誰にも奪われない白球〜流れる雲よ〜 | 奈良坂潤紀オフィシャルブログ「Narasaka Sacas」Powered by Ameba

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今週ナンバーで清原の特集が組まれた
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清原に打たれた当時の高校球児のその後と当時の記憶を丁寧に取材したノンフィクション
 久しぶりに雑誌を買い熟読した。

夢、心、老い。年をとればとるほど失うものが多いかもしれない人生の残酷さ。それでも決して失われないその人の胸の中にだけある誰にも奪われない白球とあの夏。

言い知れぬ感動とともに不条理で確かにあの時代にあった我武者羅すぎる程の球児の練習の記述に言葉もなかった。

演出家から稽古でこんな事を言われた
命をかけて国を守る使命を果たした特攻隊員に鬼のように恐れられた上官は
それ以上の強烈なエネルギーと軍人所作の徹底を。
そして常に部下にそんな命令を出さなければならなかった時代への怒りに溢れていなければならない。

揺らぎながらも初めに信じた大義を支えに
心を鉄に閉じ込め部下に厳しく接することでしか軍人としての自分を保てなかった横堂五郎。

身体も大きく強面だが不器用でガラスのような繊細な心をもつ男。
演じがいのある役であり自分の分身のような身近な男だ。
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五輪と共に開催されている今年の夏の甲子園の試合。
それは時としてプロ野球の感動を軽々と凌駕する。

国と国民の期待を背負って戦う五輪選手

その試合が人生の全ての覚悟で、時には2度と野球ができないくらいの満身創痍の心と身体で1つの勝利のため白球を追う甲子園球児

金メダルをとった体操内村選手はギックリ腰の中だったそうだ心身共にギリギリでない選手はいるだろうか…

高校球児で故障がまったくない選手などいるだろうか…

「流れる雲よ」の稽古に休みなどなかった
稽古前に密室で軍人所作訓練
誰かミスがあると連帯責任で全員腕立て
それを愚直なまでに毎日繰り返した。
1日2回必ず通し稽古を繰り返した

軍人の声をつくるため、歌の商売道具である声帯に今でも相当の負担をかけている

限界のところまで自分を追い詰めなければ
それぞれ満身創痍の中呆れるほど稽古をする仲間達と一緒に芝居などできなかった。

技術を越えた人の心を打つもの
もっと泥くさくていい
直向きに誠実に
それ以上の美しさがあるだろうか。
芝居の声などそこにはいらない芝居を越えた魂の叫びが欲しい
まだまだヒョッコの俳優である私にできる事はそれだけだ。
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経験、舞台歴は様々のメンバーだったが作品のため強豪体育会系の部活動なみの稽古量を全員でこなした。

 そこにプロの合理性などないかもしれないが高校球児が辿りつくあの景色が少し分かる気がする
そしてそこまで自分を追い込まなければ伝えられない物語がある。

役者は資格もいらないし簡単に名乗れる仕事だ
だからこそ私達は自分をいじめ抜かなければ演劇に未来はない。

確かにこの作品を通して多分少しだけ芝居への取り組みが変わった。
「流れる雲よ」あと2回明日役者を辞めても悔いのない覚悟の直球勝負で
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それが71年前に失われた生命に私ができる事だから。
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