デジタル化を進めるしか生き残る道は無い、日本のデジタル化は遅れている、といってデジタル化が進んでいます。

本当に、多くの区民のくらしにデジタル化は必要でしょうか。

デジタル化は、明確な効果も見せずに進みますが、議会で言われるデジタル化の利点は、年に1度になるかどうかの、手続きの際の利便性でしかありません。

行政の無駄を省けるという見方もありますが、民営化で削減されたはずのコストも、一向に明らかにはなりません。

そんな、区民にとっての効果のあいまいなデジタル化ですが、その象徴ともいえる、マイナンバーカードへの個人情報の紐づけにおける手続きの一部が、2023年第四回定例会で、大きく変わりました。

国が法律改正し、マイナンバーへの紐づけの際の議決が一部不要になったのです。

区民にとって、効果のあいまいなマイナンバーの個人情報への紐づけにさらに拍車がかかります。

 

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マイナンバーに大田区の事業を紐づける際に必要だった議決が不要なりました。

国が法律を変え、国会の議決なく、デジタル庁の省令で、マイナンバーに紐づける事業を増やせるようになったからです。

それに連動して、大田区でも、区議会の意思を問わなくても、国から大田区への行政内の通知だけで、マイナンバーへの紐づけが進みます。

国会も地方議会も通さず、マイナンバーへの紐づけが、デジタル庁内部の決定だけで進むのです。

国会の補正予算の議決をするまえに、大田区議会に補正予算案を送るなど、行政内部だけの独断で、暮らしに係る大切なことが決まるようになっています。

自民党は、憲法を改正して、行政内部で、国会の議決と同じことができるよう、権限を拡大しようとしています。

緊急事態条項と言って、「緊急事態に内閣は法律と同じ効力を持つ政令を作るようにする」のです。

三権分立で国の権力が、立法、司法、行政の3つに分かれているのは、権力が一か所に集まると行き過ぎを止められなくなるからですが、自民党は、内閣に権限を集中させようとしていますし、実際、今回のデジタル庁や、大田区など、行政に権限が集中し始めています。

 

1986年、当時国務大臣だった中曽根康氏の国会での発言は、極めて示唆的なので、ここに引用します。

「私は昔、昭和二十八年でありましたが、アメリカのハーバード大学へ行ってあそこのインターナショナルサマーセミナーに出まして、キッシンジャー博士が当時助教授で我々の面倒を見てくれておったわけですが、そのときに講演したときに、日本の民主主義の行方という題で講演しまして、ワイマール憲法の時代のドイツの様相を見て、日本の民主主義がもし万一うまくいかぬという場合にはまた独裁者を出す危険がなきにしもあらずである。そういう点で政局の安定ということは非常に大事であり」

次の一文が大切です

「国民がしっかり政権というものを掌握しておく必要がある。」

このご発言を引用するまでもありませんが、

・どうせ、議決の前に上程しても多数決で決まるから、
・国会や区議会にはからず行政内部で決めて良しとする、

これらの根底にある、国民・区民の声が軽視された現状は、どうにも容認できるものではありません。

国の暴走に、地方から歯止めをかける意味で、国会や区議会の合意を必要としない、マイナンバーへの個人情報の紐づけのための大田区の条例改正に、反対しました。