『全国温泉人気20湯』 第6回 湯布院温泉・城崎温泉 | 奈良の鹿たち

奈良の鹿たち

悠々自適のシニアたちです

『全国温泉人気20湯』 

第6回

          ● (10位) 湯布院温泉(ゆふいん おんせん)

          ● (9位)   城崎温泉 (きのさき おんせん)

観光経済新聞社主催 「第37回(2023年度)にっぽんの温泉100選」

100選一覧はイントロページに

 

●(10位) 湯布院温泉(ゆふいん おんせん)

 

 

由布院温泉は、大分県のほぼ中央部にある由布院盆地に位置する温泉郷。“豊後富士”と称される美しい由布岳(標高1,584m)の麓に広がる温泉地です。

源泉数も湧出量も日本有数を誇っています(一般家庭でも温泉が利用されているほど)。

そのため、ほとんどの旅館では露天風呂が完備されています。

1925年(大正14年)、大分東線が延伸して温泉の玄関口となる北由布駅(現在の由布院駅)が開業。この頃から避暑地として知られており、大分方面からのアクセスは向上しました。

<温泉街>

由布院駅から温泉街の方向に延びる通称「由布見通り」や、そこから金鱗湖(きんりんこ)に続く「湯の坪街道(ゆのつぼかいどう)」には、しゃれた雑貨屋やレストランが並び、周辺には各種の美術館が点在します。各宿泊施設はにぎやかな町並みから外れた周辺の川端や林の間、丘の上などに点在している。湯量が豊富で広い範囲で湯が湧くため、旅館が一箇所に集積する必要が少なかったことから、一軒の敷地も比較的広く、町の造りはゆったりとしています。しかも開発規制により高層の巨大旅館・ホテルもなく、田園的な名残を残している。歓楽性を極力排しており、女性に特に人気が高い。

<泉質>

温泉湧出量は毎分38,600Lで全国2位の量。源泉の数も全国第2位の852本存在します。

泉質は多くが単純温泉又はアルカリ性単純温泉に分類されます。単純温泉は刺激が少なく、お湯に癖がないことから万人向きで、お子様からお年寄りまでの幅広い年齢の方や外国の方も安心して入浴ができます。また単純温泉には、疲労回復など一般的な適応症のほかに、自律神経不安定症、不眠症、うつ状態に対しても適応があります。刺激が少ない分、長期に逗留しても湯疲れせず、自然景観の中でゆったりと過ごす由布院温泉の入浴は、心身共にリラックスでき癒し効果が期待できます。アルカリ成分の働きにより湯ざわりはなめらかで、保湿効果があるとされるメタケイ酸も豊富な事から美肌の湯としても人気があります。

<アクセス>

「ゆふいんの森」号

(鉄道)

・JR九州久大本線由布院駅。

(路線バス)

・亀の井バスが別府市・九重町から運行。

(高速バス)

・サンライト号(長崎~大分)ノンストップ・各停。

・ゆふいん号(福岡~湯布院・別府)

・空港リムジン(大分空港~湯布院)

・九州横断バスくじゅう号(熊本~別府)

(高速道路)

・大分自動車道湯布院インターチェンジから、県道216号別府湯布院線を経由し約3km。

 

 

 

● (9位) 城崎温泉 (きのさき おんせん)

   

 

城崎温泉は、兵庫県豊岡市城崎町にある温泉。温泉街にある7つの外湯をまわる「外湯めぐり」が人気。

日本海の味覚も楽しみの1つで、冬にはカニ一色に染まります。

<温泉街>

城崎温泉は「まち全体が一つの旅館」として「駅は玄関、道路は廊下、旅館は客室、土産物屋は売店、外湯は大浴場」とのコンセプトがあります。

町の中央を流れる円山川の支流、大谿川(おおたにがわ)に沿って柳と桜の並木。下駄と浴衣姿で7つある共同浴場の外湯を巡る人たちが行き交います。

城崎温泉では外湯の維持と温泉資源保護のため条例で旅館の内湯の大きさに制限が設けられており、大きな浴槽を作ることができません。そのため、旅館は自分の宿の宿泊客を囲い込むことなく街へと送り出し、宿泊客は外湯を巡りながら街歩きを楽しむという滞在の仕方が作り出されてきました。

