いま、保育園用地の確保があちこちで問題になっています。

待機児問題は深刻で、その解消のために、保育園や住宅地などの民間の土地を確保し保育園を建設するのは良いことだ、やむを得ない、という考え方です。

確かに待機児問題は深刻で、行政が最優先で解決しなければならない課題の一つです。

大田区に本当に土地が無いのでしょうか。
土地を買うことができないほど財政がひっ迫しているのでしょうか。

例えば大田区は、再開発、跡地開発、蒲蒲線整備のための基金積み立て、オリンピック、観光対策、イベント、大田区の歌、等々には莫大な税金をポンと投入しながら、他に土地が無い、費用が無い、と言いう理由で保育園を作らなかったり、公園を廃止し保育園を建てかえたりしてきました。


雑色駅前の旧六郷出張所は、新しく複合施設を建設したため廃止になりましたが、活用できなかったでしょうか。
あるいは、新しくできた複合施設を使うに際し、周辺の保育園の改築のための仮施設として活用するという考え方は出来なかったのでしょうか。

大森駅前のLUZ大森(ラズ大森)という雑居ビルは大田区の土地の上に建っています。
50年の定期借地権で民間事業者に貸し出してしまいましたが、大田区の施設として活用すれば、大森周辺の保育園建て替えの仮施設として活用できたのではないでしょうか。いま、出張所になっている文化の森前(現在の入新井出張所の場所)の土地は、出張所を建設する前に、入新井保育園建て替えのための仮園舎として莫大な費用をかけてプレハブリースし、保育園が完成したら解体しましたが、こんな無駄な費用を支出することも不要だったかもしれません。

蒲田5丁目の保健所跡地(オリンピックのあるビル)も大田区の土地ですが、民間に貸し出しています。
ここも、蒲田5丁目のにぎわいのために貸し出しましたが、すでに街区にはホテルが建設され、開発は不可能です。
民間の「にぎわいのため」というあいまいな理由にはポンと20年間土地を貸し出しながら、保育園の土地は無いからと公園を廃止し、民間の土地を借りるのは矛盾していないでしょうか。

そのうえ、土地が無いといいながら、大田区は児童館の学童保育機能を小学校に移すとともに、児童館の一部を売却しようとしています。

売ろうと計画している土地がある一方で、公園まで廃止して仮施設を建設する。

まるで営利企業の土地活用のようです。(税金で負担するのでコスト度外視、売り上げ重視で、民間企業と違いますから、)民間営利企業の利益のために公有財産を差し出しているようなものといった方が正確でしょうか。
株式会社の仕事のために大田区は事業を行っているように見えます。


保育も介護も障害も、「措置から契約」という「行政がサービスの内容を決定する制度から利用者が選択して利用する制度」にかわり行政サービスは「選択」を強調した契約に変わりました。

同時に福祉分野に株式会社という営利企業参入という規制緩和が始まりました。
福祉の分野で行われていることは、一見、待機児対策です。が、企業から見れば、プレハブリース契約、建設工事契約、認可外保育所入所契約、借地契約、、、などお仕事が増えるという見方もできます。

【措置から契約】厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/04/s0420-6b2.html#2
http://www.dpi-japan.org/3issues/3-1shienhi/-2003.3/0211.htm

日本で一番税収の集まる東京23区で、公園をつぶさなければ保育園さえ作れないのは、本当に財政が厳しいからか。東京一極集中で生み出された「富」はどこに行ってしまったのか。誰が使っているのか。

一極集中で経済効率を上げても、都市部ほど待機児が多いわけですから、その利益が住民福祉に還元されているとは到底言えません。
都市計画も、いったい、どうなってしまっているのでしょう。

一極集中システムの失敗が公園を保育園にしていると見ることができるのではないでしょうか。