去年見た映画で、最もうちのめされたのは、これです。
「マルティニークからの祈り」
試写室だったので涙はこらえようと思いましたが、全然だめで、終わるころにはハンカチが涙と鼻水でぐっちょぐちょ。
DVDが出たので、改めて見ましたが、またティッシュ10枚くらい消費してしまいました。
主演チョン・ドヨン(写真)の迫真の演技が、実話にもとづいていると思うと、さらに迫ってきます。
イ・チャンドン監督の「シークレット・サンシャイン」でカンヌ主演女優賞をとった、という説明も必要ないぐらい、演技力でこの人の右に出る者なし。
簡単にストーリーを紹介すると、
チョン・ドヨン演じるジョンヨンは平凡な主婦だが、夫が背負った借金の返済のため、「金の原石をフランスに運ぶだけで大金を稼げる」という話にのってしまう。
実際に運ばされたのはコカインだった。
フランスの空港で逮捕されるが、フランス語はおろか英語さえろくにしゃべれず、弁解の余地も与えられない。
カリブ海に浮かぶ島、マルティニーク(フランス領)で収監され、身も心もボロボロに。
愛する夫と娘に会いたい一心だが、裁判はなぜかいつまでも始まらず・・・
彼女を見捨てたのは国家(主に駐フランス韓国大使館)、救ったのは国民だった。
大使館職員は彼女を「麻薬おばさん」とあざ笑い、通訳も手配せず、裁判所に提出すべき書類も紛失。裁判を遅らせた「真犯人」だ。
事態を動かしたのは、ネティズン(ネットユーザー)だった。ネットの書き込みや彼女をとりあげたテレビ番組が、大きな反響を呼び、裁判が始まる原動力となった。
どこまで実際の事件にもとづいているかは別にして、大使館職員の憎らしいこと
ジョンヨンの夫からの切実な電話を受けながら、薄笑いを浮かべてマカロンを食べてるシーンとか、許せない。ある意味、好演。
娘役のカン・ジウちゃんも、ほんっとにかわいくて、涙が止まらなかったのはこの子のせいもあります。
残念だったのは、邦題かな。
なかなか、「マルティニークからの祈り」では何の映画か分からないですよね。
原題は直訳すると「家に帰る道」。これもまあ、日本語にするといまいちですが。
でも、いい映画です
韓国社会の一面がよくあらわれていると思います。
ナッツリターンもさもありなん、という感じ。
プロデューサーのソ・ヨンヒさんの言葉から
(実際の事件の女性が)2年ぶりに韓国の地を踏んだ瞬間、一番最初に目についたのは「非常口」というハングル文字。とめどなく涙を流した彼女。現在を生きる私たちが当たり前でさほど重要だと思っていない些細なことは、ともすれば、私たちの人生を支えてくれる大きな力の源ではないだろうか。
このソ・ヨンヒさんには、実は一昨年、「日本の小説の韓国映画化」の取材でお話をうかがったことがあって、その時にプロデュース作として聞いていたのは「容疑者X」と「さまよう刃」でした。いずれも東野圭吾原作。
そして、容疑者Xも、マルティニークも、パン・ウンジン監督なんですよね。
この女性コンビ、なかなか、いい映画つくってます。
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