城崎温泉街の真ん中にある「木屋町小路」。休憩スポットとして人気のこの場所には、個性豊かなお店が立ち並びます。

1925年(大正14年)のマグニチュード6を越える北丹大震災後、大谿川には和風のデザインの鉄筋コンクリート造の太鼓橋が架けられ、この5つの橋は国指定の登録有形文化財に登録されています。

城崎温泉では浴衣に下駄履きが正装と言われており、城崎温泉のほとんどの旅館は、寝間着としても用いる旅館内用の浴衣とは別に、温泉街を出歩くための浴衣も用意しています。

木造3階建ての旅館が連なり、豊岡市が景観条例を適用して保護しています。1つの旅館の部屋数は10~15室程度と小規模施設が多く、家族経営であるため、個人客を重視してきました。

 

外国人観光客

今から10年前の2008年、世界的に有名なガイドブック『ロンリープラネット』で城崎温泉が「Best Onsen Town」として紹介されたことをきっかけに、豊岡市を訪れる外国人観光客は少しずつ増えていった。しかし、2011年の外国人宿泊者数は1,118人程度。そこで豊岡市は、2013年頃から本格的なインバウンド戦略に力を入れ始めるようになりました。民間の力を取り入れて体制を整備し、海外戦略を進めていきました。英語の観光情報サイトで宿泊予約が簡単に行えるように整備したほか、欧州での観光プロモーションにも注力してきました。観光客向けのインフォメーションセンターには英語対応できるスタッフを配置し、市内40箇所にFree wifiを整備しました。さらに、小規模経営ということで団体旅行客を受け入れられないことを逆手にとって、個人旅行者の割合が多い欧州、北米、豪州からの集客を狙ったのが功を奏し、欧米人に広く知られることとなりました。

その結果、2017年に50,800人、2019年にはピークの63,648人と、わずか8年間で60倍という大きな成果を挙げました。

しかし、2020年、世界中を巻き込んだコロナウイルスによるパンデミック時に、感染拡大が深刻になってくると、城崎温泉は2020年5月末まで全旅館が一斉休業する思い切った対応を行いました。コロナ禍の2021年にはわずか478人まで落ち込みました。その後は2022年6,684人、2023年には61,187人にまでV字回復をしました。

城崎温泉がインバウンドの成功事例として、マスコミでよく取り上げられるようになりました。

<泉質>

良質な温泉を安定して供給するため、複数の源泉から集中配湯管理施設に一か所に集められ平均温度を57度に安定させてから、町内に張り巡らされている配管を通じて、少し高めの約42度で各外湯・旅館に送られている。そのため、どの温泉もほぼ同じ成分と温度を持つ。

泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。㏗7.0、無臭で無色透明。さらさら、とろとろ、ピリピリ。

効能としては、​きりきず、皮膚乾燥症、筋肉若しくは関節の慢性的な痛みやこわばり、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下、痔痛、自律神経不安定症、ストレスの諸症状、病後回復期、疲労回復、健康増進などが挙げられます。

飲泉の場合は萎縮性胃炎、便秘の改善効果が期待されるとされています。

<歴史>

平安時代以前から知られ、1400年もの歴史を誇り、629年にコウノトリが傷を癒していた事により発見されたとの開湯伝説がある。また、奈良時代初期に、この地を訪れた仏教僧侶が、お経を唱え続けた結果、霊湯が湧き出したのが城崎温泉のはじまりとも伝えられている。

江戸時代の温泉番付によると西の関脇(最高位は大関)にランクされる(西の大関は有馬温泉)。江戸時代の城崎温泉は娯楽、食べ物を豊富に取り揃え、客が帰るのを忘れさせるほどもてなした。城崎温泉には近郊の藩主や藩士が多数訪れ、賑わいを見せた。

明治以後も有島武郎をはじめとする文人墨客に愛され、志賀直哉が療養中に執筆した『城の崎にて』は有名です。

<アクセス>

城崎温泉駅

電車:JR山陰本線城崎駅下車、徒歩約3分

車:播但連絡道路生野北ICから国道312・県道3・9号線経由、約60キロ、約90分

 

 

 

====================

次回は、第7回「箱根温泉・指宿温泉」

 

 

(担当 G)

====================