私たちは、今、新型コロナについて、感染防止策に協力すれば、免疫ができる、弱毒化するなど、おさまると信じて頑張っていますが、国の法改正は、この状況が、恒久的に続くことを見越しているようです。 

私は、早い段階から国連専門家の「国家は緊急対策の濫用で人権を抑圧してはならない」という声明をとりあげ、コロナを理由に過度な人権の制限にならないよう警鐘をならしてきました。 

新型コロナの感染防止策の影響がどう及んでいるのか、及ぶのか、法改正、ワクチン、自粛、時短、マスク、経済、雇用、税収などについて、海外との比較含めたデータから検証してみました。

 


 

新型コロナウイルスは、1年の期限付きで指定感染症に指定され、エボラ出血熱、ペスト、ラッサ熱などより厳しい措置が可能になっていました。


今回、感染症法や新型インフルエンザ等対策特別措置法などが改正され、指定感染症の指定が上限の2年に延長されただけでなく、今後は期限の定めなく必要な対策を講じられるようになりました。

また、
・入院の拒否や、濃厚接触者を特定するために保健所が行う疫学調査の拒否
・緊急事態宣言下で都道府県知事からの営業時間の短縮の命令に応じない場合、

過料という行政罰が課せられることになりました。

 私たちは、今、感染防止策に協力すれば、免疫ができる、弱毒化するなど、おさまると信じて頑張っていますが、国の法改正は、この状況が、恒久的に続くことを見越しているようです。

私は、早い段階から国連専門家の「国家は緊急対策の濫用で人権を抑圧してはならない」という声明をとりあげ、コロナを理由に過度な人権の制限にならないよう警鐘をならしてきました。

法改正に際して開かれた1月15日の厚生科学審議会 (感染症部会)に出された意見を見ても必ずしも無条件でこの法改正が行われたわけでは無かったことがわかります。
 

全国保健所長会は、
・新型コロナウイルス感染症を法律上、「新型インフルエンザウイルス等感染症」に位置付けることで、病原性・感染性の高い、かなり恐怖を抱かせる疾患であるという概念が、一般市民の方々のみならず医療従事者にも誤解をつのらせる懸念がある。「特別な病気」としたイメージが広がり、診療拒否や受診控えや、地域医療体制のバランスを崩すことになりかねない

・保健所は住民に寄り添い、住民の健康と命を守る使命をもって業務を行っているが、もし罰則を振りかざした脅しを行うことにより住民の私権を制限することになればアンビバレンスと言わざるを得ず、職員の気概も失われ、住民からの信頼関係を築くことは困難になり、住民目線の支援に支障をきたす恐れがある。感染症の拡大防止の効果に繋がるよう慎重に検討いただきたい。

悪質で感染拡大に係るような実害が及ぶ行為においては、感染症法を用いるのではなく、公務執行妨害や傷害罪という既存の別の法律で対応すべきではないか。

等の意見を出しています。

新型コロナを法律上、「新型インフルエンザウイルス等感染症」に位置付けることで、病原性・感染性の高い、かなり恐怖を抱かせる疾患であるという概念が、一般市民、医療従事者に誤解をつのらせる懸念がある。

と言うのは、裏を返せば、実態より、病原性・感染性が高いと印象付けられる懸念を指摘しているのだと思います。

この印象は、法律上、「新型インフルエンザウイルス等感染症」に位置付けることに加えて、マスコミほかの情報にもあると思います。

「特別な病気」としたイメージが広がり、診療拒否や受診控えや、地域医療体制のバランスを崩すことになりかねないという意見も重要で、今の医療現場における受診控えなどにより、診療所の経営が厳しくなっていると聞いています。

WHOは、「難民や避難民のためのパンデミック・インフルエンザに対する備えと緩和」という文書で、医療資源の乏しいコミュニティにおいて「ソーシャルディスタンス」を推奨しています。

世界でも医療資源の豊かな日本で、医療資源の乏しいコミュニティに推奨されるソーシャルディスタンスを取ることや、マスコミ報道などで「特別な病気」としたイメージが広がったことによる診療拒否や受診控えなどが、地域医療体制のバランスを崩し、逆に、医療資源を乏しくすることになりつつあります。

ところがこうした保健所の声は、なかなか、届かず、マスコミ報道やネットなどの情報が、世論となり、多くの人が影響され、根拠となる法などが無いにもかかわらず同調圧力などで、結果として自己選択の無い強制になる事例が目につきます。
区民生活において、必要以上の自粛やたとえばマスクの着用などが行われ、生きる上で必要な人との対話やコミュニケーションはじめ、基本的人権が失われるのは問題だと思います。


