大田区議会 地域産業委員会付託議案 討論 【国際都市おおた宣言、廃棄物手数料値上げ、指定管理者コラボ・体育館ほか】

20分27秒くらいから




フェアな民主主義奈須りえです。

第125号議案大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例の一部を改正する条例について反対の立場から討論いたします。

今回の条例改正で、廃棄物処理手数料および動物死体処理手数料は、36円50銭が40円、69円が76円、2500円が2800円、2600円が3000円と9.6%から15%の引き上げが行われます。

改定理由は、現場の人件費のもととなる、公共工事労務単価、消費税、清掃工場の老朽化、によるものだそうです。

大田区の職員給与は今回の改定で公民格差分として0.15%引き上げられました。どこの施設も経年劣化しますし、賃金は上下します。それでは、かかったコスト分値上げが可能かと言えば、必ずしもそうはなりません。

民間事業者は、値上げに敏感な消費者の動向をふまえ売上げに影響しないよう努力するからです。ところが、これらの手数料引き上げはコスト増加分に転嫁されています。引き上げ幅はあまりに大きく、経費削減の努力についてうかがいましたが、努力している様子は見えず、安易に価格に転嫁しているとしか思えない答弁でした。

ごみは捨てないわけにはいきませんので、値上げは、そのまま区民の生活や事業者の経営や事業に直結します。

これでは、毎日の経営にご苦労している区内事業者や区民に対し、値上げをお願いするわけにはいかず反対といたします。

一方で、清掃事務の移管前後からしばらくは、区長会、助役会、部長会など清掃事務に係る23区間の議論は、都度、清掃事業所管部に資料を添えて報告されていました。

ところが、今回の手数料改定も、それまでの議論の経過が見えないままにいきなり条例改正案が提出されています。

口では、透明性、説明責任と言いますが、委員会での情報提供が形骸化・簡素化しているのは明白で、それに対する反省もまた問題意識もない答弁でした。区民への行政の責務を果たしているとはいえず、反対といたします。

第131号議案 大田区区民活動支援施設大森の指定管理者の指定
第132号議案 大田区洗足区民センターの指定管理者の指定
第133号議案 大田区総合体育館の指定管理者の指定
第134号議案 大田区産業プラザの指定管理者の指定
第135号議案 大田区大森南4丁目工場アパートの指定管理者の指定

について反対の立場から討論します。

第四回定例会は、指定管理者の指定が行われることが多い議会です。

本議会においても、指定管理者指定議案9議案が上程されています。

平成16年の導入から12年が経過した指定管理者制度ですが、指定管理者制度そのものへの評価が、行われなければならない時期にきていると考えています。

そこで、大田区として、どのように指定管理者制度について評価しているのか、どのような指標に基づいて行われたのか、その内容・結果について公表されているのか、質疑したところ、全施設について最適な運営方法についての検証は、平成27年8月1日の副区長の通知「指定管理者の選定方針等について」にしたがい

指定管理者制度に限定せず

前後の比較、使命、存在意義、求められる成果などから

行っていて結果の公表はしていないが、必要に応じ対応する。また平成27年包括外部監査において第三者の目で適切か検証しているという答弁でした。

また、個々の施設ごとに、公共性の担保、営利・非営利事業主体で行うことの意義、民間事業者でなければできない理由、民間事業者であることによる区民のメリットなどについて、評価・検討していて、その結果についても必要に応じ対応するという答弁でした。

そこで、議案として上程された、すべての施設について、これらの結果について確認させていただきましたが、以前であれば委員会報告されていたような資料まで資料は準備しておらず、情報公開で対応せよと言われ、大変驚きました。

大田区民への説明責任の大きな後退です。

しかも、議会の議決に必要な情報を情報公開制度で対応するとなれば、議決には間に合いません。副区長の答弁が、間に合わないことが前提の情報公開請求を視野に入れた答弁ならさらに問題です。

議会に議決を仰ぐ以上、質疑で指摘させていただいた程度の情報は、必要最低限の情報として議会に示すべきです。

 各部署に対し、賛否を判断するまでに議決に必要な情報の開示を求めたところ、すべての施設について、温度差はあり、十分とは言えませんが、一定の情報提供がなされた努力は評価します。

しかし、指定管理者制度導入から時間が経過するにつれ、議会への情報提供の内容や情報量が減り、以前は公開されていた情報も不開示になるなど、情報公開が明らかに後退し、説明責任を果たせてなくなってきていることは大きな問題です。

提案内容も事業者のノウハウで公開できず、判断した委員も非公開で、選考の結果だけを示され、適正な選考が行われたことをどう判断すればよいのでしょうか。行政を信じてと言われるなら、議会の存在意義は無く、二元代表制への冒涜です。

