第三章 コバルトブルー
ビリー・クリフォードside
1
物理クラブは相変わらず部員四人のまま、学年末を迎えた。このまま三年生が中学を卒業してしまえば、物理クラブはクリフォード兄弟だけになる。
ビリーのラブレター騒ぎ以来、ルークは割り切ったのか、ビリーに対する気持ちを、隠さなくなっていた。
ビリーもルークに思われるのはまんざらではなかった。
以前は名前を呼ぶにも「兄さん! 兄さん!」と騒がしいものだったのが、最近は「ビリー」と一言、名前を熱っぽい目を潤ませながら呼ばれることが多くなった。その度に胸の奥がドキドキして、なんだか落ち着かない気分になる。
ビリーもルークは嫌いではない。けれど、これを恋愛感情としてとして扱っていいのか、戸惑っていた。
今まで《恋愛》というと、男女の間だけに存在する気持ちだと解釈していた。けれど、ラブレター事件以来、男女以外にも恋愛は成立するのだとわかると、複雑な気持ちだった。
ビリーはいたって自分では普通だと思っている。
男子よりも女子のほうが好きという感情を抱きやすいのは間違いないと思うが、これも定かではない。ビリー自身、誰かを本当に好きになったことがなかったからだ。
ビリーにとって、ルークはなくてはならない存在だと思う。けれど、それが恋愛感情なのか、兄弟愛なのかは、わからない。
ただ、ラブレター事件以来、ルークはビリーにキスを求めてくるようになった。
ビリーも断る理由がないので、当然応じる。熱っぽい舌で、口中をなぞられると、頭が真っ白になり、ぼんやりとしてしまう。ルークはそれ以上望まないので、キス止まりで終わってしまうのだけれど。
名残惜しそうに離れるルークの瞳を見ると、ビリーも寂しいと思うし、なんだか物足りない。
これって、恋愛なのだろうか。男同士で? しかも兄弟同士で、恋愛はできるものなのだろうか。
成績は優秀なビリーだが、考えてもわからない。
誰かに相談したくても、考えたら相談したい相手がルーク以外にはいないことに気がついた。
to be continued……