『中国経済 2022』第9回(最終回) 物価・金融・財政 | 奈良の鹿たち

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『中国経済 2022』

 第9回(最終回)

「物価・金融・財政」

 

(中国人民銀行)

<消費者物価指数>

(中国国家統計局)

(IMF)

中国の物価は世界的なインフレ圧力の下、さらに経済成長が続いている割には安定的に推移しています。

全体的に合理的な範囲内で安定的に推移していて、世界の他の主要経済国のインフレ高止まりと鮮やかな対比を成し、中国経済の力強さや市場規模の大きさ、供給確保・価格維持に向けた措置の効果の高さを示しています。

 

<マネーサプライ>

(中国国家統計局)

高い経済成長、消費の裏付けでマネーサプライも増え続けています。

国際金融市場は、投資家の間でより高い収益を求める動きが活発化するなかで同国への資金流入の動きが強まり、広義のマネーサプライ(M2)の伸びは増加の推移が続いています。

 

<キャッシュレス>

中国は、世界でもトップクラスのキャッシュレス先進国です。(1位は韓国、中国は2位)

その導入率は8割近くで、「キャッシュレス決済なしでは生活できない国」とも言えるほどです。

  中国のキャッシュレス事情

   お祝い金に至るまで、ほぼすべてがスマホ決済を使用

2.   現金を持つ必要がないので、ATMの利用者数が減少

3.    硬貨の流通量や紙幣の破損が原因で自販機が少なかったが、モバイル決済対応の自販機が急増

   (中国の消費者側にQRコード決済が普及した3つの理由)

1.     現金を持ち歩く必要がないから

2.     キャンペーンや特典があるから

3.     政府がプロジェクトを推進したから

(中国の事業者側にQRコード決済が普及した2つの理由)

1.     設備投資が不要で導入しやすいから

2.     決済手数料がかからないから(決済手数料という手段をとらず、収集したビッグデータを活用して利益を得るビジネスモデルを選びました)

 

<財政収入支出>

(中国国家統計局)

中国の財政赤字が急拡大しています。経済への財政投資や社会福祉関係の増加で支出が増えています。

支出は2025年には10兆元(約170兆円)を突破し、2021年の2.3倍になる見通しです。

税収の伸びが鈍るほか、2022年から中国版「団塊世代」の大量退職も始まり、年金や医療の給付が増えるからです。財政赤字は2023年以降、年3割前後で拡大し、悪化ペースが速まると予想されます。

経済成長率の鈍化に伴う税収の伸び悩みが一因です。対照的に、社会保障など硬直的な支出は膨らむ。財政支出は7~8%の伸びが続く予想です。

 

<固定資産投資>

(中国国家統計局)

中国国家統計局が発表する固定資産投資は、工場、道路、電力網などの非農村部の設備投資額の変化を測定します。
順調に増加を続けていますが、伸び率は縮小しています。2021年の政府の不動産規制や不動産大手の経営問題の影響で不動産開発投資が引き続き減速しました。政府の不動産投機抑制を目的とした融資規制で、投資全体の約6割を占める民間投資が縮小したことなどが影響しました

 

<対GDP 政府債務残高>

(IMF)

異常な日本(黄)に比べると、中国(赤)の債務は健全そのものです。

しかし、中国はここ10年あまり経済成長とともに家計、企業、政府の総債務の過剰な積み上がりという問題を抱えてきました。2019年Q3の中国の家計、企業、政府の対GDP比総債務残高は約257%と、10年前の2009年Q3(約177%)から81ポイント上昇しました。これは、日本(336%380%)、ユーロ圏(246%267%)、米国(248%254%)に比べて、大幅な増加でした。2020年7-9月期にはGDP比で285.1%に達しました。

また、金額をみると、ここ10年間で日本の総債務残高は0.9兆ドルの増加(18.5兆ドル→119.5兆ドル)、ユーロ圏も0.9兆ドルの増加(33.5兆ドル34.3兆ドル)にとどまりました。それに対して中国は26.3兆ドルの増加(8.7兆ドル35.0兆ドル)となりました。金額をみても中国の総債務増加が大幅なものだったことが確認できます。内訳をみると、米国、ユーロ圏、日本では家計や企業に比べて一般政府の債務残高の伸びが目立っています。それに対して中国では、一般政府、家計、企業の債務がどれもともに増加しています。

世界金融危機後の「4兆元の景気対策」が過剰な生産設備と債務を生じさせたほか、その後も暗黙の政府保証を見込んで金融機関が国有企業への融資を膨らませたことなどが背景にあります。

また、中国の家計で債務が増加した一因は、住宅価格の上昇にあります。国際決済銀行(BIS)によると、住宅価格はこの10年間で約1.5倍になるなど、中国は不動産バブルを経験しました。それが一因となって、家計の債務残高は増加したと考えられます。その前には、上海株式相場の上昇にみられたように株価バブルもありました。今後、債務リスクが顕在化するか否かは、中国景気が回復するかにかかっており、中国経済の行方が注目されます。

 

 <外貨準備高(億ドル)

(中国国家統計局)

中国の外貨準備高は世界一の水準を誇ります。

しかし、IMFは新興国の外貨準備の適正水準の判断材料として、外貨準備の対輸出額、対短期債務残高、対マネーサプライ、対その他負債比率を挙げています。IMFは以上4つの基準を合わせた外貨準備高の適正水準を公表しています。これに基づくと2017年末以降、中国の外貨準備高はIMFの算出する適正水準を下回っています。

中国は米国の国債の15%以上を保有しています。

これは中国自身の為替管理や資産管理のためでもありますが、米国にとっては大株主であり脅威です。 

 

<対ドル 元 為替レート>

(中国国家統計局)

中国の人民元は、市場ではなく中央銀行にあたる中国人民銀行がレートを決めています。これを管理変動相場制といい、政府が介入して変動幅を一定の範囲内に抑えて人民元のレートを安定させるシステムです。

元の切り下げで輸出増を狙っていて、今でも為替操作国です。

これにより、中国の貿易黒字が拡大しました。

しかし、世界経済における中国の存在感が大きくなるにつれ、この人民元為替操作は国際的な批判も高まってきました。特に、米中間の貿易摩擦の激化が問題となっています。

 

<上海証券取引所 総合指数>

(中国国家統計局)

GDP世界第2位の巨大市場を背景に、中国株式市場は急成長をしています。

2016年時点で、上海証券取引所はIPO募集金額ベースで香港証券取引所に次いで世界で2位となっています。

今の中国株式の魅力は、株価収益率が高く新規上場企業数が多いことです。

 

 

   

   「日本経済指標と米国経済指標」  http://www1.odn.ne.jp/keizai/

   「中国経済指標」                           http://www1.odn.ne.jp/china/

 

 

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『中国経済』 全9回 完

 

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(担当E)

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