公園は、特に密集した都市生活おいては、欠かせない自然空間であり、憩いの空間です。

ところが、公園をお金儲けに行政が使わせる動きが出ています。

保育園建設用地確保といえば、一見必要に見えますが、公園を潰すほどに土地が無いかといえば、必ずしもそうではないと思います。
保育園が民営化され、公園に保育園を建設するのは民間事業者です。公園を使うのは、公の土地を借りれば「地代」を負担しないで公園事業ができるからという見方もできます。

こんな動きに拍車のかかる公園条例改正について報告します。第一回定例会で議決された条例ですが、報告しそびれていたようです。


 

第30号議案 大田区立公園条例の一部を改正する条例、第36号議案 大田区立西蒲田五丁目第二児童公園の廃 止について、反対の立場から討論いたします。 

 【公園は貴重な都市空間】

公園は、土地を私有財産と認めている社会においては特に重要な空間で、区民の貴重な財産です。だからこ そ、3分の2議決という非常に重い判断を区議会に課しています。しかも、大田区民1人当たりの公園面積は、 国の基準も東京都の基準も満たしていません。


【大田区は土地が余っていて貸し出しているのに公園廃止はNO】

一方で、民間に長期の定期借地権で貸し出している土地が大田区 にはいくつもあります。

羽田の跡地は、区画整理事業を行った後、低価格、平米当たり300円で事業借地すると 言っています。これが大田区の土地の使い方の優先順位ということでしょうか。優先順位が違っていると思いま す。

資材置き場のために安易に公園を廃止すべきではなく、反対いたします。 
 

次々つくられる土地負担なく投資家利益をもたらす仕組み】

ところが、国は、規制緩和による投資家利益最優先の政策を次々講じていて、土地負担なく、あるいは非常に 安い負担で経済利益を上げる仕組みをつくろうとしています。

 

【公園整備を負担したら公園面積の1割をお金儲けに使わせる!?Pa rk-PFI(パークピーエフアイ)

今回の公園条例改正もその一つで、区長に認めら れている公園の建蔽率の割り増しの特例2%から12%を、事業者が園路や広場などとあわせて整備する場合で、 施設から得られる収益を公園整備に還元することを条件に、公募事業者にも適用する条例改正です。

これをPa rk-PFIと呼ぶ民間資金活用による公園整備と呼びますが、今回の条例改正は、このPark-PFIを可 能にするための条例改正です。 また、都市公園内に設ける運動施設の割合を敷地面積の100分の50とするものです。

【建蔽率を上乗せして営利目的に公園を使わせる】

建蔽率を上乗せして公園 を使わせると、区の負担なく園路や広場を整備できるように見えますが、国交省のホームページをよく読むと、 公募時の条件で、全額事業者が負担することも、また、公園管理者、これは大田区ですが、一部負担することも 可能であることがわかります。

【意外と小さい?大田区民のメリット】


一部ということは、園路と広場整備の事業者負担は1%で、区が99%負担するこ とも理論上は可能ですし、利益はほんの一部でもいいわけで、必ずしも大田区の負担が減って区民にとっても事 業者にとってもよい方法というわけではありません。 

【みんなの財産で一部の株主が楽して金もうけ】
しかも、ホームページに載っている国交省の「都市公園法改正のポイント」を見ると、民間資金でこんな公園 ができるPark-PFIとして、五つの事例が「妄想」という言葉で紹介されていました。公園というみんな の財産で一部の株主がカフェやレストランを経営し、フィットネスジムや大規模スタジアムを経営して利益を上 げるのに、一部の園路や広場整備負担だけ、土地負担なしでできる仕組みなのですから、これまでの公共では考えられず、まさに「妄想」という言葉がぴったりです。 

国交省が示す事業者のメリットには、
・長期的視野での投資的経営が可能
・収益の向上にもつながる
・利用者は飲食施設が充実して、利便性、快適性、安全性が高まる

ことが挙げられていますが、みんなの財産をただ 同然で貸し出して、そこから収益を上げることを可能にした仕組みですから、事業者がもうかることも利便性が 向上するのも当然です。

 

【情報公開されなければ見えない 大田区民のメリット】
公園管理者大田区のメリットは、整備管理に係る財政負担が軽減されることだそうです が、経営内容が明らかにされなければ財政負担が最終的に軽減されたかどうかはわかりません。

これまで大田区 は事業者の経営内容を出してきていませんから、公園で事業者が上げる売り上げ、そこから得る利益、かかった 公園整備に要した費用はわかりません。これで大田区の財政負担が軽減されたかどうかを判断し評価することは 不可能です。 

【PFI法改正で、中央集権「安倍さんの一声」で企業に使われる大田区の公園】
しかも、今、国ではPFI法の改正について審議が行われています。このPFI法改正案が通ると、自治体が条例をつくれば議決なしでPFIを採用できるようになります。

そのため、仮に大田区がPFIを採用しないと判 断しても、事業者がやりたいと内閣総理大臣に言えば、内閣総理大臣が施設の管理者である大田区にPFIの実 施に関する報告を求め、助言し、勧告するという重い処分ができるようになっています。中央集権になるわけで す。 

この改正PFI法案は公園も対象で、Park-PFIとPFI法と指定管理者制度の併用も可能だそうです から、法律改正の影響は、大田区の公園の管理運営にも影響を及ぼす可能性があると内閣府の担当者からも伺い ました。

大田区は、現在国で審議中のPFI法の改正案について把握せずに、この公園条例改正案を提出してい ると議案質疑で明らかになっています。(*その後、国会でPFI法が成立しています)

PFIについての議会の議決権を剝奪し、自治体に助言、勧告するとい う地方議会軽視、地方自治軽視の法案ですから、少なくとも法案の行方を見極め、条例への影響を検討し、その 後に提案すべきではないでしょうか。 

条例改正案は、実質、議会制民主主義の上に事業者を置くことになりかねない危険性を持っており、まさに新 自由主義で、到底賛成することはできず、反対いたします。