LOVE PHANTOM 10 | 一期一会

一期一会

本も人の出会いも一期一会。時々読者、時々物書き。好きな本やコミック感想を中心に、日常のつれづれと共につぶやいていきます。


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「な、なんで僕がここに……?」
訳がわからず動揺してレオナルドが上げた声で、ハイデリヒに抱きかかえられ、気を失っていたウィリアムが気がついた。
「……レオ?」
「兄さん?どうしたの?」
レオナルドは急いでハイデリヒからウィリアムをもぎ取ると、大事そうに抱きしめる。
だが、なぜか兄の体は氷のように冷たかった。
「冷たい……」
なんでこんなに冷たいのかレオナルドが尋ねようとすると、ウィリアムの声に遮られた。
「本当にレオなんだな?」
「何おかしな事言ってるの? 僕は貴方の弟のレオナルドだよ」
「……よかった」
あからさまにほっとするウィリアムの顔を見たハイデリヒは小さく舌打ちする。
「貴方の弟なの? 兄弟再会ってわけか。でも残念だね。お兄さんは僕の仲間になったんだ。もう君には会えないよ」
「仲間? 兄さん、どういう事?」
「……やっぱり……さっきのは夢じゃないのか」
「夢にされては困るね。さっきも説明したでしょう? もう貴方は人間じゃない。僕と同じヴァンパイアなんだ」
「ヴァンパイア? 兄さん! どういう事なの? 何をされたの?」
凄い剣幕で、レオナルドが捲し立てる。
「何って……突然コイツがオレの目の前に現れて……それからキスをされて……。なんか首のあたりが痛いと思ったら全身が痛くて痙攣を起こしてそのまま……」
「キスされたの?」
「キスって言ってもだな……」
レオナルドに言い詰め寄られて、しばし困り果てるが、次の瞬間、ウィリアムの唇に暖かくて柔らかい感触が伝わった。
目を閉じる間もなく、レオナルドがウィリアムに自分の唇を重ねると、重ねた所から自分の体温が奪われているくのがわかった。
冷たい。
ウィリアムの唇も、柔らかな頬に触っても、氷のように冷たかった。
「……レオ?」

レオナルドが自分にキスをしている。そう自覚すると、ウィリアムが今まで弟に対して抱いていた想いが何だったのか、やっと自分で納得がいった。
……そうか、オレはコイツの事が好きだったんだ。
弟なのはもちろん、
人間として。
恋愛対象として。
そう考えると、いままでもやもやとして、自分の気持ちになんと名前をつけてよいものかわからなかったものが、やっと腑に落ちた。
いままでレオナルドに対して何か思う事があっても、そっち方面には疎い自分は、自動的に「オレの弟」とだけ考えるようにして、自分の気持ちに気づかない振りをしてきた。
けれどもう遅い。自分は人間でなくなってしまった。ヴァンパイアになって自分の本当の持ちに気づくなって、なんて間抜けなのだろう。


to be  continued……