『日本.米国.中国の国勢 2022』第1回 人口 | 奈良の鹿たち

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『日本.米国.中国の国勢 2022

 第1回 

<人口

 

 

世界の人口問題の中で、最も特徴的なのは「日本の少子高齢化」です。

 

各国とも、今のところ大幅な人口の変動はありません。

中国は約14億人、米国は約3億人、日本は約1億人。

問題は、これから10年、20年、30年と、じわじわと増減する傾向です。人口は、対策を打ってすぐに効果の出るものではありません。また、増えればますます増え、減ればますます減る現象は自然の成り行きであり止められません。

具体的には中国は次第に減っていきます。2040年頃、中国は人口減への悩みが始まります。 米国は白人と有色人種系の構成比は変わっていっても、トータルでは微増です。これは、移民に対し歴史的に寛容であったことの恩恵でしょう。

さて、日本は減少が減少を起こしてずっと減り続けていくことでしょう。

参考までに若い国の代表インドの人口も表しました。来年には中国を抜くことになります。

 

人口ピラミッドをご覧ください。

何と日本の下の段のか細いこと。さらに下すぼみになっているのです。(スマートと言えばスマート) しかし、この形は「頭でっかちの逆ピラミッド形」と言って、人口構造上危険な兆候とされています。

中国の人口ピラミッドにも、将来的に少子高齢化の予兆が見られます。下細りの上、現在30~40歳のふくらみが30年後には高齢化社会となって経済・財政を圧迫することになります。

その頃には、中国の経済成長も止まり、GDPもインドが追いつき追い抜きます。

 

 

人口が減るということは、国が衰退することなのです。

「人口ボーナス」という言葉をご存じでしょうか。

生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すことです。人口ボーナス期では若い豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすいのです。

今の中国、インド、トルコ、南アフリカ、メキシコがこれに当たります。

逆に「人口オーナス」という言葉があります。

少子高齢化が進み、生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が上昇することで社会保障費などがかさみ、経済成長を阻害すること。オーナスとは負担、重荷という意味です。

今の日本や欧州の先進国がそうです。

中でも、日本は人口オーナスの影響が最も深刻な国です。

上の図表を見ると一目瞭然ですが、日本の人口高齢化は世界的にも顕著です。

2040~50年、今から20~30年後には高齢化率(全人口で65歳以上の比率)は、何と35~40%になり、さらに中位年齢(平均年齢)は55歳になります(現在49歳)。

いいですか、日本では国の最多年齢が、退職間近の人たちになるのです。

その時、インドは35歳(現在28歳)、中国は46歳(現在38歳)、米国は42歳(現在38歳)です。

 

人口の減少は、何よりの政策課題であることを真剣に考えなければなりません。

しかし、国民は明日の生活に関心があり、政治家も票にならない将来の問題については取り組みません。政治は自分の勢力拡大が第一で行われるのは、古今東西同じです。

また日本人特有のプライドの高い朱子学的純血主義は、結局は、国を亡ぼすことになるのです。文明は純粋を求めた時に衰えが生じ始める。異文化との葛藤が文明を発展させる。

残念ながら、もう対策を講じるには遅すぎました。今からの手立てはありません。

日本は確実に衰退していくのです。泥舟はゆっくり沈みゆくのみ。ゆでガエル現象。

公家貴族が武士に隷属させられていったように、英国が米国に取って代わられたように、日本も中国やアジア諸国に追い抜かれながらも、過去の栄光のプライドのみにすがって生きていくことになるでしょう。

そしてやがて、そのプライドも消滅していき、アジア先進国の顔色をうかがう中進国になっていきます。

 

自虐的? 

でも上の数値や歴史的事実に基づいていることですし、評論家やジャーナリストもさかんに警鐘を鳴らしているのです。 

著名投資家のジム・ロジャーズの「日本の破産はもう始まっている」

ジム・ロジャーズといえば、ジョージ・ソロス、ウォーレン・バフェットと並ぶ世界三大投資家の一人として知られています。

「まず言いたいのは、私は日本が大好きだということです。世界の国々の中でも大好きな国の一つです。だから、日本が衰退していく姿を見たくないのです。私は死ぬまで大好きな寿司を食べていたい。しかし、このままいけば私のそうした願いはかないそうにありません。

人口動態を大きく変えるには、日本人に子どもをたくさん作ってもらうか、日本が移民を受け入れるかの2つしか方法はありません。しかし、なぜだかわかりませんか、日本政府は移民を受け入れようとしません。結局、いま10歳の日本人が人生を通して経験していくのは、次のような『惨事』になるのでしょう。これからの日本では生まれてくる子どもの数がますます少なくなり、移民も入ってこないため、人口減少のスピードが急加速していく。借金はさらに膨張し、その返済のために増税が度々断行される。それでも借金は返済しきれないので、次には年金などの社会保障が取り崩されていく。日本人の生活水準はそうして徐々に悪化し、生活苦にあえぐ日本人が増え、いよいよ打つ手がなくなる。最終的には見たくもない破産劇が待っている。

日本の破産はもうすでに始まっているのです。」(ジム・ロジャーズ)

 

2022年5月、米国の著名経営者のイーロン・マスク氏が、ツイッター上にて「日本はいずれ存在しなくなる」と投稿して話題となっています。 イーロン・マスク氏のツイッターから:「当たり前のことを言うようだが」と前置きをした上で、「出生率が死亡率を超えなければ日本は最終的に消滅する。これは世界にとって大損失になるだろう」

日本は出生率低下による人口減少により消滅するというのだ。

 

 少子化による人口減少問題については、かねて、これまでも多くの識者が問題視してきたが、人口減少による“日本消滅”に拍車をかけていることもあるのではないか。それは日本が、他国が講じているような移民政策をとっていないということだ。

 

その他「日本の人口問題」記事のタイトル

 「日本人を直撃する”人口急減”の切実すぎる未来」

 「日本人は”人口減少”の深刻さを分かってない」

 「日本人は”人口減”で起こる危機を甘く見ている」

 「日本に必ず来る”人口急減”がもたらす大恐怖」

 「2065年、日本はあるか?」

 

 

 

 

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次回は 第2回「GDP」

 

 

(担当E)

   

 「日本経済指標と米国経済指標」  http://www1.odn.ne.jp/keizai/

            「中国経済指標」               http://www1.odn.ne.jp/china/

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