上智大学の北原延晃先生の研修に行ってきた。
以下、研修後に書いたレポート。
年内の研修で予定されている10月のリーディング指導と12月のライティング指導へのプレリュードとして、北原先生による熱い思いで、午後の研修が始まった。
【1】やっぱり和訳から離れられないのか
(1)北原先生からの問題提起
関東甲信越英語教育学会での工藤洋路教授(東京外国語大学)の講演内容に対する異論。
(以下、研修資料から引用)
「「黙読するときに音声化のスイッチをオフにできず・・・」これには首をひねりました。それは果たして可能なのか。」イギリスに留学している時に、「「もっと早く読めないのか」と思って「頭の中で音声に変換されることをやめればよいのではないか」と考え、実験してみたことがあります。結果は、読めるけど内容が入って来ませんでした。結論として、リーディングの時には脳内で音声化することを避けることはできないということを知りました。上智大学の複数の学生が「目で読んでいたので間違いに気づかなかった」と言っていますが、それは音声化のスイッチを切ってしまったためではないかと思われます。」
同じ学会での及川賢先生(埼玉大学)の「定詞の名詞的用法の導入に"want to~"は適切か」というタイトルの講座でも、大雑把に言えば、「~することを欲する」というヘンな日本語を介するので不適切という流れにおいても、「話を聞いているとやっぱりここでも和訳が出てきます。」
(以下、北原先生の口頭での説明)
「音読はintakeにしかすぎないので、中1中2だけにやらせた。欧米では、自然に日常生活で英語が聞こえてくる。一方、日本では日常生活で英語が聞こえないので、自分の声でinputするしかない。
中3では音読指導をしなかった。それでも、定期試験には、音読をしなければ点数をとれない問題を出題するのを生徒たちが分かっているので、一定の音読をやっていた。要するに、中3では、1~2年生の時のように回数指定をして音読をやらせなかった。
高校で音読をやっている話をよく聞く。高校の教科書は文が長く、音読をたくさんやる必要はないのではないのではないだろうか。
一方、現行版中学校の教科書は1ページ当たりの本文語数が多いので、先生が指定した範囲を充分に音読させる方法を取るべき。昔の教科書は、文が短かったので、暗誦できる程たくさん音読をさせる意味があった。」
(2)考察
2021年度(令和3年度)の教科書改訂で、中学英語は「学ぶ語彙量の大幅増」と「小学校内容の前倒し」が行われて以降、もともと存在した生徒間の英語力にあった大きな差が、さらに大きくなったように、教室に通う生徒を通じて感じる。
例えば、約6年前では、英語成績1~2を取る中2の2学期の生徒でも、教科書本文を音声化することがある程度はできていたが、昨年度に出会った、同じ公立学校で英語成績2~3の中1の3学期の生徒は、中1の教科書最初の本文、自己紹介の内容を音読させると、途中で読めない部分に出会って、それっきり前に進めなくなった。できないレベルが、数年前よりもさらに下がった。
ディジタル教科書使用推進や行政によるICT推進命令の影響を受けて、学校の先生の指導によっては、学校の英語の授業で中学生が教科書を音読する場面が減ったことが原因であろう。実際に、生徒から話を聞くと、教科書本文を音声化できない生徒は、学校で、ほとんど音読に繋がる活動がない授業を受けていると。一つの授業で、本文を聞いたりk声に出す場面は、僅かに数回だけで、ほとんどの時間は、「先生が作ったプリントを埋める」作業に費やされるという。
一方、異なる学校に通う高校生の生徒たちからは、学校の授業で音読をさせる先生がいると聞いている。
推測だが、中学校時代に音読指導を受けていない生徒が多すぎ、高校の授業で困る場面があるので、全体的な底上げを狙って、授業で音読をやるようにしたり、定期試験のオタスケ問題をして、音読をやればその部分は点数を取りやすい、教科書本文の穴埋め問題を出題するようになったと考えられる。
独立開業して以来、分かっていることは、北原メソッドで教えれば、中1の夏までに入塾した生徒(勿論、小学生全員も含まれる)については、どんな勉強嫌いであっても、①発音習得・修正が一瞬でできる、②英語脳が出来上がって、中2教科書を終える頃に、「帰国子女か?」と言われるような、流暢な英語を話す生徒に育てることができること。
要するに、音読指導は中学校の英語の先生の責務なので、きちんと中1~中2の段階で指導するべきという事だと考える。
【2】北原先生による、中2対象の公開授業「関係代名詞の導入」(午前中)
授業の流れに沿ってコメントする。
(1)自己紹介:研修常連参加者にはおなじみの、北原延晃の一つ一つの漢字を英語で言い表す、中3版。
Mr. Kitahara(K): What is your textbook?
