀が、少しずつ首位白水の精神を蝕んでいっていることは明らかであった。
南1局にオヤの本長がリーチをかけた所で、遂にそれが表出する。
例えばリーチ者が林であったりすれば、リスクを冒してでも止めに行く価値はあるが、現状のYDTは60000点ほどの差があり、まだまだ放っておいても問題ない所。
片無筋の4sや両無筋でかつ赤の5pを勝負するのは見合わない。3pを鳴かなければ手牌はチートイツのリャンシャンテンであることを加味せずとも、この鳴きはミスである。
一方林はこのリーチに暫くは対応していたが、終盤にこの手格好になる。
本長のリーチへの放銃が下らないのは林も同じである。残りツモが少ないことを考えても、「普通なら」オリの一手である。
ただ、これはあくまで凡人の理屈。
林の憧れる前原雄大であれば、まっすぐ危険牌を打ち出し、真っ向勝負に出るはずである。
頑張れ林!前原雄大のような打ち手になってくれ!
長考に沈んだ林が行き着いた最終形は…
そして林はこの手をリーチと出た。マトの白水が4mを前巡に切っていることもあり、普通はヤミテンのはずである。
しかし前原雄大は、そして林はこの手はまっすぐリーチしなければならない。これをリーチするからこと、彼らは打ち手として輝くのだ。
私自身この手を躊躇わずリーチした林を見て、決勝戦の勝利を確信した。
結果は2人テンパイでの流局となったが、そのような出た目というのは最早関係ないのである。
本長の500は600オールで連荘が続いた2本場で、遂に林の快進撃が始まった。
後編に続く!














