『中国経済 2022』
第8回
「資源」
中国は、多種多様な鉱物資源が豊富な国です。
現在でも、強力な政府の後押しと採掘技術を駆使して鉱石の種類や量の増産が続いています。
その結果、2018年の非鉄金属の総生産量は前年比6.0%増でした。
また輸出入も活発で、2018年は前年比で輸入は18.3%増、輸出は21.1%増でした。
特に原油は輸入量では世界一です。
<中国の生産占有率>
2017年(USGS)発表)
● レアメタル
<鉱物資源の選鉱量の国別シェア 2019年>(青が中国)
「産業のビタミン」といわれるハイテクに欠かせないレアメタルは、生産量は中国が世界の6割を占めていて、中国の外交政策の脅しとなっています。
中国への依存度が米国で80%、欧州で98%にもなっています。
サプライチェーン全体を見ても、再生可能エネルギーおよび電気自動車といったいわゆる「クリーンテクノロジー」への移行は、その地政学を大きく変えました。特に選鉱工程で中国が圧倒的な存在感を示しています。選鉱工程とは、採掘した鉱物を破砕ないし溶解し化学処理を施して求める金属を抽出する工程です。エネルギーコストが大きく、環境負荷が高いのです。環境規制が厳しくコストが高い先進国は、中国に対して圧倒的な不利にあります。
● 石炭
<一次エネルギー供給構成比>(IEA)
いまだに中国のエネルギー生産は石炭依存が大きい。中国は脱炭素の旗を振り、世界最大の再生可能エネルギー導入量を記録するようになりましたが、それでもなお、中国の電力供給の中心は電力構成の6割を超える石炭火力です。
二酸化炭素排出量世界一から脱却するために、石油・天然ガスへのエネルギー変換が図られていますが、高成長の生産・消費のため改善が進んでいません。
中国において深刻な電力不足が生じており、中国経済の成長鈍化にもつながっています。
今回の電力不足の主因は、石炭の不足と価格高騰です。
中国の石炭不足の背景として、以下の3点が挙げられます。
第1は、政府による石炭生産の抑制です。政府は、安全基準の強化や環境対策の強化、汚職摘発を理由に炭鉱の稼働を停止してきました。国家統計局によると、2020年の石炭生産量は前年比+00.9%増の38.4億トンにとどまり、2021年1~9月も前年同期比+3.7%と低い伸びとなりました。
第2は、政府による石炭輸入の抑制です。中国政府は、新型コロナの起源に関する調査を要求した豪州政府への反発から豪州産石炭の輸入を非公式に禁止した結果、2020年1~6月に5,588万トンであった豪州からの輸入量は2021年1~6月にゼロとなりました。その結果、世界からの輸入総量は同1.7億トンから1.4億トンへ大きく減少しました。
第3は、国内の石炭需要の拡大です。2020年、中国の経済成長率は主要国の中で唯一プラスとなりました。政府が早いタイミングで活動制限を緩和し、インフラ投資や国有企業の設備投資を促進したほか、輸出も大幅に拡大した結果、主要な石炭需要家である電力企業や鉄鋼業は、生産水準と原材料の調達量を大幅に引き上げました。
発電量は通常、製造業の生産量など使用量に応じて受動的に決まりますが、最近の中国では逆に発電量の制限が製造業の生産量を抑制しています。
中国は国内に多くの炭鉱を持ち石炭を自給できますが、実は石炭の純輸入国でもあります。中国は国内消費量の10%弱を輸入に頼ってきました。これは、中国国内で採れる石炭に比べてインドネシアや豪州の方が質も高く安価であり、電力コストを抑えることができるためです。
<中国 石炭生産量推移>
(中国国家統計局)
こうした中、政府は電力・石炭不足の解消策を矢継ぎ早に打ち出しました。まずは、国家石炭備蓄の放出です。石炭生産の抑制も緩和されました。政府は53カ所の炭鉱の生産を再開させました.。合計生産能力は昨年の全国石炭生産量の3%となりました。2021年9月と10月には追加で153カ所の炭鉱に生産を許可しました。加えて、融資拡大などを通じて電力企業や石炭企業を支援しました。金融当局は、電力企業や石炭企業に向けの融資拡大を金融機関に要請しています。石炭輸入価格は、政策支援によって石炭輸入量は大幅増加しました。これら措置を受けて、石炭在庫に持ち直しの動きがみられます。
