『天文学の歴史』第4回 アインシュタイン | 奈良の鹿たち

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『天文学の歴史』

第4回

「アインシュタイン 」

 

詳しい相対性理論については、当ブログ『相対性理論』を参照ください。

 

<相対性理論とは?>

相対性理論とは、アインシュタインにより1990年代初頭に発表された光・重力理論です。

従来のニュートン力学の時間と空間の考え方は「何物にも影響されず、あらゆる場所で一様である」というものでした。ニュートンの「万有引力の法則」によって重力についての多くのことは解明できました。

万有引力とは、字のごとく「万物が有する互いに引き合う力」のことです。

ニュートンの万有引力の考えに基づけば、ボールが地面に落下するのは、地球の質量が非常に大きいからということになります。 しかし、科学が進歩し、特に20世紀に入って光の速度の世界や宇宙・量子の世界ではニュートン力学は通用しないことがはっきりしてきました。

そんな時に考え出されたのが、アインシュタインの「相対性理論」です。

それによると、「重力が空間を曲げている」「質量により空間は曲がり、凹凸のある空間が重力として認知される」ということになります。極端に言えば、ボールが地面に落ちるのは、空間が曲げられ地球が自分に向かって下り坂を作っているためだと考えられます。

「時間と空間は立場によって変わる」,「質量とエネルギーは同じものである」,「重力で光が曲がる」,「重力は空間の曲がりから生まれる」……。

これらはすべて,「相対性理論」が明らかにしたことです。

アインシュタインはこの理論で現代物理学の新世紀を切り開きました。

 

相対性理論は、「特殊相対性理論」と、「一般相対性理論」という二つの理論から成り立っています。

二つの理論内容の大きな違いとしては、

特殊相対性理論は、①光速度不変の原理 ②特殊相対性原理という二つの原理を基盤として成り立っています。

一般相対性理論は、①(加速度と重力の等価性としての)等価原理と、②(すべての座標系における)一般相対性原理という二つの原理を基盤としてとして成り立っています。

 

一般相対性理論においては、その理論が「加速度系」も含めたすべての座標系、あらゆる観測者において同等に成立する理論であるという意味において、「一般」という言葉が用いられています。

 

別の言い方をすれば、二つの大きな違いは ”重力の影響を考慮するかしないか” です。

 ・特殊相対性理論は、重力の影響を無視して考えるより単純な理論

 ・一般相対性理論は、重力も加味したより一般的な理論

 

  <特殊相対性理論とは?>

特殊相対性理論においては、それが「慣性系」と呼ばれる静止状態にあるか等速運動を行っているという特殊な環境にある観測者同士のみを扱う対象としているという意味において「特殊」という言葉が用いられています。普通に考えれば、静止状態で観測することは特別ではないように思われますが、宇宙には「絶対静止系」のような特別な慣性系は存在しないのです。止まっている駅から電車を見る時、駅が止まっているという保証はありません。地球・太陽系・銀河系は動いている。ただ日常では、影響は小さいということだけなのです。

特殊相対性理論には、2つの大きな柱がある。① 特殊相対性原理と②光速度不変の原理です。

特殊相対性原理とは

「どのような速さで動いても、自然の法則は同じように成り立つ」別の表現をすれば「すべての慣性系において物理学の法則は同等に働く」「同じ速さで動いているならば、止まっているときと同じ物理現象が起こる」と言う法則です。ここで言う「自然の法則」とは、物の落下を含め、ありとあらゆる法則のことです。化学反応や電磁気反応・力学反応などの現象は、それが動いていても止まっていても全く同じだ、ということです。

また「慣性系」とは、外から力の働かずに内部の運動状態が保たれている慣性状態にある座標系のことを指す言葉です。すなわち外力によって速度が変化していく加速度状態にない静止状態にあるか等速運動を行っている観測者同士のみで成立する理論であるということです。

例えば、時速60km/hで動いている電車の中でリンゴを落としても、電車に乗っている人から見れば、リンゴは止まっているときと同じように自然法則で、真下に落下するということです。人とリンゴは、時速60km/hで動いている同じ慣性系だからなのです。