選考委員も立場や名前を公開することが責任ある選考が行われたことにつながりますが公開しない部署もありました。

審査要領など毎回新たに作っている部署もありましたが、審査基準が変われば有利不利など応募事業者に影響が及び安易に変更すべきではありません。こうした基本的な部分については、各部署にバラバラに判断させるのではなく、大田区として一元化すべきで、そのうえで、所管課として制度を活用し個々の事業をどう生かすか考えるべきではないでしょうか。

 また、評価点をみていて気になったのが、極端に財務内容にウエイトが高く大資本に有利な選考をしている部署・事業があったことです。いくら良い運営ができる事業者、良い人材を確保している事業者も、財務内容が大資本に見劣りすれば、評価点が低くなり、採用されないことになります。事業形態を重視する選考基準ですが、現場労働者と事業形態どちらを大切にすべきでしょうか。

事業者が変わっても現場で働く人は同じという話は、あちこちで聞きます。ヘッドハンティングした、されたという話もよく聞きます。大田区が事業者から言われ守らなければならないとしている事業者のノウハウも秘密も、現場で働く人によるところこそが大きいという見方もあり、その通りだと思います。

また、こうした大規模資本に有利な選考基準が結果として、区内事業者を排除する構図もあることは問題です。

また、今回の指定で、コラボ大森の指定期間だけが3年だった理由を、どういった運営形態が良いか検討するためと説明しましたが、過去の運営実績で検討は可能であり、変えるか変えないか決まってもいないのに3年にしましたが、通常の5年指定の中で検討すべきで安易な機間変更はすべきではありません。次回の区長改選時期を見据えたかのような変更ありきの検討は問題です。

自主事業によるインセンティブの与え方で弊害が起きているのが大田総合体育館です。全体利益の70%を事業者の利益とし、大田区には30%返還するしくみのため、事業者はより大きな収入の入る利用料金を稼ごうとし、土日のほとんどが興行収入を稼ぐ観るスポーツになっています。これは、自主事業から得られた利益の一定割合を事業者収入とするのが一般的なところ、利用料まで含め利益として計上してよいとしたため招いた結果です。区民の財産で、際限なく儲けることを許しているうえ、多くの土日が休みの区民の利用が制限されるため問題です。

 産業プラザを特命指定した理由を、利益を100%大田区に還元しているのでと説明しましたが、大田区民の税金で設立運営されている法人ですから当然です。しかも、この利益の算出方法が大田総合体育館、公園プールなどと同様、自主事業だけでなく、指定管理業務全体からあがる収益を対象にしていますから、返還金額が多いのは、指定管理料の算定に問題があるのかもしれません。

 区民の財産で営利活動することは監査請求にも相当する大問題であり、自主事業だけに制限している意味合いがわからなくなっている大田区に危機感を覚えます。

 重複する内容は、他の指定管理者指定に譲り、これらの理由から、指定理由もあいまいで、指定管理者制度が必ずしも区民にとって最良といえないばかりか、不利益をもたらしている事業もあり反対といたします。

第136号議案 国際都市おおた宣言について反対の立場から討論いたします。

この議案は、国際都市おおた宣言するための議案です。

区長の公約である国際都市を有識者に定義させたことの区長の意図や、「国際都市おおた宣言」を議決事項とすることについて、実効力、予算措置などの視点から質疑しました。

 区長は、国際都市大田宣言をすることで、執行機関と議会との双方の意思をさらに深め共有化することで、ともに大田区の国際化を進めていくことを区民にPRすることが大切。議決することで、実行力、財政力の強化がはかられると答弁しました。

これは、国際都市宣言が議決されてしまうと、有識者会議で定義し区長が目指すところの国際都市を実現することに賛成したことになり、施策を進めることや財政投入してもいいと認めることになると大田区が考えているということでしょう。

56ページにわたる有識者会議の報告書は、外国人研修生を受け入れ、外国人を家族単位で受け入れるための環境の整備など、外国人労働者の受け入れや移民政策につながる記述が多用されており、国際都市宣言の背景にあるのは、必ずしも訪日外国人旅行客だけではありません。

移民を受け入れた国で社会保障負担が一気に増大することが問題になり、移民受け入れは経済政策ではなく、人道問題として考えるべきですが、国の外国人労働者の際限なき受け入れで、社会保障の責任主体大田区の肩にかかってくるわけです。ところが、報告書にみられる実際の支援は情報提供や啓発、ネットワークづくりなど、サークル的な内容ばかりで、肝心の教育や子育てなども相談支援にとどまっていて、生活する外国人受け入れにもかかわらず、あまりに簡単に軽く考えています。

国がなすべき役割も多く、一自治体としての手に余る深刻な問題に関わる可能性も高い重要な問題を、こんな宣言で、既成事実化してよいのでしょうか。

羽田空港のある大田区は国際化と切っても切り離せません。残念ながら国の外国人労働者受け入れ規制緩和は、当面減り続ける労働力人口を安易に安価な労働力としかとらえていない、地域コミュ二ティとは無縁の側面から行われています。

安易な国の施策のしりぬぐいとならない真の国際化をもとめ、反対討論といたします。