「「自傷的自己愛」の精神分析 (角川新書)」斎藤 環 | ひめぴょんのブログ

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「「自傷的自己愛」の精神分析 (角川新書)」斎藤 環、KADOKAWA、2022年発行

精神医学史もさらっとなぞりつつ、現代の精神病理をひきこもりを通じて解説するという感じ。

はじめにで「インセル」という言葉がまず初耳で、その後もいろいろと新しい概念や用語を学習しつつ読み進める感じでした。この領域の教科書的な本。

以下は文中引用とミニ感想です。

「自分のことが大切だからこそ、自分をディスっている」というのが引きこもりの人の心理。

「彼らの言葉ではなく、行動を信じる」→うちの場合はひきこもりではありませんが、言葉では「死にたい」といい、行動では自傷行為(かすり傷程度ですがそれなりに頻回)がありますので、どう捉えたらよいのやら。ただ、根底には「自分が大事」がある気がします。

起源として最も多いのは、いびつな親子関係。次いで、いじめを含む思春期の被害体験。→そう言われるとつらい。

家族以外の他者との接点を持たないことによって、人は生きる上で必要な「スキル」を獲得する機会から

遠ざかってしまうのではないかと危惧。

「適度の欲求不満」も自己の安定化と成熟につながる。

「プライド(「かくあるべき自分」へのこだわり)は高いが自信(今の自分自身に対する無条件の肯定感情)はない」

自傷は瞬間的にはエンケファリンと呼ばれる脳内麻薬が分泌され、それが心の苦痛を緩和してくれる。援助希求行動という意味もある。→ただ、それらによって習慣性が生まれて結果として死に至るということも。いずれにしても、周囲の人にとってはそういうことをすることを見ることはとてもつらいことだということを分かって欲しい。

「呪いの言葉」は決まって「あなたのためを思って」ではじまる。→なるべく言わないようにしています。

健康的な自己愛とは? 配慮と主張のバランス。ある種の非合理性や鈍感さもまた、健康の条件かもしれない。

美しくない行為に手を染めたら、自分が自分でいられなくなる。「自分自身でありたい」欲望こそが自己愛。→その定義からすると、健康な自己愛は人間が健全に生きていくうえでの必要な要素です。何を美しいと思うか も大事。

「自傷性」のやわらげ方。①環境調整:尊厳を傷つけられない環境に身を置く。②対人関係:家族以外の人と「親密な対人関係」を持つ。③損得勘定:「健全な被害者意識」を持って損をすることばかり選ばない。④「好きなこと」をする。⑤身体のケア:美容、服飾、マッサージ、運動など。→自傷性に対して以外にも役立ちそうです。