第49回衆議院議員総選挙 | 大人のための政治教室

大人のための政治教室

政治や社会のことを書きます。私の考えや、皆様に知っておいて欲しいことを書いています。

 

いよいよ第49回衆議院議員総選挙が始まります。

報道の通りですと、10月14日解散、19日公示、31日投開票となります。当初の報道では11月7日や14日の投開票とされていましたが、それよりも前倒しされることになりました。

 

 

1.前倒しされた理由は

前倒しされた理由を端的に説明すると、自民党の都合、勝てるうちに選挙をやりたいということ以外ありません。

つまり、組閣直後のご祝儀相場の高い支持率のまま選挙を行い、選挙に勝利しようという作戦です。

また、安倍・菅内閣のときにコロナの感染者数と内閣支持率は反比例するという法則があったため、感染者が少ない今のうちに選挙をやりたいという思惑もありそうです。

 

元埼玉県知事の上田清司参議院議員が新党の結成を目指していることや、都民ファーストの会がファーストの会として国政進出を目指していることなどから、時間的制約から新党結成を断念させるという狙いもありそうです。

 

 

2.異例尽くしの衆院選

①コロナ禍での衆院選

コロナ禍で初の総選挙となります。最初で最後にしたいですね。

 

②新政権誕生から27日後に投開票

2000年の森内閣のときは就任から2か月でした。

 

③解散から投開票まで17日間

これまでは早くても23日(2000年、2003年)で、最も遅くて40日(2009年、法定上限が40日)平均は29日です。

これによって、海外在住の有権者にとって、投票が間に合わない可能性があります。これについて次の項目で説明します。

 

④任期満了後の衆院選

10月21日に任期満了を迎えますが、投開票は任期満了後になります。これは、現行憲法下で初めてとなり、前回の衆院選から今回の衆院選までの期間が最も長くなります。

 

⑤静岡、山口では2週連続の国政選挙

静岡、山口では10月24日に参議院補欠選挙が行われます。共に、自民党議員の辞職によって発生した選挙です。

衆院選の1週前の選挙となるので、2週連続の国政選挙となります。

 

 

3.在外投票について

 

海外在住の日本人は3つの方法で投票することができます。

①一時帰国して日本国内で投票する

②日本大使館で投票する

③郵便で投票する

 

①については多大な時間や交通費がかかるため、たまたま帰国する人以外は利用する人は少ないです。

②についても、たまたま大使館の近くに住んでいる人以外は難しいでしょう。中には飛行機で移動しないと大使館までたどり着けないという人もいます。

③一般的にはこれを利用する人が多数です。日本の自治体から投票用紙を取り寄せ、投票先を記入し、投票日の午後8時までに着くように送り返さなければなりません。

手続きを始められるのは解散日からなので、住んでいる場所によっては投票が間に合わない可能性があります。

 

選挙権は民主主義の基本であり、投票する意思がある有権者なら誰でも投票できるということが前提です。

投票する意思があるのに投票できない可能性があるというのは、基本的人権の侵害に当たります。

そうまでしてこの日程を強硬するのはあまりに横暴です。

 

 

4.衆院選の争点は

選挙が行われると必ず「争点は何か」と言う人がいますが、争点というのはそう単純なものではありません。

ざっくり言うと自民党政権の賛否が最大の争点です。ただし、岸田政権は成立したばかりですので、評価のしようがありません。実質的には安倍・菅政権の評価で投票先を決める人が多そうです。

安倍・菅政権が国民のために十分に働いたと考えているのであれば与党に、そうではないと考えるのであれば野党に投票すれば良いというものです。

 

他にも、安倍・菅政権時の様々な問題(モリカケ・桜、賄賂、IR汚職、学術会議など)を明らかにすべきかどうか。当事者の方は選択的夫婦別姓や同性婚の導入も大きな争点になりそうです。

 

 

5.衆院選後の政治

結果に関係なく、衆院選後の特別国会で岸田内閣は総辞職します。

与党が勝利すれば再び岸田氏が首相に選ばれ、第二次岸田内閣が成立します。

立憲民主党を中心とした野党が勝利すれば、枝野内閣が成立します。

 

自公と野党4党(立憲・共産・社民・れいわ)のどちらも過半数を取れなかった場合、維新や国民民主党などの勢力がキャスティングボートを握り、自公と野党4党のどちらの勢力に味方するかで政権が決まります。このときは仮に自公を中心とした政権が続く場合であっても、自民党が大きく議席を減らしているため、岸田氏以外の人が首相に選ばれる場合があります。

 

 

6.議席占有率

衆院選の結果は、政権与党がどの政党になるかということだけを左右するものではありません。議席占有率も大きく左右します。

現在は与党7:野党3という議席占有率で、与党は圧倒的な権力を持っています。野党がいくらがんばっても止めることはできず、国会が事実上無力化し、政治の腐敗に繋がっています。これが、与党6:野党4になると、国会に緊張感が走り、白熱した議論が行われるようになります。政権交代の有無だけでなく、議席占有率の変化だけでも国政に大きな影響を与えます。

詳しくは過去の記事をご覧ください。

 

 

7.憲法改正に必要な議席数

現在は自公だけで憲法改正に必要な衆議院の議席の3分の2以上を持っています。

しかし、立憲を中心とした野党4党で3分の1の156議席以上を獲得すれば、その時点で憲法改正は不可能となります。ただ、その後議員の裏切りや死亡というケースも考えられるため、確実に憲法改正を阻止するためにはできるだけ多くの議席を取っておくことが必要になります。

 

 

8.報道各社へのお願い

報道各社(Yahoo!、niconicoなどのネットメディアを含む)は自民党総裁選を何度も繰り返し報道し、ノーカットの討論会を中継するメディアもありました。

そのことを責めるつもりはありません。

しかし、自民党総裁選に投票できる人は国民の1%程度で、ほとんどの国民は有権者ではありません。

衆院選の有権者は国民の8割以上で、多くの国民にとっては報道各社が開催する討論会は投票先を決める大事な機会になります。

ぜひ、各政党の幹部クラスを呼んだ討論会を行い、中継してください。

投票率の向上はメディアの手にかかっていると言っても過言ではありません。

 

 

さて、待ちに待った衆院選です。

どのような結果になるのか今の時点ではわかりませんが、少しでも良い結果になるようにできる限りのことをしたいと思います。