『富士山 地質的景観』 第5回 富士山周辺①(富士五湖・青木ヶ原樹海) | 奈良の鹿たち

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『富士山 地質的景観』 

第5回

富士山周辺 ①

<富士五湖・青木ヶ原樹海>

 

                <富士五湖>

●富士山前史(約500万年前)

約500万年前の「富士五湖」は海の底でした。
現在の富士川も海の底で、甲府盆地まで富士川海峡が侵入していました。

まだ海上にあった丹沢山地と本州の間の桂川海峡は、現在の東京まで海続きでした。

●東小御岳川・西小御岳川の時代(約70万~20万年前)

小御岳火山と愛鷹火山が活動をはじめ、東に東小御岳川、西に西小御岳川がありました。

●二大湖の時代(約8万~1.5万年前)

古富士火山の活動に伴い、東に「宇津湖」(うつこ:現在の山中湖・忍野八湖)、北に「古せの湖」(せのうみ:現在の河口湖・西湖・精進湖・本栖湖)ができました。
両湖とも古富士火山の規模から現在より富士山に近い場所にありました。

三大湖の時代(1.5万年~約1万年前)

さらなる古富士火山の活動で溶岩が流れ込み、「古せの湖」が分断され古河口湖ができました。

●三湖消滅の時代(約1万年~約5千年前)

「古せの湖」を残して他の三湖(古明見湖・古河口湖・宇津湖)は、干上がって消滅してしまいました。現在の忍野(おしの)村のある盆地も,7000年くらい前までは湖(忍野化石湖)だった証拠が見つかっています。そして忍野八湖と山中湖へと姿を変えました。つまり「忍野八海」は「宇津湖」(忍野湖)の湖底跡であって、それが干上がってできた場所なのです。

河口湖・本栖湖誕生の時代(約5千年~約2千年前)

ハワイ式噴火の溶岩流はサラサラと火山を駆け下り、富士山の北に位置していた「古せの湖」に達し、本栖湖を形成しました。以降「古せの湖」が「(新)せの湖」となります。

新富士火山の度重なる活動により、旧桂川に熔岩が流れ込み河口湖が誕生しました。

●富士五湖誕生の時代(約2千年~1千年前)

平安時代の貞観6年(864年)に,富士山の北西山腹で大規模な割れ目噴火(貞観大噴火)が起きました。富士山の側火山である長尾山の2億㎥におよぶ溶岩流は、広大な「青木ヶ原」を生み出し「せの湖」を二分して西湖と精進湖を誕生させました。一方河口湖方面に向かった溶岩流は鳴沢で止まりました。富士五湖のうちの3湖(本栖湖,精進湖,西湖)がほぼ現在の形になりました。「青木ヶ原溶岩流」は「せの湖」を西湖と精進湖に二分し、さらに本栖湖にも流れ込み,湖の東側を少しだけ埋め立てました。現在、本栖湖、精進湖、西湖では、このときの溶岩流のあとを見ることができます。

937年の鷹丸尾溶岩流は川をせき止め、山中湖を誕生させました。

●現在の富士五湖

1707年の宝永の噴火以来、富士山は活動を停止しています。
そして、富士五湖は約1千年間、現在の状態を保っています。

<青木ヶ原樹海>

(約2千~1千年前の富士山周辺)

(約2千~1千年前の富士山周辺)

「青木ヶ原樹海」(あおきがはらじゅかい)は、山梨県富士河口湖町・鳴沢村にまたがって広がる森で、富士山の北西に位置します。 面積はおよそ30㎢です。

樹海の歴史は約1200年とまだ浅く、ヒノキやツガなどの針葉樹林が主体となったまだまだ若い森です。

平安時代の貞観6年(864年)6月、貞観大噴火で長尾山より大噴火が起こり、地震3回、光炎高さ60~70m、10日間たっても噴火は衰えず2年間続きました。この噴火は主として溶岩を流す噴火として代表的なものでした。火山弾は雨のように降り、流れ出た膨大な量の溶岩は大室山を迂回して流れ森林地帯を焼き払いました。噴火以前には現在の青木ヶ原の地に「剗の湖(せのうみ)」という大きな湖がありましたが、溶岩流でその大部分が埋め立てられた末に、西湖と精進湖とが残りました。一方河口湖方面に向かった溶岩流は鳴沢で止まりました。 以上は『日本三代実録』を要約したものです。

青木ヶ原木樹海で木が芽吹きだした時期は、今から300年ほど前からだといわれています。噴火から1200年の時を経て富士山北西麓に広がる約3000㌶の原生林である現在の青木ヶ原は、溶岩台地の上に広大な樹海を誕生させました。ツガやヒノキを中心にハリモミ、ヒメコマツ、アカマツなどの針葉樹やミズナラなどの広葉樹の混合林である原始林が形成されました。植物の垂直分布では、落葉広葉樹が発達する山地帯にあたります。ごつごつした地盤を這うように根が育ち、独特の雰囲気がただよっています。土壌の厚さは10数cmしかなく、水分や養分の少ない溶岩質の土壌であることから針葉樹が発達しています。周辺には溶岩洞が数多くあり、富岳風穴、鳴沢氷穴、西湖蝙蝠穴などの溶岩トンネル(溶岩流の周囲が冷え固まった後に、まだ溶けていた内部が流れ去ってできた空洞)や、溶岩樹型(溶岩が樹木をとりこんで固まり、取り込まれた樹木が燃えて空洞になったもの)を見ることができます。溶岩トンネルのうち長いものは4kmになります。

 

 

 

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次回は 第6回「富士山周辺①南部・東部」

 

 

(担当G)

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