Students(S): New Crown.
K: Your textbook is good. But this textbook, Sunshine, is better.
生徒と一緒に、good, better, the bestを言って復習。
3種類のワークシートを配布。教卓の上に並べて積み重なったのを、生徒に配布させる。「どうやったら早く全員に行き渡るかを考えて行動しなさい。」
(2)ワークシート「1,2年で習った後置修飾」
声に出して読み合わせ。「みんながどこを読んでいるのかわかるように。」
1,2年で習った後置修飾
①前置詞を使ったもの(1年)②to + 動詞の原形を使ったもの(2年Lesson 3-2)
3年で習った後置修飾
③現在分詞(-ing)を使ったもの(3年 Lesson 5-1)
④過去分詞(-ed)を使ったもの(3年 Lesson 4-2)
K:「ここまでが今まで学んだこと。Look at the right side.」
以下、3年で習う関係代名詞⑤~⑧には、触れずに、プリントの右に書かれた部分を使ってゲームへ。
(3)「先生が説明するものや人を指さししよう。早く正しく指せた人が1点です。」
プリントには9つの□が書かれている。例えば、その一つには、□の上にanimals、□の中にpenguin, giant panda, giraffeと書かれている。
□の上、□の中、という順番で生徒に読ませた上で。
K: 「二つの単語は、どんな関係ですか?」
S: 「これを詳しくしている。」
北原先生は、「抽象的」という言葉が生徒から出たので、そこから「具体的」という反対の意味の言葉を引き出した。「これらを「上位語」「下位語」と言います。今からゲームをやってみましょう。」「ペアになって、早く「はい」と言った方が勝ちです。」
animal living in China
bird that can speak
sports played by 15 players
vehicles taking you to a far place
stationery used for drawing straight lines
etc.
(3)わくわく文法 #14 & #15への準備
1年 the girl ( )
前置詞
K: 「書いたら立つ。英語はスピード命。間違えていいんだよ。」
教室内では、得意な生徒と得意でない生徒がペアになっており、得意な生徒が隣の生徒の様子を見て、「ここにヒントが書かれているよ」と声をかけている姿が見られた。
the girl (to )
the girl (-ing )
the girl (-ed )
(4)欧米の言語には、日本語で聞いたことがあるような後置修飾の言葉があるよ
モンブラン(仏)、モンテビアンコ(伊)、カサブランカ(西)など。
(5)わくわく文法 #14 & #15
それぞれ関係代名詞which, thatを空欄に書き込んだ。
(6)そのまんまスキット
A: Look at the house which/that was built by Tange Kenzo.
B: Tange Kenzo? Who is that?
A: A very famous Japanese building designer. He designed 東京都庁舎 and フジテレビ本社ビル.
B: Wow! Such a famous person!
①ジェスチャーをやること②発音が正確であることをポイントとして示したが、多くの生徒は、練習をしてもなかなか北原先生にチェックを受けに来なかったので、二つのことを試みた。
まず、参観していたジュリエット(ALT)にチェックを頼むと、すぐに並ぶ列ができた。さらに、失敗をしても恥ずかしい思いをしないように、チェックを受けに前に出たペアを廊下に出して指導した。
K: Where is the building?(ジェスチャーをしない生徒に対して)
多少気になる発音をする生徒がいたが、甘めにOKを出し、最後に、ジュリエットにスキットを読んでもらいながら生徒が復唱して生徒が発音を確認し、授業が終了した。
今回は、例えるなら、客演指揮者がオーケストラを指揮したような形。10月3日の研修では、常任指揮者が自分のオーケストラを指揮する形で、同じように関係代名詞を導入する授業動画を視聴する予定。日頃から鍛え上げてきた赤坂中の生徒への授業は、「全く異なる指導方法」だったという。