ここは私の毒吐きすっきり場ということでひとつ、
くだらないのですが、どうしてもモヤモヤしている記憶を。

私は大学生、ヤツは専門学校をサボってフラフラしていた頃。
母親は病気が見つかり絶対安静で、私がヤツの対処をしていました。

ヤツが1ヶ月近く帰宅しなかった、発症後のある日のこと。


ヤツと話し合うために、メールで近所のファミレスに呼び出しました。

家の中よりは人目がある分、冷静になれるかと思ったからです。

「無断外泊・着信拒否・学校サボり禁止」を約束させるためでした。
多少の妥協をする覚悟はしていましたし、この際とことん話を聞いて
少しでもヤツの心の中が分かればいいと、そのときは思っていました。

ええ、じっくり話を聞けばもしかしたら解決の糸口が見えるかも、
なんて淡い期待がありました。
つまりパーソナリティー障害なんて知らなかったんです。

そのとき、珍しくヤツはすんなりと私のメールに応じました。
たぶん外泊が長く、しばらく顔を合わせなかったため、
私への攻撃性が薄らいでいたのでしょう。

「何時にそっちに行けるか分からないから駅で待ってて」

結局、ヤツが地元駅に現れたのは終電の時刻でした。
それからファミレスに連れて行き、
飲み物だけ頼んで話し合いをしようと思ったら

「ねえ、あたしお腹すいてるんだけど。」

…何か頼めば?呼んだのはこっちだから、お金は払う。
そう言うと遠慮なくヤツは好きなものを次々と注文し始めました。
たぶんイヤガラセの意味もあったのでしょう。

こちらとしては意地もあり、
「なんでも好きなものを頼め、ただし話はちゃんと聞け。」
と言い渡しましたが、内心ではお財布の中身を思い出しハラハラしていました。

ファミレスを選んだのは正解でした。
人目があるため、外面の良いヤツはそうそう暴れられません。
こちらもエキサイトしすぎません。


話し合いも佳境に入り、

「じゃあ約束できるのね?無断外泊も着信拒否もしないで、
ちゃんと学校も行くんだね!?」

と念を押すと、

「…あのさ、話長いからお腹すいちゃった。パンケーキ頼むわ」

さもバカにしたような響きでした。
明らかに「逃げ」です。

いざ明確に「約束」をする場面になり、面倒になって逃げただけです。

とにかくパンケーキを頼み、話を続けました。

私の話を聞いているんだかいないんだか、わざと遠くを見つめて
パンケーキを頬張るヤツ相手に、それでもなんとか話を続け、得た結果が

「あたしバカだから今の話、理解できなかったわ。
っていうか聞いてなかった~」

「ところで今日は帰らないから。あ、しばらく帰らないけど、電話しないでよね、
うざいし、友達に恥ずかしいから」


食事代を返してほしいわけではないんです。

夜中の3時すぎ、必死で話した相手に、食事をおごった見返りが
話も聞かずバカにされただけ。

某ファミレスのパンケーキにはいやな思い出がたっぷり詰まっています。


Kちゃんはカウンセリングに通うことになりました。

カウンセリング費用を出すのはもちろん姉のYやお母さん。

Kちゃんは喜んでカウンセリングに通っていたそうです。
話をじっくり聞いてくれる医者に依存してしまったらしく、
「なんでもわかってくれる人!」とハマってしまったようです。

ところがKちゃんはまもなく職場で熱烈な恋に落ちます。
一方的に手紙を毎日渡し、帰宅時間に待ち伏せし、職場中に
「私たち付き合ってるの」「結婚するんです」
と吹聴して回りました。

相手の男性がたまりかねてYの家に相談に来たことで発覚しました。

「相手の男性に迷惑でしょう」
と家族みんなでいくらKちゃんを説得しても

「運命なの、結婚するの、2人の関係に口を出すな!ひがみ!?」

とまったく話にならず、出社しても、相手の男性が出張などで不在だと
早退してくるまでになってしまったそうです。

熱烈な片思いが始まってから、Kちゃんはいっさい病院に行かなくなりました。
新しい依存対象ができたからなのでしょう。



と、こういう話をYから疲れきった顔で打ち明けられて、
私はその頃読み漁っていた精神病関係の本の中から
「パーソナリティー障害」という言葉を思い出しました。

「素人がこんなこと言ったらいけないかもしれないけど
気に障ったらごめんね、こんな病名知ってる?
なんか妹さん、すごく当てはまってるみたいなんだけど…」

としゃべりながらハッとしたんです。

「うちの妹、Kちゃんとタイプは少し違うものの、全体では酷似している。
それにKちゃんのことを話すYと、妹に対する私の感情が怖いくらい似ている。」


人のことは見えても、自分のことはわからないもので、
Yと、妹のKちゃんを通して初めて、うちの妹はパーソナリティー障害?
という疑問を持ち始めました。


そしてそう仮定してみると、すべてのことがピタリと納得できてしまいました。



ヤツがボーダーというものかもしれないと思ったきっかけは、
友人とその妹さんです。
仮に友人をY、妹さんをKちゃんとします。

友人Yはいつも傷だらけでした。
Y自身だけでなく持ち物、
…カバン、ノート、携帯など、そういったものも傷だらけでした。
後で判明したのですが、妹のKちゃんは毎日のようにキレて爆発し、
怒りをコントロールできずに徹底的に暴れるのだとか。
窓ガラスを割ることもしばしばというからYの苦労は想像を絶します。

ついにY一家は近所からの苦情により、まわりに人がいない
郊外へ引っ越すことになりました。

私たち友人から見て異常だったのは、
Yと会っているときに妹のKちゃんから常に電話とメールが絶えないこと。
3分おきくらいにメールと電話が来ます。
内容は

「ペットの具合が悪いから帰って来い」
「好きな人が冷たい。相談に乗ってほしい」
「肌の調子が悪い、死にたい」

のように、とりとめのない感じでした。

でもYは必ず電話とメールの相手をしていました。
「無視したらとんでもないことになるから…」と。

Kちゃんはあまりきちんと働けていません。
「体調不良」「気分が乗らない」で1週間に3日くらいは平気で休むため、
次々に会社をクビになっていたそうです。

だからKちゃんは25歳を過ぎてもお母さんと姉にお小遣いをもらっています。
それも10万円単位で要求するそうです。

あんまり働いていないのに、Kちゃんは金遣いが荒い。
すごく美容に気を遣う子らしく、勝手にエステを契約してきて、
請求書はお母さんか姉のY宛て。


お母さんはYに

「あの子はどこかおかしい。あんたまで不幸になるから早く家を出なさい。
Kちゃんのことはお母さんが一生面倒見るから」

と言っているそうです。


とうとうYはKちゃんのことを精神科の病院に連れて行きました。
Kちゃんが「不眠」を訴えたのを口実に、なだめすかして連れて行ったそうです。
結果は…病名つかず。

医者は
「こういう人はたくさんいます。病名をつける医者もいる。
でもぼくはこういう症状に病名をつけるのは好きではない。
彼女の話をじっくり聞いていきましょう」

と言い、カウンセリングが始まりました。