1960年

広島の先発河村はややコントロール不足から巨人に塁上をにぎわわせたが肝心のところでは、シュート、スライダーをきめて得点を許さなかった。

1997年
ミスター・シークレットの初お目見えは、実力もシークレットのままだった?九日に来日したばかりの近鉄の新外国人・ラフィンが来日初登板でいきなり先発。「シークレット」としていた球種・(大小のスライダーとチェンジアップ)と直球で、相手の打ち損じを誘ったものの、制球に苦しみ、3失点で六回途中に降板。日本野球に慣れていない面もあり、課題を残した。5回0/3を投げて3安打7四球。MAX148㌔といわれていた直球も140㌔が一度出ただけ。佐々木監督も「シークレットやな。ブルペンでは速かったんやが」と苦笑いだ。「コーチが育てていく素材。今後もクイックなど矯正しながらやっていく」と今後も慣れさせながら、先発の頭数と考えていく方針だ。初登板を白星で飾れなかったラフィンだが「初めてにしてはまあまあ。いろんな面で日本の野球に慣れていきたいね。慣れればやっていける自信はあるよ」と自信にはなった様子。わずか来日五日目。試合直前に野手とけん制練習など、突貫で登板だけにシークレットを総て明かすのは次回にとっておく。

1960年
完封は何度目?愚問に本間は「初めてですヨ」とあざ笑った。これまで完封勝利がないのは不思議といえば不思議。それほどこの夜のピッチングは鮮やかだった。なにしろ七回まで2安打、広島につけ込むスキすら見せなかったのだ。もっとも二回三本つづけてかなりいい当たりを許しはしたが、いずれも野手の真っ正面「これでツイていると思った」本間はマウンドでクスリと笑いながら投げつづけた。「本間にしてやられた。最初シュートでカウントをとられ、外角にカーブを決められた」とは白石監督敗戦の弁。なお本間はこれで10勝目。「目標を達したし、あすは休みなので今夜はゆっくり遊ぶヨ」その遊びについては語らなかったが、多分、彼本来の勝負強さを発揮する遊びなのであろう…。

1963年

巨人は本間の速球とスライダーにてこずってさっぱり。二回ゴルフの手袋を右手にはめた長島が中前に快打したのと、三回森が左線にふらふらと落とした二塁打二本のみ。中日戦の猛打はすっかり影をひそめていた。

「巨人に勝つのはいいね。やっぱり気分的に違う。まして完投だもんね」ベンチにどっかと腰をおろした本間は手ばなしで喜んだ。本間の先発はだいぶ前から決まっていたが、本人が聞いたのは十三日の夜。そのとき本間は「巨人にはいつもやられどおしだから、ここで一つお返しをしてやろう。中日と優勝をせりあっている大事なときだけにおもしろい」巨人には始末の悪い計画をふと考えたそうだが、本間が巨人に勝ったのは三十六年八月十二日以来丸二年ぶり。シッポをまいて引きあげて行く巨人ナインをいじわる坊やのような視線で見送る本間の顔は今シーズンはじめての金星にうれしさがいっぱいだった。「きょうはストレートがよく伸びていた。カーブもよかったけど、へたにカーブなんてほって持っていかれるといかんから速球で思い切ってイン・コースをねらった」二回長島、八回王に打たれたのはそのストレートだが、本間は「長島のは外角、あれは打った方がうまいよ。王のはど真ん中ぼくの失投」と弁明したが、とにかく一発屋がずらりと並んだ巨人打線に堂々と内角直球で勝負に出たあたり、よほどその伸びに自信があったのだろう。「ケガしていても長島はこわい。前から打たれてるからね。一点差になって最後は緊張したが、きょうは鎌田さんのいいプレー(四回併殺)をはじめ、バックがよく守ってくれたからね。巨人はやっぱりこわい。だけどいまちょっと疲れているようだね。バットが振れてないよ」終始相好をくずしながら本間はよくしゃべった。