深海探検 第2話 | おバカな2人の二人三脚

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昨日 の続きです>

ダイオウイカの鳴き声がさらに大きくなって10本の腕がエレベーターに絡みつこうとしたその瞬間、甲高い音と振動が襲ってきた。
海底が盛り上がり、そこから黒い塊が現れた。 マッコウクジラだ。
マッコウクジラは、その大きな身体からは想像もできないほど機敏な動きでダイオウイカめがけて突進した 。
ガードマンくじら

ダイオウイカは腕を広げ光を放って威嚇してみせたが、マッコウクジラは怯まない。
輸送パイプの前に立ちはだかると、ゆっくり胸ビレを振ってみせた。
「見逃してやるから立ち去れ。 さもなくば、お前を食うぞ!」
こういう場合、襲い掛かってくるより、にらまれた方がはるかに恐ろしい。

恐怖のあまり、ダイオウイカはどす黒いスミをチビってしまった。
怖いとチビるのは、人間だけじゃないらしい。
戦わずして敗れたダイオウイカは、弱々しく闇の奥深くへ逃げ去った。

しばらくあたりの様子をうかがって大丈夫と感じたのか、マッコウクジラは下降するエレベータの前で身体を振ると、悠然と来た方向へ帰って行った。 そして海は静寂を取り戻した。
「ふ~、よかったねぇ、無事で」
「今のクジラは、海の警備隊なのかもね」
「でも、なんでこんな深くに潜れるんだろう?」
確かに、7,000m以上も潜れるマッコウクジラなんて聞いたことがない。
海にはまだまだ解明されていないナゾが多いってことかな。

とんだハプニングがあったものの、順調に海底まで到達した。 そこでキャタピラ走行に切り替える。 特殊キャタピラと高性能サスペンションのお陰で、やわらかい砂地でも快適に走った。

300℃を超える熱水噴出口、海底洞窟、海底火山 ――
そのどこにも、生物がいた。 こんな場所に? と思えるところにもいるのである。
過酷な環境にも命は宿る。 深海が 地球最後のフロンティア と呼ばれる所以だ。
初めての深海で、僕たちは時間を忘れてあちこちを探検した。

当初、ある程度海底散策をしたら浮上する予定であったが帰るのが惜しくなったので、地底で1泊することにした。 泊まるのはもちろん、海底リゾート『沖縄ドロップ』 。

宇宙旅行も面白いが、やっぱり海がいい。
僕は水瓶座、なるは魚座。 もともと2人とも海に縁があるんだから。
さて、明日はどこを探検しようかな?
お・し・ま・い