一方で、政府は一定の電力価格上昇を容認することで、電力需要の抑制を狙っていいます。
現時点における石炭在庫の少なさや冬場の電力・石炭需要の拡大などの懸念材料は残るものの、以上のような政府支援によって、電力・石炭不足は2022年には解消に向かうとみられます。
● 鉄鉱石
<中国 鉄鉱生産量推移>
中国は世界最大の鉄鋼生産国で、2021年の粗鋼生産量は10億3,280万トンで、世界の54%を占めました。ただ、製鉄の主原料に使う鉄鉱石の国内生産は2014年の15億1,400万トンをピークに減少に転じ、2018年には7億6,000万トンと半減しました。中国は年10億トン以上の鉄鉱石を消費、その80%超をオーストラリアやブラジルからの輸入に頼っています。中国は鉄鉱石の確保と価格決定力の強化に向け、国内外の鉄鉱石鉱山への投資を企業に要請しています。
中国の鉄鉱石は含有率・品質ともに輸入したものよりも低く、規模・経営の問題もあり生産が伸びていません。中国自然資源省は2021年8月、鉄鉱石資源を国家戦略上の重要資源に位置付け、資源の探査・採掘を強化して国内の生産量を増やす方針を示しています。
● 石油
中国は米国に次ぐ世界2位の石油消費国で世界の消費の1割強を占め、消費の7割を輸入しています。2017年に米国を上回る世界1位の石油輸入国となりました。2019年時点で世界の原油貿易の23%を中国が占めています。IEAは21年3月、中国が2019年から2026年までの世界の石油需要増加の55%、日量240万バレル増加するとしています。
一方、中国の石油需要はEV促進策、燃費規制、天然ガス自動車や高速鉄道の普及などの代替により伸びが2010年代に比べ鈍化しており、ガソリン、軽油を中心とする輸送燃料は2025年頃にピークアウトするという見方が多い。しかし自動車のストック(2020年の保有台数2億8,100万台)や石化需要により需要の急速な減少は考えにくい。また国内生産供給が頭打ちであることから、需給ギャップは当面高止まりする見通しです。
<中国の石油需要と需要の年平均成長率推移>
(IEA)
中国の原油輸入先の首位はロシアとサウジアラビアですが、今後イランからの原油輸入が増えるかもしれません。中国は2021年に入り、イランからの原油輸入を増やしています。
IEAによると2020年末現在、中国の石油貯蔵能力は17億バレルです。IEAは同時期の世界の貯蔵能力増強の90%を中国が占めたと指摘しています。中国各地の油田は、小規模で埋蔵量も少ないため原油生産量は伸びていません。そのため国内の拡大する需要を満たしきれていません。そこで当然、輸入依存率が高くなっています。
<米中日印の原油輸入推移>(日量千バレル)
(BP統計)
<石油輸入依存率>
中国の2020年の原油生産量は前年比1.6%増の日量390万バレルでした。原油は低油価に伴う投資縮小とコストの高い成熟油田の生産を抑制したことで、2015年から2018年にかけて生産が減少していました。しかし、米中貿易摩擦や産油国の供給不安定化を受けて同国のエネルギーセキュリティ意識が高まり、政府が国有石油企業に国内供給強化を働きかけ、企業が投資を増加させたことで2019年以降増加に転じています。ただし、損益分岐点がバレルあたり60ドルを超える成熟油田を抱える同国の原油生産が今後大幅に上向くことは考えにくい。
<中国 石油生産量推移>
<世界の石油供給占有率>
(UN)
「日本経済指標と米国経済指標」 http://www1.odn.ne.jp/keizai/
「中国経済指標」 http://www1.odn.ne.jp/china/
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(担当E)
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