ヤツは「マジ死ね」が口癖で、猛烈に口が悪いです。

わけのわからないことをわめき立て、暴れ、人をめいいっぱい傷つける暴言を吐く。

が、近所の人、友達、親戚にはヘラヘラと愛想を振りまき
普段の人格を微塵も見せません。

誰でも、家の中と外で態度が違うのは、ある程度は普通のことです。
が、ヤツは度を超しています。

ニコニコしながら
「こんにちは~お久しぶりですね」
なんて裏声で言ってる姿を見ると寒気がします。

自分から志望した専門学校を2年連続でサボり留年した時も、家では

「だって面倒くさいんだもん!
学校行くか行かないかは個人の自由でしょ!?
偉そうに強制すんな死ね」

と開き直っていたのですが、外では


「今?専門学校で勉強してるんです。大学は家に経済的負担かけちゃうんで~」

とにこやかに「大学には行かせてもらえなかった」ことを匂わせながら
話すのが定番でした。
(大学より専門学校を選んだのはヤツ自身です)


にこやかで、礼儀正しくて、家族を大切にする妹ちゃん。

そう思い込んでいた人もいると思います。


ニコニコしながら「ふふっ」と気持ち悪い笑い声をたてるヤツから、
暴言電話を想像できる人はいないでしょう。


よく知らない人には、ヤツはすこぶる印象が良いようです。

くれぐれもそのまま騙されて、ヤツのテリトリーに引きずり込まれませんよう。


ヤツと同じ家で生活していた頃は、どんな小さなことでも火種になりました。

まず食事。
用意しておいてもまず帰らない。
かといって、ふらっと帰ってきた時に用意していないと「虐待」と逆上する。

そしてそれを口実に

「もういい、こんな家にはやっぱり帰ってきたくない
でもあたしは好きで帰らないんじゃない、
こんなふうに食事も満足に与えてもらえないからだ」

と被害者になってまた出ていくか、もしくは

「自分で買ってくればいいんでしょ。お金ちょうだい。
こどもの食費を出すのは親の最低限の義務なんだから」

とお金をせびるか、どちらかです。

だんだんエスカレートしたヤツは、食事を一瞥するなり

「こんなものいらない。
これからは外で食べるから、毎月あたしの分の食費を渡せ」

と要求してきました。

無理だと言うと「食事代もくれないなんて、虐待だ」と騒ぐ。

もちろん、お金を渡したことはありません。


我が家の入浴時間は夜ですが、ヤツは昼夜逆転のような生活だったので、
入浴は昼間。
それもお湯を張り直した上で、シャワーを1時間も浴びるので
ヤツが家に帰っていると水道代がはねあがりました。
普通の時間の入浴を促してもお得意の

「あたしには自由が無い」
「風呂の時間まで強制する気か、虐待。」

気に入らないことがあると

○日中、誰もいない時間に水を全開にして出しっぱなしで出ていく。
私か母親が帰宅して気付くまで水流れ放題。

○夜、張ったばかりのお湯を抜く。

という、小さな嫌がらせをしました。

くだらないことですが、コレと一緒に住むというのはものすごく疲れることでした。

ある日、帰宅したら部屋中が生臭くベタベタで、
なんだ?と思ったらイカの内臓を生ゴミから引っ張りだして
私の部屋中に塗りたくっていました。


日常生活を送る気力・体力・経済力をすべてヤツに吸い取られていた感じでした。


ヤツは外面がいい、と何度か書いています。

家族以外の人に見せる態度は、家の中とのあまりの差に吐き気を催すほどです。

発症前から見栄っ張りの傾向は顕著でした。

たとえばヤツは本を全く読まない人なのですが、
友達を家に呼ぶ時は、私の部屋からこっそり大量の本を持ち出し、
自室に並べていました。

遊びに来た友達に
「すごーい。難しそうな本がいっぱい!」
と言われ、

「あたし、本がないと落ち着かないの。」

などと言っているのが聞こえました。


また、私が何か買うと持ち出して友達に見せるのは日常茶飯事でした。

傘やバッグ、アクセサリーなど。
自分のものとして友達に見せびらかすんです。

大したものではありませんが、年上の私のものなのでヤツにとっては
「大人っぽい、かっこいい」
という、友達に向けた演出の小道具になるんです。

高校くらいまではこっそり持ち出し、こっそり戻すというやり方でしたが
(でもたいていバレていました)

発症してからは「これは自分のだ」と主張し、返さなくなりました。

うっかりそのへんに何か置いておこうものなら持っていかれるので、
一時期は傘や靴まで玄関に置いておけず、自室に隠していました。

細かいことを言えばクレンジングオイル、ヘアワックスなども
洗面所に置いておけませんでした。
しょっちゅう無断外泊していたため、こういうものはヤツの必需品だったんです。

だから置いてあればラッキーとばかりに無断で持っていく。


これだけ見たらたいしたことないようなことかもしれません。
でも日常生活のすべてに何かしらヤツが絡んでくるんです。
おかしくなりそうでした。

ヤツはちまちまと普通の生活を侵食していきました。