逆イールドはブレグジット後に評価した方が良い【金融・経済】 | 学びの冒険者 原口直敏Side←L "The Logical Brain Monster"

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最近、日本のメディアで「逆イールドだ! 世界的に不景気だ!」などと、

単細胞なコメントに辟易しているので、

ちょっとばかりイールドカーブについて書いてみます。

 

イールドカーブと言うのは、金利が長期になる程上がる時の線をさしていて、

通常長期になるほど金利は上がります。

何らかの理由で短期と長期の金利差に逆転現象が発生することを

逆イールドと呼びます。

そして、現在、逆イールドと言われているのは、

米国国債のイールドカーブのことを指しています。

 

トップのキャプチャは「インベスティング・ドットコム 日本版」のものです。

興味がある方は直接見に行ってください。

 

▼米国国債イールドカーブ(インベスティング・ドットコム 日本版)

https://jp.investing.com/rates-bonds/usa-government-bonds

 

キャプチャ画面を見ると3年物の金利が最も利回りが低くなっています。

通常であれば、最も利回りが低いのは1月もののはずですよね?

 

なぜ、このような現象が起きるかと言えば、

ここで言うと3年物の米国国債の需要が高く

多少利回りが低くても買いたい人や法人が多いからです。

 

では、なぜ米国国債の需要が高くなるのか?

 

わかりやすい例を挙げると株式などの

下落や収益低下の不安がある時などでしょう。

 

こういう場合、資産保全が目的なので

短期債券は買いませんねよ?

 

買うなら中期~長期の債券です。

 

すると、中期~長期の債券の需要が高まり値が上がります。

債券の値が上がると言うことは利回りが下がると言うことです。

 

そういう訳で、中期~長期の利回りが短期利回りより下がる

逆イールドと言う現象が発生するのです。

 

つまり、中期~長期の債券に対して、

不自然なほど大きな需要が発生した時に、

逆イールドは発生します。

 

例えば、不景気に突入して株式市場が崩れる前などは、

この現象が発生します。

ですから、逆イールドは不景気と結び付けられやすいのですが、

逆イールドから不景気に至るのはケースの1つに過ぎません。

 

逆イールドが直接的に示すのは、

債券に対する不自然なほど大きな需要の存在以外の

何物でもありません。

 

そこで、現在の状況を考えてみて下さい。

現時点でもっとも見えない経済効果を持つイベントはブレグジットです。

なので、株式などのリスク資産を持つ人や法人は、

ブレグジット前後に債券など比較的安全な資産に買い替えるのは自然です。

 

逆に言うと、現在の逆イールドはブレグジットと言うイベントの直前であるということが

織り込まれていると言うことです。

なので、一般的な経済指標として逆イールドを評価するのであれば、

ブレグジット後に評価すべきでしょう。

 

「いや、そもそもブレグジットの影響を考えるべきでしょう?」

 

と、言うのであれば、逆イールドなど見ている場合ではありません。

逆イールドは中長期的な指標であり、直近のブレグジットの効果を見るために

有用な指標ではありません。

 

逆イールドについてさわぐくらいなら、

ブレグジットの行方にきちんと注目していた方が

よっぽど有益ではないでしょうか?