■原発事故に学ぶ今後の大田区のエネルギー政策■
~大規模施設による大量供給から小規模施設の地域内エネルギー自立を目指して~
今回の原発事故に伴う、電力供給体制の問題は、東京電力1社の大規模発電施設への過度の依存という電力供給システムの欠陥という見方もできると考えています。
これまで、都市部はその利便性を享受してきましたが、大規模施設は、同時に大量の電力を供給を可能にする半面、事故や災害によって広域にその影響を与えることが判明したわけです。
大きなシステムは、それが問題なく進行している状況においては、効率的効果的ですが、今回の原発事故を通じて、私たちは、万が一を想定しなければならないことを学びました。
臨時会の補正予算で大田区は防災の一貫として、莫大な費用を投じ、自家発電システムをバージョンアップするとともに、装置をリース契約します。
しかし、今回の震災でも課題になったように、非常時の燃料である重油の確保は、契約しているとはいえ、いざとなった時にどうなるのか不安をぬぐいきれません。
そこでうかがいます。
施設で使用する全ての電力をまかなうのではなくても、最低限の通信や照明が確保できる程度の電源を確保できるよう施設ごとに太陽光パネルなどの自然エネルギー装置を設置することは、節電・省エネにつながるだけでなく、災害時の電源確保という視点からも有効です。加えて、節電や省エネは、建物の構造によっても大きく違ってきます。雨水桝を設置して、雨水をトイレなどの水源として活用する。建てては壊すと言った発想をやめ、耐用年数を高め、耐熱・保温性に優れた建物に転換していくという視点もまた重要であると考えますがいかがでしょうか。
■電力自由化のさらなる恩恵を受けるために■
リーマンショック以降、電力の自由化が、その歩みを止めてしまったかに見えますが、それでも、大口契約者はPPS事業者から電気を購入することができるようになっています。
23区では、23区が共同で出資して設立した東京エコサービスから昨年の4月より電力を購入し始めています。大田においては、中富小学校107Kwh中萩中小学校97kwh大森第一中学校161kwh、合計365kwhで契約し電力供給を受けています。
今や、施設ごとに、電気事業者を選べる時代に入っているのです。
私たちは、原子力発電による利便性を享受してきましたが、一方で、事故による影響の大きさを今、身を以て知らされているのが現状です。
ドイツでは2022年までに原発を廃止すると宣言しました。日本においては、原発政策の方向性までは示されていないものの、様々なアンケート結果は、今後の原発施設の新設がいかに困難であるかを暗示しています。
日本の原発施設は老朽化している半面、福島原発事故以前においてさえ、建設反対運動により、新設や建て替えが困難な状況で、原発施設の耐用年数を延ばすなどして、施設を稼働させてきたのが現状です。今回の事故の背景に、こうした施設の老朽化を指摘する専門家もいます。
現状を直視すれば、今後、自然エネルギーへの転換は、私たちが最優先に取り組んでいかなければならない課題と言っていいでしょう。
そこでうかがいます。これまでは、大田区でも東京電力1社からしか購入してこなかった電力ですが、50Kwh以上の需要があればPPS事業者からの購入ができ、現実に大田区でも東京エコサービスから電気を購入しています。価格で選ぶ。自然エネルギーを選ぶ。など今後は、東京エコサービスからだけでなく、政策的に大田区も電気事業者を選択していくべきであるとと考えますがいかがでしょうか。
仮に、大田区が東京エコサービスから購入しているのは大田区が出資したからという理由であれば、出資そのものの是非にもなりかねません。特定事業者を優遇することなく、電力の自由化のメリットを享受し、価格や環境への負荷などを考慮した電力購入契約を行うべきです。