『米国・中国・日本の国勢 2022』
第5回
<環境>
エネルギーは鉱工業生産と表裏一体の要素ですが、環境問題でクリーンエネルギーが叫ばれています。
中国では1978年に改革・解放政策が打ち出され、経済発展が優先されてきました。
そんな中で環境に対する優先度は低く、発電所や工場からの排煙、石炭暖房、そして自動車の排気ガスを原因とした大気汚染が進んでしまった背景があります。
今日では、万国博覧会や夏季・冬季オリンピックなどで、国際的イベントで海外から多くの人々が来ることを意識して、国家的権限で環境対策に取り組んできました。
しかし、経済成長優先の姿勢は変わらず、二酸化炭素やPM2.5の排出量は減る傾向が見えません。
2020年9月22日、習近平国家主席は、国連総会で「中国は2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラル(炭素中立)を実現することを目指す」と宣言しました。
<石炭に依存>
中国は世界一の工業大国で、多くの工場が稼働しています。中国の発電所は、石炭を原料とする火力発電が主流です。
また、石炭は製鉄やセメント工場でも大量に消費されています。
中国は、エネルギーの約60%を石炭に依存しています。
また、中国北部の地方では、真冬になると氷点下30度を下回ることもあります。地方の一般家庭で使用されているのも石炭を燃料としたストーブです。そのため、とくに冬場は大気汚染が深刻な状況になってしまいます。
<自動車の排気ガス>
中国では年々自動車の販売台数が増加傾向です。それに伴い、ガソリンやディーゼル燃料の消費も増えています。日本と比較すると中国は自動車の排ガス規制が緩く、とくに工場で生産された荷物を運ぶトラックなどのディーゼル車は排気ガスの浄化装置を装備していないことも多いのです。自動車の普及や規制の緩さも大気汚染の一因となっています。
近年、電気自動車(EV)の普及に力を入れ、世界で最もEV普及が進んだ国となりました。
<PM2.5>
(中国・北京・米国・日本のPM2.5の排出量)
PM2.5とは、大気中に存在する2.5µm/m3(マイクロメートル)以下の小さな粒子の総称です。PM2.5はこの小ささから、目に見えにくく、そして風に乗って遠くまで飛びやすいという特徴があります。中国の大気汚染物質には、このPM2.5が多く含まれています。
中国の大気汚染はどのくらい深刻なものなのでしょうか。
人口の多い首都北京や大都市の上海では、高濃度のPM2.5が浮遊し、大気に「もや」がかかったようになるスモッグがみられることもあります。
年間排出量で見ると、中国の大気汚染は日本の約3倍にもなります。
<大気汚染による健康被害>
PM2.5は、その小さなサイズから人が吸い込むと肺の奥に入りやすく、さまざまな健康被害を引き起こします。ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系の病気や、心臓病などの循環器系疾患のリスクが代表的です。さらに、PM2.5が高濃度の日には、当日あるいは数日後の死亡数が多いという調査結果があります。実際、中国では大気汚染の影響で呼吸器や循環器の病気により死亡した人が120万人を超えたというショッキングな報告もあります。
九州大学SPRINTARS開発チームの大気汚染物質拡散シミュレーションでは、大陸で発生する大気汚染物質の移動・拡散の動態が予測されています
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次回は 第6回「貿易」
(担当E)
「日本経済指標と米国経済指標」 http://www1.odn.ne.jp/keizai/
「中国経済指標」 http://www1.odn.ne.jp/china/
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