「システム化された社会」
高効率、合理化、こうあるべきだ…等々
高みを目指す…それ自体は悪いわけではないけれど、それから外れるものは疎外するまたは矯正しようとする。
それが生きづらさを創り出している。発達「障害」という固定をする原因になっているるんだと気付きです。

自分が上手くいかない原因を病気や障害だけのせいにしても何も変わらないのにね。
もっとお互いの状況を掴んで、役割を与え、担い、もっと面白くしていくには?!を考えていきたい。

発達障害は病気ではなく「脳の個性」 治すべきものではない
リンク

――――――――――――以下リンクより引用――――――――――――
 「発達障害」という言葉がよく使われるようになった。(中略) しかし、「発達障害」とは、そもそも何を指す言葉だろう? 「きちんと理解している」と自信を持って答えられる人は少ないはずだ。

(中略)
 発達障害の増加には「システム化された社会」という時代背景が大きく働いている――岩波氏との対話からは、そんな構図も見えてくる。

―発達障害が急速に注目を集めるようになったのは、ここ10年ほどのことだと思います。何か理由があるのでしょうか?

岩波明氏(以下、岩波氏):まず何よりも「仕事の管理化」が進んでいるということが、理由として挙げられると思います。

(中略)
■ 「小さな自営業」が減ると、発達障害は増える
―会社では確かに、ある一定の基準から外れないように行動することが求められますし、その傾向は、昔より強まっているように感じます。ある意味、「普通」と認定されるための基準が上がっているのかもしれませんね。

岩波氏:そのために発達障害の人の存在が顕在化しやすくなっているということは、やはりあります。
(中略)
 社会全体で見ても「仕事の管理化」は、進んでいます。例えば、小さな自営のお店が減っていますよね。小さなお店を切り盛りしたり、手伝ったりするのは、発達障害の人にとって比較的やりやすい仕事でした。

―自分の手が届く範囲を、自己流で管理できればいいというわけですね。

岩波氏:同じ「モノを売る」という仕事でも、自分のペースで働ける自営の店舗では問題にならなかったことが、マニュアルのあるチェーン店では問題になってしまう。発達障害の人が自由に働ける場所が、どんどん少なくなっていると感じています。

つまり、発達障害が今、問題になっているのは、絶対的な人数が増えているというより、社会の変化によって、昔からあった「事象」が、新しい「問題」として顕在化しているという可能性も高いのですね。

(中略)
■ 発達障害は「脳の個性」。「治すべきもの」ではない

岩波氏:「疾患名ではない」ということには、もう一つ意味があります。それは、発達障害は「病気」ではなく、従って「治すべきものではない」ということです。
 仮に、うつ病を例にとれば、「生まれつきうつ病」という人はいません。しかし、発達障害は生まれつきのものです。ポジティブに表現すれば、「脳の個性」ということもできますが、個性ですから「治る」ことはありませんし、基本的な特性は変わることはないのです。
 「発達障害」についてこれから学ぶ方には、まず「発達障害という疾患はない」ということを分かっていただけたらと思います。

(中略)
― 最近では、大人になってから「実は発達障害ではないか」と自覚し、診断を受ける方も多いですよね。こうした「大人の発達障害」において、特有のことはありますか?

岩波氏:私の外来には、「発達障害になってしまいまして……」といって来院される方がいるのですが、発達障害が大人になってから「発症する」ということはありません。最初にお話ししたように、これは「生まれつきの脳の特性」を原因としているので、うつ病のように人生の途中でかかったり、治ったりということはないのです。

―ではなぜ、大人になってから診断を受ける方がいるのでしょうか?  

岩波氏:大人になってから発達障害の診断を受ける方には、大きく分けて2つのパターンがあります。1つは職場での不適応から自覚が生まれるケースです。学歴を含めた「その人に本来あると周囲が期待する能力」と比較して、仕事のパフォーマンスが非常に低い。そのために上司から頻繁に叱責を受ける。そんな職場での問題がきっかけとなって、ADHDあるいはASDを疑うということがあります。もう1つは、仕事が続かないケースです。長続きしなくて、いろいろな職を転々とする。その結果、引きこもりになることも見られます。そういった方のベースにADHDやASDがあることがあります。

■ 実は「高学歴」が多い、発達障害の人たち
―ということは、その方たちは、高校や大学までは大きな問題なく過ごせていたということですか?

岩波氏:子ども時代に顕著な症状がある方は、その時期に治療に入っているものです。ですから、大人になってから我々の外来に来る方の9割以上は、子ども時代に本格的な受診歴のない方です。学生時代までは、本人の努力もあると思いますが、なんとかやってこられた方たちですね。

 今外来に来られているADHDやASDの方々には、知的能力の高い方が多いのですよ。(中略)また、大部分の方が4年制大学を出ています。有名大学を卒業している方も多数います。そのため、「あんないい大学を出ているのに、なんでこんなことができないのか」と言われてしまうわけです。大学までは地頭でそれなりにやってこられたのが、仕事においてはそうもいかなくなってしまうのですね。

 そうなると、最初に戻って「仕事の管理化」「社会の管理化」の問題が、浮かび上がってきます。小規模な自営業のような受け皿が減っている中で、管理された職場や社会に対応できず、隠れていた「脳の個性」が、ネガティブな方向であらわになってしまう。それが「大人の発達障害」という新しい社会問題を生んでいるのです。