第49回衆院選総括です。
前回の衆院選から公示直前までの様子はこちらをご覧ください。
1.選挙結果
各党獲得議席()は公示前勢力からの増減です。
自由民主党 261(-15)
公明党 32(+3)
与党計 293(-12)
日本維新の会 41(+30)
改憲勢力計 334(+18)
立憲民主党 96(-13)
日本共産党 10(-2)
れいわ新選組 3(+2)
社会民主党 1(±0)
野党共闘計110(-13)
国民民主党 11(+3)
NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で 0(-1)
無所属 10(-2)
比例代表得票数(全国計)
自由民主党 19,914,883
公明党 7,114,282
日本維新の会 8,050,830
立憲民主党 11,491,737
日本共産党 4,166,076
れいわ新選組 2,593,203
社会民主党 1,018,588
国民民主党 2,593,203
NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で 796,788
支持政党なし 46,142
日本第一党 33,661
新党やまと 16,970
政権交代によるコロナ対策強化新党 6,620
2.今回の選挙
今回の衆院選は、嫌われ者同士の対決という言葉で表現できます。
つまり、自公にも立共にも逆風が吹いており、多くの無党派層にとっては、どちらにも投票したくないという選挙でした。そうした中、自公も立共も議席を減らし、維新と国民民主が議席を伸ばすという結果になりました。
また、今回は本格的な野党共闘が行われた初めての選挙であり、多くの選挙区で接戦となりましたが、接戦区の多くを制したのは自公でした。接戦区が多かったことから、マスコミ各社の情勢調査は精度を欠き、大きく外すところが多くありました。
今回の小選挙区の特徴として、与野党共に不祥事を起こした候補者や、高齢の候補者に厳しい目線が向けられました。
不祥事では自民党の甘利幹事長や桜田義孝元オリンピック大臣、高齢では立憲民主党の小沢一郎氏など、それまでは落選することが考えられなかったような人まで落選することになりました。
3.立憲が議席を減らした理由は
①前回の敗因は
前回2017年の衆院選で野党が負けた理由ははっきりしています。それは、野党間の連携不足で、主に立憲民主党と希望の党がバラバラに戦ったことで票が割れて結局、自民が得をしたという選挙区が多かったです。前回は、与野党の得票数はほぼ同数でした。
②比例代表で惨敗
今回の衆院選は与党の得票数は野党を大きく上回っています。自民党は比例で72議席を獲得しましたが、これは2005年の郵政選挙に次ぐ数字で、衆議院の比例代表導入以後では過去2番目に多い議席数になります。それに対して立憲民主党は、前回の衆院選で結党直後の旧立憲民主党が獲得した得票数(11,084,890)とほぼ同じです。立憲民主党は旧立憲民主党と旧国民民主党、無所属会派、社会民主党の一部が合併してできた政党です。これだけ大きな勢力になったのですから、本来は得票数が1.5倍程度まで増えなければいけません。それが横ばいですから、かなりの少なさと言えるでしょう。
「比例で立憲に投票する人が選挙区は自民に」とはなかなか考えられないので、そのような行動をする人は少数でしょう。
よって、比例で思うように得票できなかったことが、接戦の選挙区を落とした要因と考えられます。比例で1500万程度まで票が取れれば、接戦選挙区もかなり取れたでしょう。立憲候補が敗れた小選挙区のうち34が1万票以内の惜敗でしたので、少なくともあと34議席は取れていました。
そうだとすると、立憲が選挙区で取れなかったのは、各選挙区や候補者の事情ではなく、政党としての方針が間違っていたと言えるでしょう。
③野党共闘は正しかったのか
結論から書くと、正しかったと言えます。立憲が小選挙区で獲得した議席は全て、候補者が一本化できた選挙区で、一本化できなかった選挙区は全敗となっています。また、出口調査の結果からも、共産党の支持層は共産党の候補者がいない選挙区で9割近くの人が立憲の候補者に投票していることが明らかになっています。野党共闘は一定の成果があったものと考えてよさそうです。もし一本化が進まなければ今よりも更に酷い状態だったと考えられます。
④政権交代を全面に出しすぎた
今回の立憲のキャッチコピーは「変えよう」で、政権交代を全面に出して戦っていました。
しかし、世論調査からも明らかなように、政権交代の機運はなく、多くの有権者は政権交代を望んでいませんでした。政権交代を望まない理由として、民主党政権の負のイメージがあることや、共産党との連携に不安があることなどが考えられます。
そうした中で政権交代を前面に出してしまっては、「万が一政権交代をしたら困る」と有権者が考えてしまい、結果として自民や維新、国民民主などに投票したものと考えられます。民主党が政権交代を果たした2009年は、世論調査からも政権交代を望む声が多かったことは明らかです。そのような機運があれば政権交代を前面に出すことによって勢いが付きますが、今回は完全に時期尚早でした。
⑤キャッチコピー
キャッチコピーですが、上にも書いたように、今回の立憲のキャッチコピーは「変えよう」です。政治に詳しくない人がこれだけ見ても何のことがかわかりません。政治に詳しくない人は政策をじっくりと読むことは少ないので、キャッチコピーは重要になってきます。
2009年の民主党政権は「国民の生活が第一」という非常にわかりやすいキャッチコピーでした。
また、今回共闘野党で唯一の成功を収めたれいわ新選組は「何があっても心配するな。あなたには国がついている」でした。これも非常にわかりやすく、また、今本当に困っている人を助けたいという想いが伝わっており、政治に詳しくない人でも心が動かされます。
⑥政策
政策についても、緊急の課題であるコロナ、経済対策、子育て支援などを前面に出して戦うべきでした。政府の不祥事やジェンダーの話などももちろん大事ですが、一部の層にしか響きません。もちろん、これらを訴えるなとは言いません。しかし、政策の前面に出すのではなく、あくまでもメインは多くの人にとって重要な問題であるコロナ、経済、子育てであるということを前面に出して戦うべきでした。
⑦今後どうするべきか
枝野代表と福山幹事長が辞意を表明しました。特別国会閉会後に党員サポーターも含めた代表選挙が行われる予定です。
これまで枝野代表を支えてきた2017年の旧立憲民主党の結党メンバーの多くは落選してしまいました。
どのような方であっても野党共闘に一定の成果があったことは認め、共闘路線は継続していただきたいです。また、未だに民主党政権の負のイメージが残っているので、できれば民主党政権時の重鎮ではない人を中心とした方が良いでしょう。
4.今後の国会は
10日に特別国会が開かれ、まず新議長、副議長が決まり、その後首班指名選挙が行われて第二次岸田内閣が成立します。
衆議院議長は2015年から議長を務めていた大島理森氏が引退したので、6年ぶりに新議長が誕生します。
特別国会は短期に終わり、1月から通常国会が開かれ、7月には参院選が行われます。
今回の衆院選で初当選した新議員の本格デビューは1月の通常国会です。今回の衆院選は与野党共に若い国会議員が登場しています。最年少は1992年生まれ、初の平成生まれ国会議員となった馬場雄基氏です。
今回の衆院選で3議席を獲得したれいわ新選組は、衆参合わせて5議席となり、得票率2%だけでなく、国会議員5人という政党要件も満たすことになりました。れいわ新選組の本格的な国会がスタートします。
私としても、今回の衆院選は大変厳しい結果となり、正直辛いです。
しかし、これも民意であるとしっかりと現実を受け入れ、次の選挙こそ必ず勝つという意思の元、自分にできることをしっかりやっていこうと思います。