『生物 大量絶滅』第6回(最終回)6回目の大量絶滅(現代) | 奈良の鹿たち

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『生物 大量絶滅』

第6回(最終回)

(現代)

6回目の大量絶滅

 

 

大半の生物学者が、「現在6回目の大量絶滅が進行中である」と警鐘を打ち鳴らしています。

 5大絶滅に続く絶滅の時期といえます。

現代(完新世)

現在は、新生代の第四紀のうち、最終氷期が終わった1万1700年前から続く「完新世」です。

人類は、石器を発明した300万年前から、火の使用を始めた100万年前までは多様な種が生存していましたが、現在、ヒトホモ・サピエンスの1種のみです。

度を超した経済活動や開発行為によって進む環境破壊。現在、人類が地球に深刻な影響を及ぼすようになった地質学上の時代を、「人新世(Anthropocene)」と位置付ける動きが高まっています。ただし、「人新世」は、地質学の国際的学術団体である国際地質科学連合に認められた正式な区分ではありません。地質時代としての評価を確立するには、地質学的に岩石層に刻まれた「完新世」との境界線を特定し、証拠を積み重ねる必要があります。

しかし、正式な認定とは別に、その概念に対する理解は広がりつつあり、人類の行いを省みる契機として大きな注目を集めています。

 

大量絶滅

諸説ありますが、

●100万種の動植物が、動物では5500種以上が絶滅の危機に直面しています。これまでの約100倍のペースで生物種の絶滅が進んでいる、といわれています。今後40~50年の間に、哺乳類の25%・鳥類の15%が絶滅する道を歩いているといわれています。 状況があまり把握されていない魚類、爬虫類、両生類においても、少なくとも1200種が姿を消すと予測されています。

無脊椎動物で調査を行ったところ、特に陸(島)と淡水で、大量絶滅が進行している可能性が高いと言われています。

●2001年から2014年にかけて世界では約173種の生物が絶滅しました。これは通常考えられる絶滅速度の25倍のペースだといいます。この研究チームは、過去100年間で400種類を超える脊椎(せきつい)動物が絶滅したことを突き止めました。研究では、通常の進化の過程でこれだけの数の絶滅が起こるには最長で1万年かかるとしています。

●西暦1500年以降、全生物の絶滅数を推定すると15万〜26万種が地球上から失われたという計算になります。

 

大量絶滅後

 

大量絶滅の原因

<生物の生存を脅かす人間の所業>

 

<環境異変・人的被害を起こす人間の所業>

今までの大量絶滅と異なっているのは、"ただ一種の生物種(=人間 ホモ・サピエンス)の行動(環境破壊)"が原因となっている点です。

人類1種のみによる文化多様性の低下や出生率の低下現象は、生物進化のパターンに当てはめると、種としての繁栄ピークを過ぎているといえます。

つまり、私たち人間の行動による環境問題が原因だと言われているのです。 このまま環境問題が悪化してしまえば人間の登場が原因で、地球の生物種の歴史に終止符が打たれてしまうかもしれません。

人類は未来に向けて種内の均一性を避け、多様性が下がらないようにするとともに自然・環境の多様性を継続することが必要です。

 

国連が発表した最近の報告書によると、気象関連の災害の報告件数は過去50年間で5倍に増えました。

2005年の“カトリーナ”や2022年の“イアン”のような巨大ハリケーン、被害総額400億ドル以上といわれる2021年7月のドイツの大洪水、400人以上が死亡したインドのモンスーン豪雨、カナダ西部で200人以上が死亡した同年6月の熱波などです。フィリピンのマニラでは、2009年の洪水で市内の80%が水浸しになりました。2018年に長期の干ばつに見舞われた南アフリカのケープタウンは、深刻な水不足に陥りました。インド東部では2019年に200人前後が熱中症で死亡し、一部の都市で屋外での作業が一時的に禁止されました。インドとパキスタンでは2021年3〜5月に記録的な熱波が襲来し、停電と山火事が発生しました。

 

気温上昇の大きな要因は、化石燃料の燃焼による温室効果ガスの排出です。それによって地球の大気が保持する熱量と湿度が上昇し、より激しい暴風雨が起きやすくなっています。一方、海水はより多くの熱を吸収して膨張し、海面上昇を引き起こしています。

2013年に発表されたIPCC第5次評価報告書によると、21世紀(1986〜2005年平均から2081〜2100年平均まで)の海面上昇の値は26〜82㎝とされています。

日本全国の砂浜では、約9割が1m以上の海面上昇で失われるとされており、40㎝の上昇だけでも沖の120m分の干潟が消失すると言われています。これは海岸に住む生物や付近に住む人々に深刻な影響を与えることにつながるのです。

 

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2015年、一般ノンフィクション部門でピュリツァー賞を受賞した『6度目の大絶滅』の著者、ジャーナリストのエリザベス・コルバート氏

 

島に生息する固有種は絶滅しやすいと言われています。隔絶された環境の中で進化してきた生物が、人類の活動で外の世界と繋がってしまったときに絶滅が起こります。たとえば、ニュージーランド。ここには、もともと陸生の哺乳類がいなかったのに、移り住んだ人類がイヌなどの捕食者を持ち込みました。突然の環境の変化に、ニュージーランドで進化してきた生物たちは絶滅していきました。実際、ニュージーランドではたいへんな数の鳥類が絶滅し、残っている種も危機的状況にあります。

このように、生息域が限られている生物種は絶滅しやすいのです。地球上に生息域が1カ所だけという生物は移り住むこともできず、今の生息域が破壊されたら絶滅するしかないのです。

まずは狩猟でしょう。侵略的外来種の持ち込みもありました。速いペースで気候変動が進んでいるのも人類の活動が原因です。また人類は、海の化学的性質、あるいは地表の状態も変化させています。森林を切り開き、単一作物を栽培することも、生物種に悪影響を及ぼしています。例を挙げると、切りがありません。

メキシコ湾をはじめとする世界の沿岸海域で増えているデッドゾーン。これは、米国中西部の農場で窒素などの化学肥料を使用することで、ミシシッピ川に流れこむことが遠因です。化学肥料を含んだ川の水は、藻類を異常発生させながらメキシコ湾に流れ込みます。この藻類が死んで腐敗し、分解する過程で酸素を使い尽くすことで、海洋生物が住めない酸欠海域ができてしまうのです。こうしたデッドゾーンをなくすには、陸上での化学肥料の使い方を変えなくてはなりません。

もちろん化学肥料が使われる理由もあります。それは限られた土地での食料生産の効率を上げることです。世界人口は現在73億人。近いうちに80億人になり、やがて90億人になるでしょう。これだけの数の人類が、現存するすべての生物種と共存できるのか? 大量の資源を消費する人類が、他の生物種が必要とする資源までも奪ってしまい、その生存を脅かすことはないのか? 

大量絶滅以前の生物多様性を回復するまでに、数百万年かかったと考えられています

 

 

 

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『生物 大量絶滅」全6回 完

 

 

(担当B)

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