『生物 大量絶滅』第5回 5回目の大量絶滅(白亜紀) | 奈良の鹿たち

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『生物 大量絶滅』

第5回

5回目の大量絶滅

(白亜紀)

(6600万年前)

 

隕石衝突

(隕石衝突)

 

 

白亜紀(1億4500万年前~6600万年前)

白亜紀の終わりにかけて、パンゲア大陸は完全に分裂し、現在の大陸とほぼ同じ位置になりました。白亜紀は、長期にわたり温暖で湿潤な気候が続いていました。低緯度地域で32℃、中緯度地域で26℃と現在より高い海水温で安定していました。

植物は、主流であった原始的な裸子植物やシダなどが減少し、被子植物が出現し主流となって進化、繁栄を遂げました。スギなどの針葉樹は現代と同じ形まで進化しました。

パンゲア大陸の分裂が一層進み、これによって地理的な隔離が起きたため、地上や海洋及び空を含め多種多様な進化を遂げました。地上の動物は、恐竜やワニなどの爬虫類が支配的地位を占め、ジュラ紀に続いて全盛期でした。

哺乳類は、この時代に形態を大きく進化させ胎生を持つようになり、有袋類及び有胎盤類への分化を遂げました。

ジュラ紀に恐竜から分岐した鳥類では、この時代に現生鳥類の直系の真鳥類が出現しています。しかし、大勢を占めたは、古鳥類であり、孔子鳥、エナンティオルニス類などが繁栄しました。

イノセラムス(二枚貝),アンモナイトなどが最も栄えましたが,白亜紀を最後に絶滅してしまいました。

ジュラ紀中期に誕生した浮遊性有孔虫、及びココリスなどの石灰質の「ナンノプランクトン」(1ミクロンμ:1㎜の1000分の1)は、この時期に生息域を大きく拡大させ、その遺骸はとてつもなく長い時間をかけて、ゆっくりと大量に海底に降り積もり白い地層となりました。これが白亜紀の名称の元となりました。

白亜紀後半からアルプス造山運動が始まり,またカンブリア紀以来といわれる世界的大海進が起こりました(白亜紀海進)。さらに白亜紀末期には大海退が起こり,多くの動物群が絶滅しました。

 

大量絶滅(6600万年前)

5回目の大量絶滅は、規模としてはペルム紀末期の3回目の大絶滅に次ぐ大量絶滅でした。

メキシコのユカタン半島チクシュルーブChicxulubに巨大隕石(直径180km:四国ほどの大きさ)が落下したことが確認されています。

衝突の衝撃で一帯が焼き尽くされ、高さ300mの津波が発生し巻き起こった粉塵は、その後100年間地球全体を覆い太陽光を遮断しました。その結果、気温も低下し大半の動植物、特に恐竜が絶滅したと考えられています。植物は光合成が出来ず食物連鎖が崩れました。

天体衝突や火山の大噴火が起こると、一時的に寒冷化が進み、その後大量に放出された温室効果ガスにより温暖化が進行します。

陸上生物の約50%、海洋生物の約75%、生物全体で約70%が絶滅しました。哺乳類・爬虫類・鳥類の多くが絶滅し、特に2億年近く長い間隆盛を誇った恐竜は(現生種につながる真鳥類を除いて)全てが絶滅しました。

また海洋においても、カメ、カンプソサウルス類以外の全ての海棲爬虫類、全てのアンモナイト類が絶滅しました。淡水に生息していた生物は影響が少なく、陸上や浅い海中の生物に多大なる影響を及ぼしました。

この時代の地層に、炭化水素の「コロネン」(カルパチア石)という物質が多く含まれていることが分かりました。コロネンは炭化水素で有機物の燃焼で出来る際、森林火災を上回る1200度以上の高温を必要とします。具体的には高温のマグマか、天体の衝突による場合です。まとまった量のコロネンは大量絶滅が起きた年代の地層でしか見つかっていません。

隕石が落ちる前と後の地層の境目 K/Pg(K/P)境界線には、宇宙から来たイリジウムIrが記録されています。地球の地殻やマントルには,イリジウムIrはほとんど含まれていません。堆積物中に微量に見つかるイリジウムIrは,基本的に宇宙塵などの地球外起源物質です。このイリジウムIrが世界中のK/Pg境界層から大量に見つかったのです。そのイリジウムIrの濃集は世界中に広がっており,総量を推計すると直径10 kmもの巨大隕石が持ち込むイリジウムIr量に相当することも分かりました。さらにチクシュルーブ・クレーターで掘削調査を行ったところ、イリジウムをはじめとする元素の異常が確認され、世界各地のイリジウム層と結びつけられることになりました。このことは,恐竜絶滅時に巨大隕石衝突があったことを如実に示しています。

 

大量絶滅後

しかし、隕石衝突だけでは大量絶滅を説明しきれない事象もあります。

なぜ恐竜が絶滅し哺乳類が生き残ったのか。

同じ爬虫類でもワニ・カメ・トカゲ・鳥類は生き残りました。

隕石衝突から数万年後の地層からいくつかの恐竜の化石が発見され、恐竜はしばらくの間は生き残ったことになります。

 

白亜紀には、K/Pg境界の大量絶滅以外にも、1億2000万年前と9400万年前の2度、海洋無酸素事変が起きています。この時は大西洋、テチス海(のちの地中海)、太平洋の海山や海台など、地球の広域にわたって黒色チャートが堆積しています。白亜紀は全般的に火山活動が活発で、二酸化炭素が広範囲に拡がり、現在の10倍にも相当する量が地球上を覆っていました。

 

第5回目の大量絶滅後、哺乳類の進化が飛躍的に拡大しました。

絶滅は、原因がどのようなものであれ、生物の進化にとっては非常に大きな影響を与えるもので

あり一面では「絶滅は進化の一部である」とも言えます。

 

大量絶滅の原因

他の大量絶滅と違い、K/Pg境界の大量絶滅の原因はほぼ解明されています。

原因はメキシコのユカタン半島チクシュルーブに巨大隕石が落下したことが確認されています。

大量絶滅の原因は、隕石衝突説の他に、地磁気消滅逆転説、地殻変動による火山噴火説、二酸化炭素減少説、恐竜衰退説などがあります。

5回目(白亜期末)の恐竜絶滅が有名ですが、小惑星衝突だけが恐竜絶滅の原因ではないのではないかともいわれています。そのしばらく前の時代から、発見される恐竜の化石は減り続けていたので、「絶滅に向かっていた恐竜にとどめを刺したのが小惑星の衝突だった」ともいわれています。

 

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次回は 第6回「6回目の大量絶滅(現代)」

 

 

(担当B)

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