1997年
阪神の入団テストを受けるため来日したボブ・マクドナルド投手が初練習を行った。12日、時差ボケもあって予定の正午より30分早く兵庫県西宮市の鳴尾浜球場に登場。アップを行ったあと、早速ブルペンに入った。190㌢の長身でスリークォーターという左腕は、速球、カーブ、チェンジアップ、スライダーとすべての球種を披露、合計52球で来日初ピッチングを終えた。ボールを受けた元捕手の山川猛渉外担当は「速球は140㌔前後出ている感じだった。制球のいいタイプだね」と話した。マクドナルドも「ボクのは落ちる真っすぐなんだ」とムービングファストボールに自信を見せた。メジャー6年で8勝9敗3セーブ。2度プレーオフにも出場している。吉田監督ら首脳陣の前でのテスト本番は15、16日。リリーフ陣の台所事情が苦しい阪神の救世主になれるかどうか。
10球を過ぎて、スピードガンが設置されると吉田監督、一枝ヘッドコーチらが集結。ところが「140㌔は出ると聞いていた」(一枝ヘッド)という期待は数球後に、見事に裏切られた。変則モーションから、持ち球の直球、カーブ、シンキングファストボールを繰り出す。しかし「鳴尾浜での練習より緊張した。自分の持ち味は低めへの球。でもスッポ抜けたりして、本来の自分を見せることが出来なかった」と本人の言葉どおり、MAX135㌔、平均133㌔のスピードは、いかにも物足りなかった。左打者の内角直球は、シュート回転で入って来る。有効に使えば決め球にもなるが一枝ヘッドは「球が軽そう。あれじゃあ、内角を突くのもしんどい。あの球速では抑えは厳しいな」と落胆の表情を見せた。郭李の不調でぜひとも欲しいストッパー。阪神の補強ポイントだけに、マクドナルドが使えれば拾い物だが、そうそううまくはいかない。予定通り十六日もテストは続行。マクドナルドは「明日はチョウチョが飛ぶこともない(緊張しない)から大丈夫」と強気の発言をしたが、状況は厳しい。「あした見てから話しますわ」吉田監督の言葉は、これだけだった。
メッツ・バレンタイン監督(昨年までマクドナルドが在籍)「彼はあんまり良くないよ。スピードもあるわけじゃない、コントロールもね」
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1968年
先に山本内野手、金子、金村両投手を整理した西鉄は、十四日上別府幸一投手(21)を自由契約選手にした。上別府投手は試合前の打撃練習投手としてここ数年重宝がられていたものだが、ことしの夏あたりから左肩を痛め、ピッチングが出来なくなったため、本人から退団を申し出たものである。まじめな選手だっただけに、ナインの中に惜しむ声が多い。
1988年
昨年は飛躍の年だった。145㌔の速球とナックルを中心とした変化球で大活躍。角、鹿取にづなげるまでのちゅばんを安定したピッチングで抑えた。私生活の面でも萩商時代の同級生佐和子夫人と結婚。色々な意味で、今年はやらなければならない年だ。
1989年
小気味のいいいピッチングが売り物だ。ストレートの速さなら、チームで3本の指に入るだろう。「ひょっとすると」と中村ピッチングコーチが夢を語る。「リリーフの切り札になれるだけの素材だと思うよ」メキメキ頭角を現してきたのは、昨秋のアメリカキャンプだった。かつてドジャースの大エースだったドライスデール氏が、巨人の若い投手陣を教えたとき、真っ先に目をつけて絶賛したのがこの広田だった。「ナゼ、このピッチャーが中心投手になれないんだ?」じっと広田を観察して、大きな体をマウンドに運んだ。ゼスチャーたっぷりに、そこで教えた新球がチェンジアップだった。「ストレートも速いし、スライダーも悪くない。しかし、バッターのタイミングをはずす球がないから素質を生かせないのだろう。このチェンジアップをマスターしてくれたら、必ず中心投手になってくれるはずだ」このキャンプから春のオープン戦、全然、広田の名前が出てこないので、ドライスデール氏は不思議に思ったかもしれない。実はグアムから宮崎に移った二月上旬に、カゼ発熱で五日間も練習を病んだのが調整遅れの原因だった。昨春は左ひざ痛で、今春はカゼで…とスタートに失敗したが、秘密兵器はいつもピンチを救う中盤から後半に、さっそうと出てくるかもしれない。中継ぎ役として一軍に上がり、実績をつんで鹿取を助けるストッパーだ。「今年のテーマは、バッターのベルトの位置よりも絶対に下に投げるということです。山倉さんには申し訳ないけど、ショートバウンドもかなりあると思います。低目のストライクゾーンから、ボールに落としていく球で勝負しようと思ってます」伸びのあるストレートがアウトローいっぱいに。そのコースからスライダーをボールにはずしてみる。ある時は新球のチェンジアップでバッターのタイミングをはずしてみる。ベルトより上にいく球は、バッターをのけぞらせる内角高目の球だけ。チェンジアップを覚えたことでピッチングに幅が出てきた。「ウチの投手陣はいいですからね。相手がどうの…という前に、たくさんのライバルをひとりずつ抜いていくことから勝負をかけたいと思います」ドライスデール氏を喜ばせるのは夏過ぎか…。