『進化論』 第8回 生命の誕生~植物の上陸 | 奈良の鹿たち

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『進化論』

第8回

生命の誕生~植物の上陸

 

出典:「東京大学 生命科学教育用画像集」

目次

                ①生命の誕生

                ②真核生物の誕生

                ③無脊椎動物の出現

                ④植物の上陸

                ⑤動物の上陸

                ⑥恐竜の繁栄と滅亡

                ⑦哺乳類の進化

                ⑧猿人の出現

                ⑨ホモ・サピエンスの出現

 

①生命の誕生

生物進化の始まりである「生命の起源」は、少なくともいまから約40億年前、地球の誕生から約6億年経ったころ起こったと考えられます。「生命の起源」については、現在でも様々な説があり確定されていません。深海の熱水鉱床、温泉地帯、隕石で宇宙からなどが言われています。しかしながら、最初の生命誕生に至るまでに無機質からの簡単な有機物の合成、さらに核酸、タンパク質の合成といった化学進化の過程があったことは確かです。

生物を分類すると、細胞に中に核をもっていない生物「原核生物」と、核をもちその中に遺伝子がある生物「真核生物」とに分けられます。最初に生まれたのが原核生物である細菌やラン藻などで単細胞生物でした。

なかでも、およそ27億年前に、二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すバクテリアの仲間が大繁殖しました。このバクテリアは、シアノバクテリアといい、その仲間は既におよそ35億年前に誕生していました。

(↑シアノバクテリア)

彼らがその初期に吐き出した酸素は海水中の鉄と結びついて酸化鉄となり、海底に沈殿して鉄鉱石の鉱床をつくりました。やがて、海水中に鉄イオンがなくなり海中で飽和状態となった酸素は大気中に放出されるようになりました。こうして今からおよそ21億年前までに、地球の大気にはかなりの量の酸素が供給されました。また、大気中に酸素が増えたことにより、大気の上層にオゾン層が形成され始め、生命にとって有害な紫外線がシャットアウトされるようになり、ますます生物が進化していきました。

 

②真核生物の誕生

化石の記録からすると、原核生物が進化して次の段階の真核生物が現れるまで20億年以上もかかかりました。今から15億年前のことです。真核生物の出現は生物界の革命的な出来事でした。化学進化の過程で、単純な有機物からDNAがつくられ、DNAは生物のもつすべての形質を子孫へと伝えていく。この遺伝機構が最初に確立した時に、以後連綿と続く生物の進化の幕が切って落とされたのです。

真核生物の出現は、9億年前~19億年前になります。 

真核生物は、エネルギーの生産、光合成、遺伝などを別々の部位(ミトコンドリア、葉緑体、核)で行えるので、生命活動の効率がぐんとよくなりました。また、有性生殖を行うようになり、これによって遺伝子の組み換えが起こり、変異が生じて進化の速度も上がりました。

(↑真核生物(アメーバ))

現在見られるクロレラ、アメーバ、ミドリムシなどは単細胞の真核生物ですが、原始的な真核生物のなごりをとどめています。

さらにほぼ10億年後(今から10億年前)、ついに多細胞生物が誕生したと考えられます。

真核生物が大型の生物までに進化するにはさらに10億年を要しました。

 

③無脊椎動物の出現

6億年前、水中で生物の最初の爆発的な進化が起こりました。古生代の最初であるカンブリア紀の直前、クラゲ、ウミエラ、ゴカイ類など無脊椎動物を含むとされたエディアカラ生物群の大発展です。骨格、殻、歯などの硬組織がなく、扁平で大きく成長する生物で、ほとんど移動せず表皮を通して拡散により外界と物質交換をしたらしい。

次にカンブリア大爆発といわれる大進化がありました。海生無脊椎動物のほとんどの門分類生物が出現しました。カンブリア紀の生物化石をみると、左右対称、放射相称など現在の生物体にみられる基本的な型がすべて現れていることが分かります。クラゲやウミユリ、サンゴなど、原生生物の放散虫、オウムガイ類や巻き貝などを含む軟体動物、シャミセンガイの先祖の腕足動物、節足動物の三葉虫などの生物が生まれました。カンブリア大爆発では、初めて肉食の生物すなわち捕食者が誕生し、弱肉強食の時代に入りました。二本の触手をもった体調およそ60㎝のアノマロカリスや5つの目と頭からのびた食肢をもつオパビニアなどです。

(↑エディアカラ生物群)

(↑カンブリア生物群)

 

④植物の上陸

生物進化の歴史の中で、水中から陸上へと生物が広がった古生代デボン期は、きわめて大きな変化の時代でした。

(↑オゾン層)

このころは、海中での藻類などの光合成により、酸素濃度の上昇によってオゾン層の高度が高くなり、地上付近のオゾン濃度が低下した時期および、オゾン濃度が高くなり地上の紫外線が更に減少した時期と一致します。生物に有害な紫外線を防ぐようになり、陸上で生物が生活できるようになりました。

植物が上陸したのは、今から約4億5000万年前のオルドビス紀中期のころと思われます。

このころから、陸上植物のものと比定される最古の記録である「四分子胞子」が見つかっています。四分子胞子とは、同種の4つの胞子が繋がっているもので、1つの細胞が減数分裂をする過程で発生します。最古の胞子の微細構造は、現生の苔類のものとよく似ています。

形状が確認できる最古の陸上植物は,4億1000万年前のシルル紀中期に発見された「クックソニア」です。大きさは数cmにすぎないですが,直径1.5mmという細い茎が枝分かれしている様子がはっきりと分かります。その先端には胞子のうがありました。気孔も存在しました。コケ類やシダ類とも違う「リニア植物」と言われ、通道組織には仮道管のようなものがまだなく,「維管束植物」(水分や養分の通る管を備えた植物)ではないとされています。この頃にはほぼ完全に上陸を果たしていたことになります。

(↑クックソニア)

次に現在の陸上維管束植物の先祖と考えられるプシロフィトンが現れました。

維管束とは、シダ植物および種子植物の茎・根・葉などの内部にあって、水分や養分通す束状の管で、植物体を強固にする役割もありました。これらの植物はそのため維管束植物と呼ばれ,維管束をもたないコケ植物や藻類などと区別されます。最も古い維管束植物は4億年前の地層から出土しています。

「プシロフィトン」は、横走する地下茎と直立する地上茎からなり、茎は細く,まだらな刺状突起があるだけで葉や根はありませんでした。

 

(↑プシロフィトン)

これからデボン紀には、リンボク、フウインボク、ロボクなどの大型の木生シダ類が進化し、石炭紀には大森林を形成しました。

(↑木生シダ類)

(↑石炭紀 大森林)

石炭紀の森林は、シダと似た外形を持ちながら種子を付ける「シダ種子植物」が現われ、石炭紀に繁栄し次のベルム紀には滅びました。このシダ種子植物から、ソテツ類やイチョウ類が現われ、また針葉樹の祖先と考えられるコルダボクも進化してきました。

 

 

 

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次回は 第9回「動物の上陸~哺乳類の進化」

 

 

 

 (担当B) 

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