光速度不変の原理とは

当時の研究者たちは、光の速さを理論的に求めることに成功したが、「この光の速さとは、何に対する速さなのだろうか?」という疑問が出てきました。

例えば、道を走っているA車の速さの場合、地面に立っている人が測ると、70km/時です。しかし、同じ方向に走る30km/時のB車から測ると、A車の時速は 70km-30km=40km となります。

速さとは、「どんな立ち位置(慣性系)の人が測ったか」が重要なのです。

光の速さとは、誰から見た速さなのだろうか? 走る車から見た速さ? 地面に立っている人から見た速さ? しかし、地球も動いている。

アインシュタインは、「誰から見ても光の速度は変わらない」と決めつけたところが偉大でした。

「どのような慣性系においても、どのような速さで動いても、光速は変わらない30万km/sである」別の表現をすれば「光の速度は光源の動きと関係なくすべての観察者(慣性系)にとって30万km/sの不変である」と言う法則です。

電車に乗っていようと、地面に座っていようと、誰から見ても光は30万km/sで移動するということなのです。「つべこべ言わずに、30万km/sの一定だとしよう」ということです。

その当時、多くの科学者が光の速さに変化を見つけようとしていました。

 

「光速C」という速さの項目は、宇宙を律する基本的な定数の一つであり、定数にすることによって多くの問題の解決がスムーズになりました。ちなみに、この「光速度不変の原理」と言うのは、証明された訳ではなく、観測結果(マイケルソン・モーリーの実験)がそうなっており、アインシュタインが仮定して構築した理論なのです。アインシュタインが「理屈抜きで、30万km/sの一定だとしよう」としたことが偉大だったのです。現在まで、この仮定を覆す実験結果はありません。しかし将来的には、「光速度不変の原理は間違いだった」という事になるかも知れません。
そこで問題

図1 3m/sで歩いているAさんから見た10m/sで走っているバスの速度はいくらに見える

         でしょう?

    正解 10-3=7 バスの相対速度は7m/sです。

図2 5万km/sで歩いているAさんから見た30万km/sの光の速さはいくらに見えるでしょ

   う?   

   値がずいぶん大きいが,図1のときと同じように,

            30-5=25 25万km/s  と答えた人も多いでしょう。

   正解は なんと30万km/sなです! バスと光は違うのです。  光は特別なのです。
   これが「どのような慣性系においても・・・」の「光速度不変の原理」です!

 

 < 一般相対性理論とは?>

一般相対性理論には2つの大きな柱があります。①等価原理②一般相対性原理です。

等価原理

運動加速度と重力加速度の等価性を意味します。

「重力によって感じる『重さ』と、加速によって感じる『重さ』は同じ物である」
「重力のはたらきと、加速度運動する系での慣性力を区別することはできない」

エレベーターが上昇すると床に押し付けられる:慣性力が働いた

これは重力と同じものなのです。
慣性力は、重力のように自然界にある本当の力とは違う見せかけの力だが、重力と慣性力の
二つは同じものなのです。

一般相対性原理

加速度系を含むいかなる座標系においても物理学の法則は同等に働くとする。

「誰に対しても自然の法則は同じように成り立つ」と言う原理です。「ここで言う「誰に対しても…成り立つ」と言うのは、「動いている人だろうが、止まっている人だろうが、加速している人だろうが、減速している人だろうが、何をしている人だろうが」誰がいついかなる状況で自然の法則を試したところで、全く同じ結果が出る、という意味です。

特殊相対論は、「慣性系」を扱うので「特殊」といったのであり、一般相対論は、「加速系」も含めたすべての座標系、あらゆる観測者において同等に成立する理論として成立しているという意味において「一般」といいます。

「加速系」で加速度がゼロの場合が「慣性系」なのです。
例えば、地球上に立っている人が、9.8mの高さからボールを落とした場合、ボールは1秒後に地面に落ちる。そして、地球上を高速で移動している人が、9.8mの高さからボールを落とした場合も、ボールは1秒後に地面に落ちる。

これは、その人が加速していようが減速していようが、(一般的な地球上の環境である限り)自然の法則は変わらない、ということです。

 

この2つの柱を打ち立てたことで、加速や重力にまで関わる事が出来なかった「相対性理論」は、 晴れて「一般相対性理論」が加わったことで、加速や重力にまで関わって今までよりも更に広い視野を持てるようになりました。 

 

 

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次回は 第5回「近年の天文学①」

 

 

(担当P)

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