『進化論』 第9回 動物の上陸~哺乳類の進化 | 奈良の鹿たち

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『進化論』

第9回

動物の上陸~哺乳類の進化

 

出典:「東京大学 生命科学教育用画像集」

 

                    目次

                 ①生命の誕生

                 ②真核生物の誕生

                 ③無脊椎動物の出現

                 ④植物の上陸

                 ⑤動物の上陸

                 ⑥恐竜の繁栄と滅亡

                 ⑦哺乳類の進化

                 ⑧猿人の出現

                 ⑨ホモ・サピエンスの出現

 

⑤動物の上陸

およそ27億年前、地球に現在のような強い磁場が急に発生しました。その原因については諸説ありますが、地球磁場が強まることで、太陽から発せられた高エネルギー粒子は、地球の表面にまで届かなくなりました。太陽からの高エネルギー粒子は、生物のDNAを簡単に傷つけてしまいます。その頃、二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すバクテリア(シアノバクテリア)が大繁栄を迎えました。そして、今からおよそ21億年前までに。地球の大気はかなりの量の酸素が供給され、大気の上層にオゾン層が形成され、有害な紫外線がシャタアウトされるようになりました。

こうして、動物が陸上生活できる条件が揃いました。

およそ4億年前、動物の中で最初に陸上で生活を始めたのはエビやカニ、サソリ、クモ、ヤスデのような節足動物だったと考えられます。

その後、肺魚に似た仲間の魚類が淡水に現れました。水中で生活していた動物が陸上で生活するためには、その環境に対応して、体の多くの機能を変えなければなりませんでした。例えば、酸素を得るために、水中ではエラ呼吸をしていたものが、陸上では肺呼吸が欠かせないようになりました。干上がった沼地で生きていた魚類では、泥にもぐったりしているうちに消化管の一部が肺に進化していきました。デボン紀の中期から後期にかけて(3億8500万年前)出現した魚ユーステノプテロンは、よく発達した骨格とヒレを持ち、時々水上に出て陸上を動き進むことができたと考えられます。

(↑ユーステノプテロン)

最初に4本の足を持った動物は、およそ3億6500万~3億2500万年前にイクチオステガが現れました。頭蓋骨の大きさから、体の長さが1メートル以上あったと考えられています。背骨、そして後足もはっきりと残されています。指の骨も太く、頑丈な構造を持っていました。様々な部分の化石を検討した結果、イクチオステガこそが最初に陸を歩いた動物でした。

(↑イクチオステガ)

海から川へ、そして川から陸へ、1億年という長い歳月をかけ海から自立した生命は、陸という新しい環境に立ち向かっていきました。これが四足歩行動物の祖先となり、この仲間から両生類の祖先が進化しました。

イクチオステガの偉大な第一歩によって、私たちにつながる動物進化の歴史は始まりました。

この出来事を「進化史上最大の出来事」とする研究者も多い。

 

⑥恐竜の繁栄と滅亡

2億3000万年前から6550万年前の中生代は、爬虫類と裸子植物が著しく栄えた時代でした。爬虫類の中でもとくに恐竜類が栄え、翼竜のように空を飛んでいた爬虫類もいました。恐竜は地球上で初めて、陸上にいろいろな形で適応した最初の動物です。

恐竜の直接の祖先と考えられるのは、約2億2800万年前に現れたユーパルケリアのような小型爬虫類であったと考えられています。

(↑ユーパルケリア(体長60㎝))

ユーパルケリアは、体長約60cmの小型爬虫類で、恐竜の祖先に近い形の爬虫類でした。 頭が大きく、強力な歯と爪を持っており、小動物を襲って捕食したものと推定されます。

南ドイツのジュラ紀の石灰岩から、羽毛と翼をもつ以外は全く爬虫類的な始祖鳥の化石が発見され、鳥類は爬虫類から進化したことが実証されました。

(↑始祖鳥)

6550万年前白亜紀末期に隕石衝突より恐竜が絶滅しました。恐竜絶滅の時期にあたる中生代の白亜紀と新生代の境界(K-Pg境界)の地層には、地表にはほとんど存在しないイリジウムという元素が多いという特徴があります。

実際に、現在のメキシコのユカタン半島では、K-Pg境界の頃にできた巨大なクレーターの痕跡が見つかっています。

(↑メキシコ ユカタン半島 隕石クレーター)

大きい隕石が衝突すると、大量の塵が発生し、それが大気中に漂うことで太陽光線がさえぎられて地球上が寒冷化し、これに適応できない生き物が死に絶えました。また、太陽光線が地表に届かなくなることで、光合成をする植物が減ってしまいました。植物が激減すると植物を食べる草食恐竜が死に、今度はそれを食べる肉食恐竜が死ぬ、というように食物連鎖の階段を登るように絶滅していったと考えられています。

恐竜類はこの時にほとんどが絶滅してしまいましたが、一部の恐竜やその仲間である鳥類は生き延びました。南半球の南端部、南極、そして南米やオーストラリアの南部(ゴンドワナ大陸)では、恐竜たちが災害を免れた可能性を示す痕跡が、次々と見つかっています。隕石衝突後、恐竜は明らかに何千年、何万年、あるいは何十万年も生き残ったと考えられます。

恐竜たちの避難所では、隕石衝突前と変わらない恐竜たちの激しい生存競争が繰り広げられていました。強力な肉食恐竜として、全長4mで全身を羽毛で覆われたインペロバトルがいました。

 

⑦哺乳類の進化

約6550万年前から始まり、現生に及ぶ新生代は哺乳類と被子植物の栄えた時代です。

哺乳類のルーツは、古生代石炭紀に繁栄した両生類から進化した単弓類(爬虫類とは別物)のうち、キノドン類です。

(↑キノドン類)

そして、既に三畳紀後期の2億2500万年前には、最初の哺乳類といわれるアデロバシレウスが生息していました。

(↑アデロバシレウス)

恐竜の全盛時代であるジュラ紀、白亜紀(2億~1億4500万年前)の哺乳類はネズミほどの大きさのものが多かった。

中生代白亜紀末期に恐竜が滅びると、哺乳類はいままで恐竜をはじめ爬虫類の活躍の場であった陸と水と空のすべての空間を埋めるように、それぞれの環境に適応しながら進化を始めました。厳しい環境が解けた後、短期的に大きく進化を遂げることを適応放散といいます。

 

被子植物の双子葉類は白亜紀にはすでに出現し白亜紀後半以降に繁栄していました。

 

 

 

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次回は 第10回(最終回)「人類の進化」

 

 

 (担当B) 

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