外国投資家利益のためなら何をしても構わない、というところまで来てしまった感のある羽田空港飛行ルート変更問題。どうしても私たちの頭のすぐ上を飛ばしたいらしい。

一時間10便、一日30便の増便のために、危険な都心上空低空飛行を強行しようとしていることに良く表れている。
3時間で30便増やしたいのなら、10時間で30便増やしたらどうだろう。
南風時に、現行ルート1時間3便は増やせるという。(下図参照:国交省羽田空港機能強化検討小委員会資料より。)






こうなると、15時から19時の必然性と都心上空低空飛行の必要性がどこからくるのか、気になる。

たとえば今年2月の日米航空協議の結果について以下のような国交省のHPがある。

【日米路線に係る羽田空港国際線発着枠の配分】

本年2月に開催された日本・米国航空当局間協議の結果、羽田空港の発着枠について、
2016年冬期(2016年10月末)からの運航開始を目指し、昼間時間帯に双方1日5便ずつ、深
夜早朝時間帯に双方1日1便ずつの運航を可能とする(ただし、昼間時間帯5便のうち、4便分
は現在の深夜早朝時間帯からの移行分となる)ことを合意いたしました。
 
http://www.mlit.go.jp/report/press/kouku04_hh_000134.html

日本とアメリカとの間の飛び方が変わってきているということだ。
これは、2020年まえ2016年10月末からだから、もう始まっているのかも。

国際便には相手国があり、時差の関係で望まれる時間帯があるということかもしれない。

自国民の安全と、航空会社の経済利益とどちらを優先したのかという結果がこの都心上空低空飛行という見方もできる。
便数を増やすだけなら、各時間帯少しづつ増やすことも可能だからだ。

それでも、あえて、時間帯を集中させたいのは、経済利益の問題だけだろうか。

東京一極集中は、様々なニーズを顕在化させ、インフラの投資に有利に働く。右肩上がりと資本主義は相性がいいのだ。

航空便の特定時間帯集中により、都心上空低空飛行という一つの「障壁」を突破することが可能になったとみれば、一点突破の次に待つ、全面展開で、飛行機が飛ぶ時間帯が広がり、飛行機が飛ぶ地域が広がり、そして、飛ぶ機種が旅客機だけでなく、自衛隊機、米軍機、プライベートジェットなどに拡大する可能性はないだろうか。

都心上空低空飛行を認めた後に、第五滑走路建設などとなれば、泣き面にハチも良いところだ。

国は、飛行ルートは国が決められるというが、現在の飛行ルートは、国の独断できまったものではない。
長い間の歴史的経緯の中で、大田区はじめとした地域住民やその住民の声を届けるために努力した議会、自治体の長年の働きかけがあって、国との間で積み重ねられてきた結果だ。

それを時の大臣の一存で決められるなら、それは、もはや民主主義ではなく、多数決の横暴だ。

これを認めれば、民主主義はさらに形骸化する。
新飛行ルート案による都心低空飛行に対し、形式的な対応しかせず、国が決めたからと知らぬ存ぜぬを決め込む大田区の無責任体質や、空港撤去決議を無視して国の方針に追随する大田区議会にも、猛省を促したい。

独裁は民主主義からうまれている。歴史を学ばなければならない。