 先日、大田区立小学校の就学前検診で、グループで検診を受ける際に、マスクを着けずに入った方が、注意され、歩いてポケットからマスクを出しながら進むと、

先生がその方の後ろを歩いていた方たちを止めて後ろの方に、「前の方がマスクをしないとここから先へはご案内できません」というふうに言われたとききました。学校に確認中ですが、その方は、ご自身ではなく、後ろの方が止められて言われたことがショックだったそうです。

私は、マスコミほかが作り上げる空気感が、法的根拠の無い、強制や状況を容認していることが、更なる人権侵害につながるのではないかと恐れています。ところが、行政内部でも、そうしたことの積み重ねによる空気がどんどんと広がっているようなのです。

補正予算にも当初予算にもワクチンの予算が計上されています。接種を望む方もいれば、どうしようか悩んでいる方もいると思います。ワクチン接種に法的強制はなく任意で、保健所にもそのように確認しています。

そこでうかがいます。
大田区として、ワクチン接種は強制ではないことを含め、コロナ感染防止策において、正確な情報を伝えるべきだと思いますが、いかがですか。


全国保健所長会の意見がある一方、感染症法等の改正で概ね賛成しているのが

日本経済団体連合会(経団連)で、

自宅待機の徹底や COCOA のインストール、移動履歴の確認などを求めています。

 経営側からの意見に対し、労働者側の意見はといえば、

日本労働組合総連合会(連合)

罰則規定を創設することは私権の制限につながることから、慎重な議論を求めていて、他の感染症がもたらす患者数や致死率と比較して、新型コロナウイルス感染症についての罰則が適正であるかについても、丁寧な議論が必要

と言うなど、人権に視点を置いた意見を出しています。

🔵「保健所」、
🔵日本の代表的な企業1,444社ほかから構成されている「経団連」、
🔵労働者の組合、「連合」など、
コロナの対応策への見方は、どういう立場かにより少しずつ違っていることがわかります。

 さらに、今、私が心配しているのが、コロナ感染防止策による社会、経済、政治などの変化に伴う区民生活への影響です。

外食産業を事例にみたコロナの感染防止策の問題

 

🔴夜8時以降の営業時短の問題


感染拡大に伴い、いま、飲食店では、夜の8時以降の営業時短が行われています。
 

🔴業種で違う来店客のピーク時間

少し古いのですが、平成19年「大田区の産業に関する実態調査」に、来店客のピーク時間という調査があって、小売業で約4%、生活関連サービス業で約6%ですが、一般飲食店は約37%がピーク時間を20時以降として、20時以降の時短が飲食店にどれだけ大きな影響を及ぼしているのかがわかります。

しかも、この調査で飲食店の来店客のピークが、12~14時の昼食、18~20時の夕食、20時以降とほぼ同じくらいの3つの大きな山に別れていて、抱える顧客層や業態により、被る影響も違うことがわかります。
 

🔴イギリスなどロックダウンは一律営業停止

イギリスから来た友人が蒲田のまちをみて、イギリスのロックダウンは、ほぼ人通りが無いのに対し、緊急事態なのに人通りがあることに驚いていました。私は、街が寂しくなったと思っていたのですが、一律ロックダウンと違い、20時以降の時短は大きな影響を受ける店とそうでもない店があるということです。


🔴1980年代以降国際化で激化した競争
 

調査は、「プラザ合意を契機に1980年代後半から産業活動の国際化が本格化した」と産業構造を分析していて、当時既に、飲食店は、同業者や大型チェーン店との競争が激化していたことがわかります。

グローバル化、競争が激化しているところへ、来店時のピークのひとつ20時以降を過料付きで制限するのですから死活問題です。

🔴業態、規模等に関らず一律6万円╱日の不公平


ところが今回の営業時間の短縮は、店の規模や営業時間、業態によらず、一律一日6万円です。

飲食店の経営者から、6万円では店舗面積で30坪以上だと厳しく、20~25坪の店でトントンくらい、約4割はやっていけるが6割が厳しいのではないか。とおよその目安を教えていただきました。

🔴6万円で給付で救えない仲卸しやおさめ屋さん

それでは、4割はやっていけるから良いかと言えば、4割が時短や休業すると、その分仕入れが減って、仲卸やおさめ屋さんの売り上げが減ります。

ところが、協力金は、仕入れ先が自粛で売り上げが減っている仲卸やおさめ屋さんは対象になりません。

この仲卸やおさめ屋さんは、大田区には大田市場がありますから、大田区と切っても切り離せません。青果部・花き部は日本一の取り扱い規模を誇っており、大田市場での決定価格は、日本全国の市場指標となっています。

 

