アトピー性皮膚炎
は
ひふの病気 のなかでも
多くの人が いちどは聞いたことがある
病名なのでは ないでしょうか。
20年余り さまざまな
こどのもアトピー性皮膚炎の
患者さん と ご家族に
出会ってきました。
その経験から 得られた
「こどものアトピー性皮膚炎」
の
イメージ
を いくつかご紹介します。
共通の肌質は
もちろん 「乾燥肌」。
日本の梨(洋梨ではない)
の皮 のような
プツプツと 毛穴が 目立つ 感じ。
触ってみると カサカサ 、
というよりは ガサガサ寄り 。
例その1)
生後から乾燥肌
ほどなく ガサガサ ザラザラした
赤い 痒みが 出てくる
けれど
親御さんの 熱心なスキンケア
と 塗り薬
により、
小学生になるころには ちょっと見には
アトピー性皮膚炎とは わからない
くらいに。
ご家族
(両親・兄弟姉妹・祖父母・おじおばなど)は
同じような症状の経験者
あるいは
花粉症や鼻炎持ちだけれど
アトピー性皮膚炎で悩んだ記憶はない。
例その2)
季節の変わり目
に 症状(かゆみ・赤み)
が少々でるものの
親御さんの スキンケアのおかげで
それほど ひどくはならず、
鼻炎や花粉症などの症状も 目立たない。
ときどき
かかりつけの小児科の先生
から処方される
保湿剤やステロイド(弱め)の塗り薬で
症状が 落ち着く。
(ただし2歳ぐらいまで)
風邪をひいたあと 咳が残りやすい。
例その3)
親御さんも乾燥肌なので
お子さんの乾燥肌 が
それほど乾燥しているとは感じていない。
ので 「スキンケア完備」 では ない。
冬になると 耳のあごの境目が切れたり
夏は とびひになりやすい といった
症状は 何度か 経験あり。
(小学校低学年ぐらいまでに多いタイプ)
その都度、小児科 または 皮膚科を受診し
症状が改善したら 満足(?)タイプ。
例その4)
おでこ や 肘の内側 膝のうしろ は
いつも 痒くて ポリポリまたはボリボリ
こすりながら 搔く。
診察中も 掻いています。
なんどか アトピー性皮膚炎の治療を
したことがあるけれど
定期的には 通院しない。
なぜなら、親御さん自身が
かつて
アトピー性皮膚炎で悩み
いまだに症状が
すっきり改善していない
ので
通院する必要性
や
意味を見出せない
といったことが少なくありません。
だからダメなんだ、
ということではありません!
安心してください。
これはこれで アリ です。)
例その5)
とびひ
や
カポジ水痘様発疹症
を経験し
実はアトピー性皮膚炎だった
ことを知る
・・・まだまだ いろいろな パターンがあるのですが
イメージしていただけましたでしょうか。
アトピー性皮膚炎の症状は
「みんなちがって みんないい」のですが
治療に関しては
「みんなちがって みんない…いくない」
こともあるのです。
いうまでもありませんが
(こどもの)
アトピー性皮膚炎の症状
を
良くしたい
(=かゆみをとりたい)
治したい
のは いうまでもなく
ご本人
ですが
それ以上に
ご家族(とくに親御さん)の
治してあげたい
どうにかしてあげたい
気持ちは
山よりも高く 海よりも深いのです。
だから、皮膚科医たるもの
ときには 患者さんと一緒に 空気の薄い山に登り
ときには 水圧に負けないように
深く潜らねば ならんのです