第四章
6
翌日、オスカーは大学を休んでアルフォンスのアパートで過ごしていた。 アルフォンスは大学に向かい、マーロウとルイズに昨日の話をした。
話を聞いている側から、ルイズは「けしからん!」と指をぽきぽきならすのを、横で聞いていたマーロウが「落ち着いてください」と何度も窘めた。
まるで檻の中のライオンのように、うろうろと教官室の中をルイズが歩き回る。アルフォンスが全てを話し終わると同時に、食ってかかった。
「アルフォンス。その話は本当なんだな?」
「はい。名前もはっきり言ってましたし、なにしろルイズ教官を呼びに学生が来た時、ボクもそこにいましたから確信があります。それに、オスカーにも確かめました」
アルフォンスが自信を持って答えると、側で聞いていたマーロウが「オスカーがよく話しをてくれたね」と感心しながら言った。
マーロウが感心するくらい、筋金入りの頑固者のオスカーの心を砕いたかと思うと、アルフォンスは少し照れ臭かった。
脳裏には、オスカーのハグをしたのを思い出したからかもれない。
アルフォンスが「……最初は嫌がっていましたけど」と、心持ち小声で頬を赤くしていたが、幸い、マーロウとルイズは気にも留めていなかった。
ルイズがたたみ掛けるようにマーロウに尋ねた。
「フランツというと、もしかして四年にいるフランツ・クルップの事か?」
「ええ。たぶんそうでしょう。確か彼の家は相当な資産家だと聞いています。ルイズ教官。彼のレッスンを了解しなかった事を覚えていますか?」
「うーん」
ルイズは腕組みをして思い出そうとしているようだったが、無理なようだった。そもそも、オスカーがここまでの暴行を受けるようになった経緯は、ルイズにも責任もあるのだ。
「悪い。そんな事もあったようだが、私の所にくる学生も多いからな。正直覚えていない」
アルフォンスが聞いた学生同士の話だと、イジメのきっかけは、希望したルイズのレッスンを断られ、代わりにレッスンを受ける事になったのがオスカーだったと言う。客観的に言えば逆恨みだ。
「「オスカーが可哀想……」」
ルイズの様子を見たマーロウとアルフォンスは目で合図したが、それをお互い言葉には出さなかった。
「それでどうする?」
「それなんですけど、お二人に相談があります」
アルフォンスはルイズとマーロウに話を始めた。
to be continued……