🔴卸売り小売業に依存する大田区経済が仲卸を直撃


19年の調査の大田区内付加価値額を産業別にみると、もっとも付加価値を生み出していた産業は、卸売り・小売り業で7363億円、全産業の22.6%。次いでサービス業、19.3%。町工場のまち大田区の製造業は3番目、5582億円、17.2%です。

大田区は大田市場がありますから、飲食店の時短に伴う卸売り縮小が区内経済におっよぼす影響は見過ごせません。

 

🔴流通がささえる日本の食文化


 仮に飲食店が協力金で支えられてこの数か月をしのげたとしても、仲卸やおさめ屋さんの経営が悪化して、食材を調達できなくなれば、再開しても、同じ価格、同じメニューでは、やって行けなくなるかもしれません。市場や仲卸、おさめ屋さんなどが作る日本の流通の仕組みが、新鮮でおいしく、その割に安価、適正な価格で食材を調達できていることで、寿司や居酒屋さんやかっぽうなど、世界遺産にもなった日本の食文化を支えているのです。

国は、飲食店以外の中小事業者へ最大60万円の一時金を決めましたが、赤字の規模と比較すれば、スズメの涙です。東京都の施設ですが、光熱水費の支払い猶予だけ、家賃免除位すべきではないでしょうか。
 

🔴中小企業、個人事業主がささえる日本の経済や財政


個人事業者含めた会社数に占める日本の中小企業数は、99.7%。ささえる雇用は、全従業者数の7割に及びます。付加価値(利益)の53%を中小企業が、47%を大企業が生み出しています。

ところが、法人税収に占める中小企業と大企業の内訳について、東京都、経済産業省、中小企業庁、財務省伺いましたが、統計を取っておらず、やっとたどりついた国税庁の統計も資本金別でした。雇用や、税収に大きく貢献している地域経済の要の中小企業を国も都も大田区も本気で守ろうとしているのでしょうか。

🔴優遇される大資本、外国資本


一方、法人税総額12兆1637億76百万円に占める連結法人の支払税額は、1兆2842億41百万円で10.5%。地方税6464億08百万円に対し連結法人の支払い税額は 1176億23百万円18.2%です。

グローバル化で導入された連結による納税額は、年々増えています。連結による租税回避などで節税できるグローバル企業に対し、中小企業の納税割合は、相対的に大きくなってきたとみるべきではないでしょうか。

そこでうかがいます。

大田区は、時短を要請することが、こうした中小企業の廃業や雇用の減少、税収の減、区内経済循環、医療制度や診療体制、ほかに影響することを予測し、知ったうえで要請していますか。影響について予測していませんか。影響はないと考えているのですか。課題を予測しているなら、影響を減らすため何をしているかお答えください。

🔴中小企業を本気で守る気の無い国、都、大田区

大田区は、コロナウイルス感染症に係る区内産業への第四回影響調査、期間2月1日~15日をweb形式だったにも関らず、コロナを理由に延期しています。延期すべきではなく、多くの区民や事業者の声を大田区は聴くべきだと思います。

🔴日本より規模が小さくても中小企業を大切にするドイツ


先日、海外調査団のジェトロデュッセルドルフとのズーム調査に参加させていただき、大変勉強になりました。指標が違うため正確ではありませんが、日本は、ドイツに比べ中小企業が全企業に占める企業数、従業員数、ともに割合が高く、国全体に与える中小企業の影響は日本の方が大きいと言えるそうです。

ところが、日本より中小企業割合の小さなドイツでも、コロナ対策は、大企業には融資、中小企業へは規模に応じた給付金、借人支援が行われていて、手続きの煩雑さやなかなか給付されないなど個別の不満の声があるものの、ドイツの業界団体や経済研究所からは概ね支持する声が発表されているそうです。

そもそも日本の感染防止策は、の20時以降という一部の事業者に過大な負担を課しているにも関らず、給付は一律6万円で、体力のある大企業にも支援するなど、不公平です。

大企業は店舗を集約させて休業廃業など選択と集中の、より効率的な経営で乗り切ろうとしていますから、中程度の事業者は非常に厳しい状況にあると思います。

ドイツに比べ日本の中小企業の方が社会・経済や財政により大きく貢献しているにもかかわらず、日本のコロナ対策は、大資本・グローバル資本を優遇し、国内資本の中規模より小さな事業者を経営難、廃業や統廃合に追い込む構図になっていないでしょうか。

そこでうかがいます。
大田区は、こうした日本の支援策が海外に比べ中小企業に厳しい状況を把握していますか。漫然と国の施策を執行するのではなく、区民生活を守るため、大田区から国ほか関係者に対し、声をあげるべきではないでしょうか。