やっと読み終えました。
小説じゃないからちょっと読みづらいとこもあったけど、
「グロテスク」を読んだ後に感じた、モヤモヤ感は無くなりました。
実際の事件の全容を知ったからでしょうかね。
物語では佐藤和恵でしたが、実際は渡辺泰子。
「グロテスク」内の”肉体地蔵”の部分が泰子のことですが、
ほぼ実際の泰子のことを書いてあったんだなと思いました。
和恵みたいに下品で口が悪くはないみたいだけど、
路上での行為は事実だったようです。
お地蔵さんの前に立ってたってのも事実でした。
犯人として捕まったゴビンダはネパール人で、再審によって
無罪になるまで、15年も服役していました。
日本の司法はいまだ、ゴビンダに謝罪の一言もないという。
ネットでこの事件のことはたくさん出てるし、泰子の画像も出回ったまま。
殺された被害者なのに随分ひどいことを書かれたみたいですね。
泰子は大学2年の時に父親を癌で亡くしています。
父親が大好きで尊敬していた泰子はそこから激やせしていきます。
「インナーマザー」・・自分に対する過酷な批判者。
インナーマザーは、自分の無能、怠惰、醜さを責め、いっときも心を休ませてくれません。
これに憑かれた娘は「仕事人間」になるか「何もしない完璧主義者」になるか、
さもなければ、「痩せた体を追求する拒食・過食症者」や「容貌にこだわる醜貌恐怖者」になります。
(『インナーマザーは支配する』新講社)
泰子は仕事人間で拒食症でもありました。
何であんなことをしていたんだろうと気になってましたが、そういう事だったんだなって。
32歳の時から仕事終わりに風俗店で勤めるようになり、その後立ちんぼになります。
5年間も円山町に立って、1日に4人というノルマを自分に課して。
平日は仕事が終わってから、土日は昼から夕方まで風俗店に行き客を待ち、
その後は終電まで町を彷徨って客をあさる毎日。
最後は客に殺されて現金を奪われるという結末。
父親が死ななかったら家族4人で今も平穏な日々だったんじゃないかな。
そしてあの日、ゴビンダが事件のあった喜寿荘101号室に鍵をかけていれば・・
そうすれば泰子はあの部屋に客を連れ込むことは出来なかったのだし。
あんな風になってしまった泰子、あんな殺され方をしてしまった泰子。
今も犯人は捕まらず、東京のとこかで平然と生きているのでしょうか。
せめて真犯人を捕まえて欲しかったです。
時代と共に周りは変わったけど、ここだけは事件当時のままだそう。
しかも101号室に住んでる人がいるっていうから驚きました。
心臓の強い人っているんだなー(;^-^;)